大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(112) 丸尾末広 17 「笑う吸血鬼」「ハライソ 笑う吸血鬼2」

丸尾末広作品紹介、続いては「笑う吸血鬼」、及び続編の「ハライソ 笑う吸血鬼2」(秋田書店刊)です。
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一般的な青年(笑)向けの漫画雑誌であるヤングチャンピオン連載作品です。
丸尾末広先生、同誌へ進出してからは「犬神博士」「ギチギチくん」と単行本1冊の分量になる長編を描いてきましたが、今度は2冊、丸尾末広作品中で最も長い作品になりました。

しかも絵に力を入れた作品だからか、サイズもB5判と大型本での出版。どちらにも付いているカラー口絵のこの美しさ!
「笑う吸血鬼」は1998年から1999年にかけて連載して単行本が2000年に出たのですが、その後長く待たされた末2003年に連載再開し、続編の「ハライソ 笑う吸血鬼2」は2004年に出ました。
(間の2001年に増刊号で「啼く吸血鬼」という前日譚となる短編が掲載され、それもハライソの方に収録されています)

かつて焼け野原と化した日本の土地で、鬼婆と言われて木に吊るされた醜い老女は、その後埋葬されるも死なず、現代まで生きていた…それが百三十歳の吸血鬼・駱駝女。それが仲間にすべく選んだのが主人公の毛利耿之助(もうりこうのすけ)。
耿之助は美少年の中学生で、もちろん丸尾先生お得意の学生服姿が基本。同級生の少女・中山知美を殺して血を吸い、人間でなくなった彼は駱駝女にその道での生き方を習っていきます。

クラスメイトにもおかしい奴らが何人もいて、純トロきめてホームレスに暴行を加える永田悟と近藤哲也、放火魔の辺見外男、女子もボランティアと称して老人宅を訪問し、小便飲ませて金取ってたり…
こいつらは耿之助に殺されていきますが、殺して血を吸うつもりだったのが逆に命を助けられて吸血鬼仲間になるのが宮脇留奈。彼女は幼少期に性的ないたずらされた過去を持ち、性に恐れを持っているのにピエロメイクのホームレスに強姦され、さらに外男に絞殺されかかるのだから不幸すぎる。でもそれがあったから花火をバックに口移しで耿之助の血をもらい、この美しい見開きシーン以降はパートナーになれるのです。

グロテスクな描写は減り…あ、でも殺して切り取った少女の頭を放り投げて遊ぶ江戸川乱歩の「踊る一寸法師」みたいな猟奇シーンはありますか。でも初期の丸尾末広作品と比べたら減ってるし、構成力も増したストーリー漫画なので、普通に人に薦められます。
月は衛星ではなくて空にあいた穴、向こうの世界の光がもれているから光って見える…なんて詩人的なセンスも美しき耽美主義に輪をかけていて、成功しているでしょう。

耿之助に連れられて留奈も駱駝女に会いに行く所で突如終わった「笑う吸血鬼」から、既に書いた通り長い間が空いて再開した「ハライソ 笑う吸血鬼2」では耿之助らの同業者、つまり他の吸血鬼が登場。
東南アジア人と思われる肌の小男・バヤカン、橘ミコとマコトの姉弟、沼夫人らが登場して物語が展開します。
怪奇・幻想物語の代表格ともいえる吸血鬼を題材に使っていますが、この作品での独自の法則もあり、後半になって『若さが永遠ではない』という事が判明してその苦しみが描かれました。

過去の丸尾末広作品へのオマージュと取れるシーンがいくつも有り、漫画の技術的にも今まで使ってきたものの集大成…完成形。
タコシェでフランス語版が売っていたので入手しましたが、これは日本漫画の誇りとして世界中で読まれて欲しい。
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フランスといえば、「ハライソ 笑う吸血鬼2」の帯裏面に『フランス漫画界(バンド・デシネ)の巨匠(ドン) エンキ・ビラルも震撼ッッ!』と書かれていました。


何を恐れる
人間どもを眼下に見下ろし
超越して生きられるのに



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  1. 2013/03/15(金) 23:21:33|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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