大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(113) 丸尾末広 18 江戸川乱歩 2 「パノラマ島綺譚」

丸尾末広作品紹介、続いては「パノラマ島綺譚」(エンターブレイン刊)。
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この頃は当たり前のように一般商業誌にも進出していた丸尾末広先生ですが、久々に漫画を描くと思ったら突如コミックビームに登場でしたからね、魂消ました。連載は2007年から翌年までで、単行本は全1巻。
しかも江戸川乱歩の傑作小説「パノラマ島奇談」を漫画化するというのですからね!つまり原作の発表から80年以上が経っているわけですか…タイトルを初出時の「パノラマ島奇譚」に直しています。
今までも乱歩っぽい話はいくつか描いていたし、「D坂の殺人事件」の実写映画化の際にはイラストを担当もしていますが、この時ついに漫画作品の原作者クレジットで江戸川乱歩の名前を表記したわけです。
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さて、単行本の帯には『漫画界の魔神』と呼ばれている丸尾末広先生が描いた「パノラマ島綺譚」の内容は!?
売れない作家の人見広介が、大学の同窓生で三重県随一の大富豪である菰田源三郎が死んだと聞き、入れ替わる計画を実行させる…
二人は双生児と見紛うほど瓜二つだったのですね。菰田家の辺りでは土葬の習慣があるため、自分は自殺した事にしてこの世から姿を消し、菰田が死後に蘇生したように装い本当に菰田家に入り込むのです。
菰田家の莫大な財産を手にした人見は、菰田家が所有する沖の島を使ってかねてより夢想していた理想郷、地上の楽園たるパノラマ島を造り上げる!
…と、拍子抜けするくらい原作と同じ内容。裸の男女が入り乱れるパノラマ島ではそこら中で乱交していたり、最後に登場するのが乱歩作品でおなじみの探偵明智小五郎になっていたり、少し変えていますが。

読めばすぐ分かるのですが丸尾末広先生はこの仕事で、人見が造り上げたパノラマ島を描いてみたかったのでしょう。その描写は美しく、圧巻です。
ただし小説だと読者の頭でどこまでも想像出来ていた部分が排除される、漫画の欠点も浮き彫りになりますね。これが何度も読んだ小説じゃなくて、初めて読む物語だったらなお良かったかもしれませんが。原作の通り赤の他人でそこまで似ているなんて荒唐無稽すぎる設定も、絵にしちゃうとリアリティに欠けるし…

そんなわけで初期の丸尾末広作品が好きな人にはちょっと普通すぎて残念に思う部分もあるでしょうが、2000年代の丸尾絵を長々と楽しむには最適。また丸尾先生を知らない人、もしくは作風が苦手な人にも安心して薦められる作品であり、人によってはこれを最高傑作とするであろう魅力もあると思います。
現に漫画家として30年ほどのキャリアを持ち、ある種の人たちの間では絶大な人気を保ち続けてきた丸尾先生が、ついに『第13回手塚治虫文化賞「新生賞」』なんて立派な賞をこの作品で受賞したのですから…


千代子
世界一美しい死体だ



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  1. 2013/03/20(水) 23:25:46|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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