大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(35) 「魔人ガロン」

手塚治虫作品より、「魔人ガロン」(秋田書店刊)。
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秋田書店の冒険王にて1959年から1962年まで連載された作品で、このサンデーコミックスでは全1巻です。

ある日突然、後楽園球場のど真ん中に隕石。東京大学の俵教授がバラバラにして組み立て直すと、それは巨大なロボットというか『合成人間』になりました。しかし動力が分からず、あらゆる手段を使って十年が経ち…ついに動きはしたものの理性を持たずに暴れるだけで、俵教授は命を落としました。
研究の全てを引き継いだ助手の敷島山人は新事実を知りますが、あの合成人間はガロンといい、はるか文明の進んだ宇宙人が地球人を調べるために落とした怪物なのだとか。地球人がガロンを上手く組み立てていいことに使えば仲良くするが、わるいことに使えば地球人をわるい生物と思って攻撃するのだそうです。後の「W3」(ワンダースリー)に似た設定ですね。
そもそも宇宙レベルで見て善悪の判断なんて何をもってすればいいのか分かりませんが、これは少年向けSF漫画なので、普通に地球の…それも日本人の常識で考えて大丈夫でしょう。

さらに敷島は『ピックさえあればガロンは正しく動く』という事を知りますが、そのピックの正体はガロンと同時刻ながら別の土地・東北地方の無一文村に落ちてきた赤ん坊である事まで突き止めました!
当時ピックを見つけたヒゲオヤジは実の息子のケン一と共にお双子の弟・ケン二として育てていました。
そのピックはガロンと呼び合い、ガロンの開いた胸の心臓部分に入って一体化すると、それが完成体。ただの暴れる凶暴なモンスターだったガロンがおとなしくなり、むしろ人々のために役立つ事もしてくれる。

しかしガロンの強大な力を悪用しようと近づいてくるのが、タランテラの一味。しつこくつきまとってはピックをさらってガロンに悪事を働かせたり…
で、ようやく撃退したかと思えば次は海龍王という賊が現れます。しかも高い科学力と戦闘力を持っていて、こんな組織なら今更ガロンはいらないのではと思いますが。
とにかくガロンが悪事を働かされると、地球上の悪の組織より怖い宇宙人に攻撃されるのだから大変です。悪魔の囁きに耳を貸すなピックとガロン、奴らの行動を未然に防げ敷島とケン一!

海龍王達を撃退したピックとガロンでしたが、自分達も海のモズクと消える…
そんなラストがサンデーコミックス版でした。しかし、例えばずっと後で出た手塚治虫漫画全集は全5巻もあるし、近年復刻されている文庫本でももっと長いのです。それは何故か?

ガロンもピックも実は生きていて次の悪人と戦う続きが描かれていたのに、急激に絵がヘタクソになっているから単行本に入れたくなかったのだと思います。多忙ゆえの事でしょうが手抜きしたどころか、これは明らかに別の人物による代筆によるものでしょう。誰が見ても手塚治虫先生の偉大なる功績に失礼なほどの下手さですから!(笑)
何百ページ、何千ページもある作品を出版できる状況になかった「メトロポリス」「来るべき世界」等の初期作品時代は切り裂かれたツギハギ状態で単行本化していた事が知られていますし、他の多くの作品もそういった部分があっても単行本化の際に加筆修正をしまくるのでマニア泣かせだった手塚作品の事…この代筆部分は死後にやっと日の目を見たわけです。手塚先生の目の黒いうちは発売されなかったものが、死んだらOKになるのか疑問ではありますが。

「魔人ガロン」自体はそういった事情もあってマイナー作品扱いかもしれませんが、「鉄腕アトム」「マグマ大使」等の代表作にも登場しています。
そこを見ても手塚先生にとってお気に入りのキャラクターだったのでしょうし、あの永井豪先生も好きだったのでしょう、何と2004年になって「魔神王ガロン」という続編を手塚治虫マガジンで連載開始!しかし休刊して中断…と、とにかくガロンは不幸な作品でした。


昔から、世界中には巨人伝説(大男のいいつたえ)が、かぞえきれないほどたくさんあります。
あるときは、巨人は人間の敵です。
あるときは、巨人は人間の救い主です。
そして、人間のようにやさしく親切だったり、悪魔のようにおそろしい怪物だったりします………………。



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  1. 2013/04/08(月) 23:35:00|
  2. 手塚治虫
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魔神バンダー

BRUCEさん、お久しぶりです!精力的に更新なさっていますね!

魔神ガロンは、おそらくはサンデーコミックスで一番分厚い作品でしたよね~。
私は魔神ガロンと言うと、反射的に魔神バンダーを連想いたします。どちらの魔神も「冒険王」に連載されたした。バンダーは井上智さんですね。

それにしても、ガロンの続きを代筆したのは誰だろう?
手塚さんの片腕と言われた井上智さんも福元一義さんも絵は下手じゃないぞ(笑)。福元さんも昭和42年の「まんが王」に「スペースマン」という作品を発表していたのをこの目で見ましたからね~。関係ないけど、井上さんも福元さんも、絵のどこかにグロテスク風味がありましたなあ。マニアックかつマイナーな私の独り言ですが…。
  1. 2013/04/09(火) 10:38:33 |
  2. URL |
  3. 秀和 #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。

>秀和さま

どうも、お久しぶりですー!
冒険王連載の「魔神ガロン」は、やはり秀和さまの思い入れの一作でしょうか。そう、分厚いサンデーコミックスですよね。
それにしても、この厚さでも収録されていなかった、まさかの続きを初めて読んだ時はぶっ飛びました。有名人の名義そのままで代筆とか、当時は本当にやっていた事実を目の当たりにしました。誰か、というのは恐らく描いた人が墓場まで持っていく秘密ではないでしょうか。一人ではないかもしれませんし…

「魔神バンダー」は私、全く見た事ないのです。ガロンなんかもこの作者名が無ければこんなに何十年も出版され続ける内容ではないのかもしれないし、とにかくどんなに名作でも知名度が伴わないと絶版になったり単行本化されなかったりしますよね。
「スペースマン」も全然知りません…

冒険王をリアルタイムで読めなかった私には、当時の世相だとか同時期に連載していた作品の状況なんかも全然分からないので、とにかく秀和さま世代を羨ましく思います。
  1. 2013/04/10(水) 12:04:40 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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