大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(36) 「ビッグX」

手塚治虫作品より、「ビッグX」(秋田書店刊)。
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少年ブック(集英社刊)にて1963年から1966年まで連載された作品で、サンデーコミックスで全4巻です。
手塚治虫先生曰く『最近の怪獣映画で、人間が大きくなって、ウルトラ何とかになるものがたくさんありますが、「ビッグX」は、そのハシリです。』との事で、確かに初代ウルトラマンでも1966年からの放送開始。我々の世代では『ウルトラ何とか』が無い現実なんて考えられませんが、このテレビアニメ化もされて大ヒットした「ビッグX」がなければ巨大変身ヒーロー物の歴史も変わっていたのかもしれません。

さて、物語の舞台は1942年、第二次世界大戦時に始まります。悪行の限りを尽くすナチス・ドイツの下で日独共同開発による『ビッグX計画』の研究をさせられている朝雲博士(日本人)とエンゲル博士(ドイツ人)。ビッグXとは薬品で、生物を巨大化させ強靭にする秘密兵器でした。
無敵の軍隊が作れる危険なビッグXの開発をナチスに軍事利用される事を恐れ、完成を遅らせた朝雲博士とエンゲル博士はナチスの最後の時に銃殺されますが、ビッグXの製法を記した秘密文書は朝雲博士の息子・しげるの体内に埋込んであるのでした…

そして20年後の1965年。しげるは立派にハゲて大菩薩峠に研究所を持つ博士になっており、その息子・朝雲昭が本編の主人公。
ビッグXはこの時代にもナチスの息のかかった"秘密結社ナチス同盟"によって狙われており、昭の母も実は日本人ではなくゲシュタポの訓練を受けて送り込まれたスパイでした…主人公の実母がそれって重い設定ですね。
書類はついにナチス同盟に奪われるも、出来上がった薬品・ビッグXを昭に試し射ちしたものだから昭は巨大化し、ナチス同盟の基地もメチャクチャにした上でビッグXの秘密文書も取り返すのでした。

ちなみに昭は最初のと、次の大菩薩峠での巨大化シーン共に衣類はほぼ全部ビリビリに破れるのですが…ズボンの一部と靴だけは何故か同じサイズまで巨大化して股間の部分を隠しています。いくら少年漫画とはいえ、あの部分まで巨大化した所を見せるわけにはいかなかったのでしょう。
両親を亡くし、世間の目から隠れて北海道の知床半島で後見人の花丸先生とビッグXを研究してからは、巨大化してもやぶけない特殊ゴムのユニフォームを得て、巨大ヒーローとしても完成されますが。

その後もビッグXを狙う秘密結社ナチス同盟との戦いは続きますが、おじいちゃんの代からの因縁…エンゲル博士の孫、ハンス・エンゲルがナチス同盟にいて昭に恨みを持っており、作中通して宿敵となります。
また、ナチス同盟に10年も牢屋に閉じ込められているうちテレパシーを使えるようになった超能力少女のニーナが行動を共にしますが、可愛らしいヒロインです。

ナチス同盟が迫害するレジスタンスや一般市民と関わり、また奴たに開発された巨大ロボ・V-3号と戦い、ついにはナチス同盟を壊滅させました。
巨大化したら無敵すぎるビッグXですが、問題は時間制限がある事。あと薬が無くなったらただの人だし。
その辺りの弱点もあり次の敵…"クロス党"に苦戦させられました。クロス党も元ナチスで、つまりナチス同盟とは兄弟みたいな組織。第三次世界大戦を起こさせて地球を脱出し、壊滅した地球に戻ってきて理想の王国を再建するのが目的という、かなり頭のおかしい組織でしたが…

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クロス党までも壊滅させて地球の危機を救ったビッグXこと朝雲昭は、国連機構のレインジャー(武装監視員)に任命されます。そして…
スパイを探すのが目的で月征服に行く一団と共に"月船アルテミス号"で宇宙へ飛び出し、ビッグXの機能を活かして月面で活躍する話になりますが、ハボス人やそのロボットなど…スペース・オペラになっちゃいました。

最終巻は地球が舞台ながらビッグXの力でガレア共和国の地下要塞を支配したジャガイモとの戦い。ジャガイモ、つまり植物ごときが、巨大化して知能を持つとここまで危険だとは…確かに根っこは地上のどこにでも行けますからね。
中盤からハンスは脳だけ生かして巨大ロボの体を持つサイボーグになるのですが、ここで昭との最終決戦も終了。

破天荒な内容なのでヒーロー物として描いた方が合う題材だったかもしれませんが、私は序盤の、ナチスや戦争の恐怖を描いた戦争風刺色が強い方が好きでした。
ちゃんとヒットラー総統の他、リッペントロップ元帥、ロンメル元帥、ヒムラー、ゲーリング、ゲッペルスといったナチスの面々が登場するし、ヒットラーのセリフに『日本は野口英世 北里柴三郎 杉田玄白などという大人物がいる 予はそんけいしとる』なんてのもありましたよ。

あと日本では石森章太郎先生の「サイボーグ009」によって『サイボーグ』という言葉が一般に知られるようになった事が有名ですが、それより早くから描かれている「ビッグX」でも朝雲昭が薬品を使った姿はサイボーグと呼ばれているし、宿敵のハンスも完全にサイボーグになるのです。その時は009ほど影響力が無かったのですかね。

最終巻の巻末にはSF短編「月と狼たち」が収録されていますが、「手塚治虫 THE BEST 13 低俗天使」にも収録されていたので、このブログではその時に触れた作品です。


これからは宇宙時代がくる
人間が宇宙へすすむためには からだの改造が必要になる
人間を改造して宇宙生活にあうようなからだにしたのを
サイボーグというのだ



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  1. 2013/04/13(土) 23:00:00|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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