大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(55) 赤塚不二夫 4 「もーれつア太郎」

赤塚不二夫作品より、「もーれつア太郎」(講談社刊)。
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あの数々の伝説を残した赤塚不二夫先生の作品の中でも、日本中のほとんどの人が知っている物となると「おそ松くん」「天才バカボン」くらいに限られまして…
その次に有名なのがこの「もーれつア太郎」でしょう。私など世代じゃないので中学生時代に聴いた筋肉少女帯のメジャーデビューアルバムにして名盤「仏陀L」の1曲目でその名を知ったのが最初でしたが、ア太郎は当時大ヒットしていたのでその世代の人に聞けば必ず知っていますね。
連載は1967年から1970年までの週刊少年サンデー(小学館刊)で、同誌で連載中だったあの「おそ松くん」を終了させて始めた作品。それが1990年に2度目のTVアニメ化された時に月刊コミックボンボンでも掲載されました。私が持っている単行本はその時に再発されたもので、全11巻。1冊あたりに10数話を収録した連作になっています。

アホな言動とナンセンス、ドタバタギャグなのはバカボン等と同じですが、ア太郎は東京下町を舞台にした人情劇になっていて、友情を大事にする登場人物達によって普通に感動させられる話が多いのが特徴でしょうか。
インパクトの強い名前の主人公はア太郎。下町の八百屋"八百×"の長男坊で、父親は次男以降はイ太郎、ウ太郎、エ太郎、オ太郎とアイウエオ順で名前まで決めていたのに母が若死にしちゃったので一人っ子。
そんな名前を付ける父親ってのが×五郎(ばつごろう)なんて名前で、これはそのまた父親が出生届を出した時に酔っぱらってて八五郎と書くのを書き損じたために付いた名です。

しっかり者で遊びもせずに八百×を切り盛りする少年のア太郎と、当たらない占いに凝っているダメ親父の×五郎というコンビが良い感じでしたが、何と1巻の中ほどで×五郎は木から落ちて死んでしまいました!
…とはいえその次の回で天国役場の不手際だった事が分かり下界に戻るのですが、しかし肉体は既に焼かれて無くなっていました。それでも落ち込む事なく、幽霊のままア太郎と共に暮らすようになるのです。漫画に出てくる幽霊といえばこの世に怨念を残しているのが一般的ですが、こんな明るい奴もいいなー、見習いたいものです。しかも天国と地上を行ったり来たりできるから、なお楽しそう。

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まだ少年の身で天涯孤独(父親の×五郎は幽霊だし、姿も声もア太郎以外には分からない)になりながら悲壮感無くア太郎は家業の八百屋に専念しています。
服装がバカボンのパパとそっくりですが中身はあんなアホじゃないし、いい奴で仕事も出来て近所で慕われている…こんな赤塚漫画の主人公としてはまともすぎるキャラですが、その分周りを固めるキャラクターの個性は凄い!

まず同年代の少年・デコッ八
1巻のラスト近くなっての登場でしたが準主役級になり、実際に彼が出てからさらに面白くなりました。ア太郎が幽霊の×五郎と地方へスキーに行った時に泊まった"雪田屋"の息子ですが、ア太郎にほれ込んで親分と慕い、東京まで付いて来て八百×で共に働くのです。
ケンカは強くて友情に厚い性格で、困っている者を無条件で信じ、尽くす…「もーれつア太郎」にある『泣き』の部分では彼がかなりの比重を占めています。

さらにそのデコッ八の子分になる元ヤクザのおじさん・ブタ松。さらにさらにその子分にはブタ軍団がいて、ブタ達のセリフは吹き出しに耳と尻尾が付いてブタ型を模しているのが可愛い。
ブタ松のライバル的存在でギャング・ココロのボス。語尾に付く『○○のココロ』他、口癖が面白く尻尾が付いています。

そしてニャロメ
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スター・システムで他にも主人公としてなど、多くの作品で出ているお馴染みのキャラクターですが、この「もーれつア太郎」が初出であり、最初は『ニャロメ』『ニャロー』と不思議な鳴き方をする猫というだけのチョイ役だったのですが、しばらく後で登場した時から二本足歩きで人間の言葉を話せるようにもなり、人間の女性に惚れてばかりいて…と、ここでキャラクター形成がされていったのです。
誕生時の新聞記事によると『三丁目の冬目さん』ちで誕生しており、誕生日は昭和16年7月17日!作中で誕生日を迎えて50歳になるのですが、やはりバケネコですね。でも作中のヒエラルキーは最下層で、いつも苛められ役。
ニャロメと共に生活している毛虫のケムンパス、カエルのべしもこの作品が初出です!

他にもレレレのおじさんなど、別の赤塚不二夫作品から来たスピンオフキャラが多々登場しますが、6巻の「風雲もーれつ城」は凄い。
バカボン、バカボンのパパ、イヤミ、チビ太、六つ子(おそ松・カラ松・チョロ松・一松・トド松・十四松)、デカパン、ア太郎やニャロメ等の今作品キャラに赤塚先生本人…と、正にオールスターからなる時代劇の特別編でした。

毎回手を変え品を変え楽しませてくれる「もーれつア太郎」、時事ネタもちょくちょく出てきますが、園田光慶先生の「ターゲット」が出てくるのは笑いました。岩神六平の顔が赤塚先生の手で模写までされるんですよ!ただ1970年代の劇画好きである私はもちろん分かりましたが、今となってはあまり知ってる人はいないでしょうね…

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目のつながった警官・本官さんはここでもよく出てきますが、
『ぼくは日本でピストルのタマをいちばんたくさんつかう、警官です。』
なんて言ってますが、バンバン撃ちまくる痛快な彼は、何と10巻でその交番を個人で勝手に経営している事を明かし、拾得物を横領する事だけが家族の収入源になっていたのでした!

1話しか出ないチョイ役とかでも素晴らしいキャラもいるし、とにかく魅力あふれる「もーれつア太郎」
残念ながら後半はあまり出なくなっていた×五郎ですが、9巻で天国みやげに乗り物を持って帰る話がありまして、それが完全に筋斗雲。デコッ八がこれをつかってニャロメにいたずらしたりするのですが、楽しそうだなー。悪い奴もたくさん出るし暴力も有るけど、やはりこの作品は夢があっていいですよ…そもそも死んでいるのに成仏出来ないような立ち位置にいるはずの×五郎ですが、大好き!


たとえゆうれいでも かえってきてくれて うれしいよ!!
よおし!!おれもう さびしくないぞ!!



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  1. 2013/05/18(土) 23:59:59|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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