大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(61) 石森章太郎 50 「ブルーゾーン」

石森章太郎作品、「ブルーゾーン」(小学館刊)。
ISHIMORI-bluezone-golden.jpg

初出は1968年の週刊少年サンデーで、単行本はゴールデンコミックスで全2巻です。
オカルト系SF漫画(萬画)の傑作「アガルタ」よりずっと以前に描かれていた同系統の作品で、石森章太郎(石ノ森章太郎)作品の中ではマイナーな部類かと思っていたら「ココ」で書いたように、宮城県石巻市の"石ノ森萬画館"では展望カフェの名前に使われていたし、思った以上に重要なのかもしれません。

プロローグは石森プロの仕事場であり、石森章太郎先生自身が登場する作品で主人公はそのアシスタント…というのは「アガルタ」と同じですね。あちらでは名前がシュンでしたが、こちらではジュン
ジュンは16歳で孤児院"ヒカリの国"を出てからアシスタントを始めて2年経ち、18歳になったその日も進歩がおそいと石森先生から怒られていますが、そこへ現れたのは金九木紋次弁護士。曰く、ジュンの会った事ない父親が亡くなったので8億円の相続権があるのだとか。
あれよこれよと話が進み、連れて行かれた屋敷を守っていたじいから全てを聞くのです。父の二子神達也博士は"ブルー・ゾーン"と命名した超自然界生命の秘密に近づきすぎたため殺されたのですが、ジュンを捨てたのも彼を守るための事であり、母も姉の洋子も全員死んでいた…
BLUE(青い神がみ)、ZONE(世界・地帯)という意味で異次元の世界なのですが、そいつらが我々の住む三次元の世界、人間界(マンズゾーン)を侵略しようと企んでいるそうで。
初めは葛藤したジュンも、ヒカリの国が爆破されて怒り心頭!父親の遺志を継ぎ、彼が開発した霊剣・村雨やファントム・ガンなどを手にブルー・ゾーン生命と戦う事になるのでした。

ちなみに精神異常者が二百人に一人という現実も、強盗や殺人といった犯罪の数、ベトナムやその他で殺しあっているのも、ブルー・ゾーンにとりつかれたからなんだとか!
二子神家の隣に住む娘・広小路リナもそうでしたが、ジュンが救ってやると頭は正常に戻り、盲だったのも治ってヒロインになりました。

円盤や超能力、エクトプラズムにエンゼル・ヘアーといったオカルトブームでもてはやされた物が多々出てきてはブルー・ゾーン生命にからめた解釈を付けていますが、これはオカルトブーム以前の作品。石森章太郎先生こそが広めた部分もあるのかもしれません。

後半は父親があの世からテレポートして人間の体に入ってくる方法を見つけるのですが、その魂がジュンの中に入ると二人の生命が力を合わせて超能力を発揮し強くなる…って子供だましっぽいですが、妖怪とか次々出てきて敵が刀や銃で対応出来るレベルじゃなくなってますからね。
それに生命へ移動するのは危険がともなうらしく、
『へたをすると…ジュンはきちがいになるか……でなければ からだのどこかが故障して かたわになっていたかもしれないのだ。以前のリナちゃんが めくらになっていたように。』
と、放送禁止用語全開で語られています。

最後の章では、石森プロの面々と伊豆の石廊崎へ行ってたまたま見つけた自殺未遂の女性を助けたのがきっかけで、ジュンを簡単に気絶させるほどの不思議な能力を持ったロミイという女に出会います。
それを追い、東京都日野市の"足垣科学研究所"へ…今度はタイムトラベルだのアンドロイドだの、また少年SFモノで定番の設定が出てきますが、研究所の足垣源二郎はブルー・ゾーン生命に支配された未来の科学者であり、ロミイはターミネーターもビックリな殺人ロボットでした。

ますます少年漫画の王道たるバトル物らしくなってきましたが…二子神達也+ジュンの超能力でも太刀打ち出来ない敵の能力と、一体どう戦うのか!?
結果を書くとこの戦闘は勝利するのですが、父親の霊魂を含めジュンの味方は全滅します!それでも一人で戦い続けなくてはならない。ブルー・ゾーンは邪悪な生命が住み、かつて人間が『地獄』と呼んでいた所だったそうですが、では『天国』と呼ばれていた地帯は…それをホワイト・ゾーンと呼び存在が明らかになるものの、話はここで終わります。ブルー・ゾーンの侵略者達と最終決戦する事もなく、何も解決していませんが。

主人公側である少年戦士達のキャラがイマイチ弱いかもしれませんが、ヒロインも敵も美少女キャラが出るし、「サイボーグ009」と別のもう一本の柱としてこの作品ではオカルト趣味を描きつつバトルしていれば代表作になっていた気もするのですが…この打ち切りみたいなラストは残念でした。

ちなみにこちらの単行本は大都社のスターコミックス版。
ISHIMORI-bluezone.jpg
ゴールデンコミックスと同じく全2巻で出たのですが、上巻に「窓」、下巻に「青い万華鏡」という幻想短編が併録されています。

前者は手塚治虫監修の「日本漫画代表作選集6」(実業之日本社刊)にも石森先生の代表作として載ったほど出来の良い作品で、
ISHIMORI-mado.jpg
青森県の津軽を一人旅した高校生が、ある一人の、既に死んだ少女の人生を垣間見る…悲しい物語。

後者もあの叙情的名作「章太郎のファンタジーワールド ジュン」を思わせる内容で、ここでも石森章太郎先生の自身が登場して自らの半生と向き合う自伝的作品。

石森先生のお墓は池袋の"祥雲寺"にありますが、
toshimaku-ikebukuro-ishimori19.jpg

多彩なキャラクターが描かれたこの墓石は、その短編「青い万華鏡」が初出です!
toshimaku-ikebukuro-ishimori20.jpg


今ごろになって、突然おやじがあらわれた!!なぜだ!?
なぜ……そんな大金持ちなのなら、なぜぼくをすてたんだ?
なぜもっと早く……なぜ今ごろ急に?
ぼくは…ぼくはそんなおやじの財産なんて…ほしくない!!



スポンサーサイト
  1. 2013/05/31(金) 23:00:00|
  2. トキワ荘
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<トキワ荘(62) 石森章太郎 51 「草壁署迷宮課おみやさん」 | ホーム | トキワ荘(60) 石森章太郎 49 「青いけもの」「世界まんがる記」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1211-da9f1374
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する