大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(53) 影丸譲也 1 「巨人のサムライ炎」

梶原一騎原作、影丸譲也作画の「巨人のサムライ炎」(海苑社刊)です。
KAJIWARA-KAGEMARU-samurai-of-giants.jpg

今回の作画担当は影丸譲也(後に『譲』の字を『穣』に変更)先生。
1940年生まれの大阪府出身、貸本劇画出身者で、梶原一騎原作は「空手バカ一代」「武夫原頭に草萌えて」「白鯨」があり…そうだ、「新カラテ地獄変」では中城健先生が降板以降のラスト100ページを担当してもいました。でもあれは何故か、影丸先生の名がどこにもクレジットされていないんですよね。
他に梶原先生の実弟である真樹日佐夫原作作品「ワル」や、横溝正史の金田一耕助シリーズ等、数々のヒット作を手がけていましたが、昨年(2012年)に逝去されました。

影丸作品なら他に紹介したい物がいくつもありますが、「巨人のサムライ炎」が最初になったのは「巨人の星」紹介の流れ故です。あの続編である「新巨人の星」の、さらに続編というか番外編というか、とにかく最新の星飛雄馬が見れる作品。初めて飛雄馬が川崎のぼる先生の手から離れたわけですね。

初出は「新巨人の星」と同じ週刊読売で、1979年から翌年まで連載されました。単行本は読売新聞社から全4巻で出版されていたのですが長らく絶版状態が続いてまして、ようやく私が手に入れたのは2004年9月に海苑社から復刻された改定完全版。
これが分厚い本で全3巻…の予定だったのですが、2巻が2005年に出てから待つ事長き年、未だに3巻は出ておらず、恐らく今後も出ないでしょう。よってこの作品は完結まで読めていないのですが、内容がイマイチで飛雄馬もすぐに出なくなるし、今の所レアな読売新聞社版を高値出して購入するには至らぬまま、まぁいいやと思ってます。

舞台は1979年の春にスタートします。
長嶋茂雄監督率いる巨人軍は『空白の一日』とも呼ばれる江川問題でその名が悪名になっている次の年。よって「巨人の星」ではまだ出ていなかった江川卓投手が大物ルーキーとして登場します。ここでは特に言及されていないので、梶原一騎先生が江川問題をどう受け止めていたか分かりませんが、子供達の憧れだったはずのプロ野球の持つ大人の汚さが一気に表面化した事件で、私も大人になってから調べて何と面白いのかと笑ったものでした。
ともかくその江川卓が投球練習していると、突然飛び込んできてその球を打ち返した男有り…彼こそが本編の主人公・水木炎です。東京、大阪、九州と高校を転々としながら野球部に入り、どこでもエースで4番だったものの無類にケンカっ早いだために退学になって甲子園などの実績は得られなかったものの、天才的な野球センスを持っている若者。しかし現在はディスコの帝王で、つまり真面目一辺倒だった飛雄馬とは正反対のキャラが主人公。

長嶋監督は炎に目を付けてフリースカウトの沢田修を使って身辺を調査すると、ジャイアント馬場そっくりな馬耳念仏朗という大阪の高校で一緒だったウマ面と"丸梶荘"(作者二人の名前から名付けてますね)で同居している事が分かり、続いてある野球選手と投打の両面で勝負する事を求めました。
まずは炎が投げてその何者かが打つ段階で、負け知らずだった炎があっさり打たれてしまい…次は逆、炎が打つ番では"蜃気楼の魔球"で三振に仕留められました!この魔球を投げるのはただ一人、そう星飛雄馬だったのですね。
これにより復讐のためではあるのですが、炎は野球に対する謙虚さを持って練習に打ち込むようになりました。相手がプロの一流である事も関係なく『プロだのアマだのは人間のきめたハンデ そんなの野獣のケンカにあるか!?』というわけでして、それが正に長嶋監督の狙い通り。

そんな中、花形満左門豊作が乗り込んできて、彼らのライバルである飛雄馬にアマチュアの炎ごときがケンカ売るのは十年早い事を教えて去って行きました。
影丸譲也先生が描いた花形と左門を見れるのは嬉しいのですが、これは「巨人の星」ファンへのサービスカットだったというべきか、これだけで彼らの出番は終了。

その後、炎がついにテレビに出て売り出されるゲームを仕組まれるのですが、それは女子プロ球団の"ピンク・ハリケーンズ"。女子との対戦というのは驚きですね。
この球団のエースで4番バッターかつ美しすぎる風吹梢は作中のヒロインとして登場し続け、やはり炎に惚れるのですが、それが馬耳との三角関係になって友情が悪化したりの一幕も用意されています。

さてここでもう一度、星飛雄馬に目を向けましょう。
蜃気楼の魔球をライバル達に打ち込まれた彼、つまり「新巨人の星」終了時点ての話ですが、思い描いていた右腕による第二の魔球は開発出来ず、限界を知って悩みぬいたのだそうです。
父の一徹とグラウンドで問答し、幻の名三塁手で終わった父に対して
『一度でも星になった人間には なりそこねた連中にわからん苦悩がある!
 おれはもう終わりなのかあ~~~っ!? うおおおお~~~っ』

と叫んで大泣きしていたのです。
後に炎と対決した時はもう諦めていたのか腹をくくったのか余裕の表情を浮かべていましたが、それから次のシーズンでは長嶋監督が飛雄馬はもう現役としては契約出来ないとして、一軍のピッチングコーチ就任を要請します。それを飛雄馬は水木炎を鍛えるために二軍のコーチを希望するのでした。
星飛雄馬のその後、最新の状態がこの作品になると思いますが、新魔球を開発せずに引退して指導者として球団に残るという姿を誰が想像したでしょうか。まぁ大リーグボールで右腕まで破壊されなくて良かったですけどね。作品自体がマイナーだし、その事はほとんど知られていないのではないでしょうか。
炎が巨人軍の入団テストをパスした時、飛雄馬は伝説の大リーグボール養成ギプスを彼に伝授するのでした。

これで飛雄馬の役割はほとんど終わり、炎一人に焦点が合わされて物語が進んでいくのですが、この作品の主人公である炎の特徴は、投手と打者の両方をやる野球二刀流を目指す事。
まぁ漫画では他の作品でもある設定ですが、これって現実のプロ野球ではありえない事らしいんですよね。パ・リーグは指名打者制度(DH-ピッチャーの代わりに打つ専門の人が打席に入る)からもちろんですが、ピッチャーが打席に入るセ・リーグですら塁に出ることは期待されないし、そもそも打撃練習をしないそうで。それだけ投球練習を専門にやらなきゃ通じない世界。歴史的な大打者である王貞治やイチローもアマチュア時代はピッチャーでしたが、 打撃専門に練習してあそこまでになったわけです。

猛練習して二軍で活躍した炎は、一軍デビューしてそこでも野球二刀流をやれる事を証明しましたが、広島東洋カープの江夏豊投手にプロの凄みを見せ付けられて惨敗する一幕もあり…
明けて1980年のシーズン。伊東市でのキャンプでシゴキぬかれた炎ですが、クタクタな体でヒロインの風吹梢と町を歩き、ラーメン食べて。「巨人の星」のデート舞台は宮崎でしたが、今作では伊東なんですね。そんなにロマンチックなもんではありませんが。
それによって嫉妬に狂った馬耳がライバル球団である広島に入団して敵対したり、風吹梢の方にもアメリカから来た女子プロ球団"アメリカン・ドリームズ"と対決しますがこの敵球団の主要選手二人も炎に惚れて梢も入れた三人で取り合いになって女の争いを繰り広げる、なんてどうでもいい事にページを割いているうちに分厚い2巻までが終わってしまいました。

この後は炎の前に強力なライバルが現れたりの展開があるのですが、冒頭に書いたように私は最後まで読めていないので、これにて終わりましょう。
「巨人の星」関連作品である事はしきりに書きましたが、タイトルと内容は同じ梶原一騎原作の「侍ジャイアンツ」に似ている作品でした。


もともとケンカやらかしたら 負けちゃならねえのがおれの主義!
だが負けた……星さんに 花形さんに 左門さんに……
自分が無性にダメになってることがわかったし
ここは死んでも負けっぱなしじゃいられねえってこと!



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  1. 2013/06/22(土) 23:00:00|
  2. 梶原一騎
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

? ? ? あまりプロ野球はご存じない?

 すると日本ハム大谷も知りませんか 二刀流で話題になってるのに 
まあ大成は望めませんが それこそ話題づくりですよ 

(いや、ココに知らん人が居るんやから失敗やな?)

ちなみに阪神が好きです 
藤浪をよろしく御願いします

野球漫画で言えば初めては「すすめパイレーツ」
「クロパン」「リトル巨人くん」でしたなあ。
  1. 2013/06/23(日) 18:45:26 |
  2. URL |
  3. ヤマモト #-
  4. [ 編集]

現実のプロ野球には興味ありません。

>ヤマモトさま

日本ハム・大谷はパ・リーグなのに二刀流で頑張っていると聞いた時に、ついに出てきたかとは思いましたが、まだそれで成功したと言える成績を残しているわけではないですよね。
  1. 2013/06/23(日) 23:55:34 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

 ハイ 成功せずに終わると僕は見てます 
もうヘトヘトちゃいますかね?
日ハムも客寄せで大変やなと

変なレスして失礼しました。
  1. 2013/06/24(月) 13:26:58 |
  2. URL |
  3. ヤマモト #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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