大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(162) 平田弘史 2 南條範夫 5 「駿河城御前試合」

今夜は時代劇画の巨匠平田弘史先生が南條範夫著の時代小説を劇画化した作品で、「駿河城御前試合」(マガジン・ファイブ刊)。
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1966年から翌年までと、貸本マンガに見切りをつけて上京した時期の平田弘史先生がコミックMagazine(芳文社刊)にて掲載したこの傑作が、2005年に全2巻で単行本としてまとめて再発されました。
原作小説と南條範夫先生についてはずっと後に同作品を劇画化した山口貴由先生の「シグルイ」の所で簡単に説明した覚えがありますが、寛永6年に駿府城で…精神異常の城主・徳川忠長の面前で真剣を用いて行われた御前試合、11番勝負を描いた作品。1956年から数年かけて書かれたそうです。

その中から内容が平田弘史先生のお気に召さず描かなかった第1試合「無明逆流れ」は、実弟のとみ新蔵先生が「無明逆流れ―駿河城御前試合第一試合」として劇画化しているので補完できるでしょう。上記の「シグルイ」もこの話ですが、他の短編からの登場人物は出るし山口先生による独自の脚色が凄い事になっています。
原作の第5試合「相打つ「獅子反敵」」と第7試合「飛竜剣敗れたり」も描かれておらず、また第10試合「破幻の秘太刀」が描かれたものの単行本に収録されていません。その理由が平田先生のペンが進まずに手伝いの月宮美兎先生がほとんど描いた作品になってしまったからだそうで。ちなみに月宮美兎先生、この方は私も鬼城寺健名義で描いたホラー作品を既にいくつか紹介していますね。

つまり今回紹介の平田弘史版「駿河城御前試合」全2巻は、7試合分が8話に分けて収録されています。
原作に近い形で全試合を読みたいのであれば、つい近年まで森秀樹先生が描いていた「腕~駿河城御前試合~」が一番良いでしょうね。それぞれの個性でどれも素晴らしい劇画になっていますが、特にすんごい画力でうならされるのは、描かれた時代が一番古い平田弘史版かもしれません。

そんなわけでを順に追ってみると、まず原作の第2試合「被虐の受太刀」でスタートします。美貌の剣士に斬られて快楽を得る性癖を持つ、全身傷だらけの座波間左衛門…
第3試合「峰打ち不殺」は峰打ちを極めた『不殺剣』を編み出した月岡雪之介の話ですが、「破れたり不殺剣」と改題しています。
第4試合「がま剣法」「蝦蟇剣法」と改題し、平田先生が得意とする醜い容姿のしかも変態・屈木頑乃助を描いています。
第6試合「風車十字打ち」は実は忍びの者だった津上国乃介の周りに渦巻く陰謀を描き、
第8試合「疾風陣幕突き」は判官流疾風剣の小村源之助が槍の使い手と絶対に負けられない勝負を…
第9試合「身替り試合」だけは騎馬戦にて勝負、しかも甲冑を着けているので身替りとして中身の人物が!?
第11試合「無惨卜伝流」「は、これだけ「無残執念剣」と合わせた二部作で内容も大幅にアレンジされています。前者は貴重な塚原卜伝の血を引く美貌の阿由女を巡った男性器不能の男を描き、後者は醜い水谷八弥の醜い陰謀を描いています。

上記の試合それぞれでまた魅力的な相手方もいるわけだし、絵で見せる劇画ならではの派手さも取り入れて平田流のアレンジが入っていますが、細かい説明は文章量が凄い事になるので諦めました。
また、この単行本では上巻に『武士道無惨』シリーズという事で「復讐の石牢」「眼を突く剣士」「邪淫許すまじ」の3作が、下巻に『戦国無惨』シリーズという事で「鬼哭の城主」「悲運記」「無為の生涯」の3作がそれぞれ収録されていますが、これらも全て南條範夫原作作品。同じコミックMagazineでほぼ同時期(1967年~68年)に描かれた物なので違和感はありません。
これら御前試合シリーズ以外の作品も同じくらいのページ数でして、となれば単行本は上下巻に分けずに独立した形でそれぞれ上梓すれば良かったのではと思いますが…やはり当時「シグルイ」で盛り上がっていたこの話をいかに売るかの商売上の理由で、各1680円を2冊でいけると判断してこうなったのでしょうか。
私としてはそもそも嬉しい平田弘史作品の復刻(単行本初収録作品も2編あり)でしたし、やはり御前試合シリーズ以外のも大満足の凄すぎる残酷時代劇だったので、笑顔ホクホクでしたが。

とかくカッコ良い物として表現されがちな『武士道』とか武士そのものがいかに変態でキチガイで残虐であるかをはっきりと描かれているこの作品集、読むべきでしょう。
次回から、今度は原作無しの平田弘史作品も少しずつ紹介していきます。


この頑乃助を差し置いて他の男と契りを結べば その男何者であろうとも……
その男の鼻を削ぎ 両足切断して息の根をとめてくれるぞ!よいな!



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  1. 2013/07/10(水) 23:00:00|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ネット風評被害監視です。

ネット風評被害監視です。
今回は特に問題は見受けられませんでした。
また立ち寄らせていただきます。
  1. 2013/07/11(木) 12:14:32 |
  2. URL |
  3. ネット風評被害監視 #0T3oWPUQ
  4. [ 編集]

秋田アンサーです。

秋田アンサーです。
今回、コメントさせていただきます。
また見せていただきます。
  1. 2013/07/12(金) 10:47:48 |
  2. URL |
  3. 秋田アンサー #KOsgK25Q
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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