大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(165) 平田弘史 5 「烈願記」

平田弘史作品より、「烈願記」(青林工藝舎刊)。
HIRATA-retsuganki.jpg

この所紹介しているのは、青林工藝舎から次々と復刻されていた平田弘史作品ですが…
今回は『平田弘史Chrolonogies』と題してオリジナル短編を中心にリマスタリングして編んだシリーズの、ラストを飾った第3弾「烈願記」です。大増ページで全280ページ、1968年の作品ばかり9作品が収録されています。しかも初版限定でカラー四十頁を完全再現するという試みまでしてますよ!
ちなみに同シリーズの第1弾は「それがし乞食にあらず」、第2弾は「叛逆の家紋」と、いずれも表題作を平田作品屈指の名作で固めています。

まず表題作、「烈願記」
敵将の首を討ち取ってきたら美しい娘をくれると言われて、ろくに剣も握れぬ柔弱者である中野新三郎がある方法で取って来るのですが約束したはずの御家老はそれを反故にし、汚い手段で新三郎を葬ろうとする…
人の腕や首がポンポン飛ぶシーンもある残酷モノの一つですが、それより人間の精神こそがおどろおどろしい。

他に収録されているのは、「日陰者の死」「荷駄隊始末」「刃返斬法」「刃返し斬法」「反骨刃傷記」「喪根記」「武骨者」「武人鬼」

どれもレベルの高い骨太の時代劇で、よくもここまで凄い作品を短期間のうちに次々と描いたものですが、特に気になるのは…「刃返斬法」「刃返し斬法」って、タイトルがほとんど同じですよね。
内容もどちらもある達人の剣にかかると相手を無傷のまま、しかも6時間後に殺す事が出来る秘儀が登場します。さすがにそれはありえないSF世界の設定だと思いますが…でもメチャクチャ面白い!
前者は元々は「剣記」というタイトルであり、執筆時期も内容も類似するものだから当時の編集者および作者自身もタイトルを混同したまま単行本に収録してたみたいなんですよね。ちなみにお話の方は最後、ついには目力というか念力というかのエスカレートしすぎな技まで出てきました!

「喪根記」もすさまじい…南條範夫原作の「駿河城御前試合」で平田先生自身は描かなかったエピソード「無明逆流れ」の影響を感じる話で、女癖が異常に悪すぎる美剣士・速見新之助がついに両目を切られて盲目となりながらも、3年後に復讐を始める…それに付き添う女…と、まぁ伊良子清玄そのままですが、ここでは両目だけでなく男根まで斬られて失っているのですね。つまりタイトルの喪う『根』は男根の事です。

帯には本宮ひろ志先生の『最も影響を受けている漫画家は誰かと聞かれれば、私は平田弘史と答える』という言葉がでかでかと載っていますが、本宮先生…絵の上手さではまるで及びもつきませんが、きっと武士道を始めとした作品に流れる精神性での影響を言っているのでしょうね。「我が心の師」として平田弘史先生と初対面時のエピソードを書いています。


およそかかる場合に先走る者は 結局 孤立するものじゃ
孤立してしもういた者に残るものは何もない 自滅と罪名だけじゃ



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  1. 2013/07/18(木) 23:59:27|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

ひさしぶりですBRUCEさん。

帯には本宮ひろ志先生の『最も影響を受けている漫画家は誰かと聞かれれば、
私は平田弘史と答える』という言葉がでかでかと載っていますが、本宮先生…
絵の上手さではまるで及びもつきませんが、きっと武士道を始めとした
作品に流れる精神性での影響を言っているのでしょうね。「我が心の師」として


其の辺は初耳ですね。そうなのでしたら一度で良いから
"原作・本宮ひろ志 描画・平田弘史"で
何かしら作品を執筆しても良かったのでは無いでしょうか……
ジャンルはこの際、問わないですので(「平田弘史のお父さん物語」を見るに
現代劇作品でも意外とイケたんじゃないか? と)。
  1. 2013/07/19(金) 07:26:11 |
  2. URL |
  3. 流浪牙 #-
  4. [ 編集]

大関敬助です。

大関敬助です。
今回、コメントさせていただきます。
また見せていただきます。
大関敬助でした。
  1. 2013/07/20(土) 12:17:47 |
  2. URL |
  3. 大関敬助 #jDJ73/uc
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。

>流浪牙さま

私も本宮ひろ志&平田弘史の組み合わせは、この本が出るまで全く思いつきもしませんでした…
本宮原作作品の執筆が可能かどうかはともかく、平田先生の現代劇作品は見たいですね。


>大関敬助さま

よろしくお願い致します。
  1. 2013/07/20(土) 12:26:54 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

"平田先生の現代劇作品"についてですが。

こちらが平田先生の現代劇作品「平田弘史のお父さん物語」です(転載画像ですが)
ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/db/3b57334bae567c99896a476d3e76bd53.jpg
ttp://www.manga-news.com/public/images/series/ma-voie-de-pere-delcourt.jpg
ttp://memo.takekuma.jp/blog/images/otousan-05_2.jpg
ttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/images/otousan-07.jpg
ttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/images/otousan-08.jpg
ttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/images/otousan-02.jpg
ttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/images/otousan-10_2.jpg
ttp://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/6a/00/hanshirou/folder/956197/img_956197_28997807_2?1350956783
ttp://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/6a/00/hanshirou/folder/956197/img_956197_28997807_3?1350956783
ttp://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/6a/00/hanshirou/folder/956197/img_956197_28997807_4?1350956783
諸作品の壮烈さとはまた違った魅力が味わい深い作品ですね

>本宮原作作品の執筆が可能かどうかはともかく
本宮センセイは描画作業においては他の人との協力形式を採ってるそうですから
(そのせいで作者本人による直接的ペン入れは登場人物の眼だけだという迷惑な妄説が囁かれてしまったり……)
平田先生の執筆も十分に可能ではないのでしょうか?
  1. 2013/07/31(水) 08:57:48 |
  2. URL |
  3. 流浪牙 #-
  4. [ 編集]

>流浪牙さま

何かいっぱい貼り付けて頂いたようですが、「平田弘史のお父さん物語」の画像を貼っているのでしょうか。
つまり、私があの名作を持ってないと思うのでしょうか…ああ、上のコメントで勘違いされたのかもしれませんが、それは『劇』作品ではないですよね。

  1. 2013/07/31(水) 20:51:16 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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