大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(166) 平田弘史 6 「御用金」

平田弘史作品より、「御用金」(マガジン・ファイブ刊)。
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実は平田弘史先生は映画のコミカライズも複数手がけていて、「座頭市」「人斬り」辺りも良いのですが、今回紹介するのはそれらと同じく週刊少年キング(少年画報社刊)で映画公開と同時に連載された「御用金」
これの映画版は仲代達矢、中村錦之助、丹波哲郎らが出演し、三船敏郎が途中降板した1969年公開の時代劇作品ですが、平田弘史劇画版が存在すると知ってから何年待ったでしょうか…初の単行本化は2005年、何と連載から36年後なのだからひどい話ですが、ついに読める時が来たとあって当時の私も飛びつきました!

舞台は天保時代で、オープニングは海。迫力の大波シーンに続き、"竜の岩"にのしあげてしまって難破した船…それは幕府の御用船であり、積荷は金の山でした。
それを飢餓が襲う黒崎村の漁民達が引き上げて横取りしようとしたため、越前国鯖井藩の役人達の手で皆殺しにしました。しかもその金を今度は鯖井藩が横領し、漁民達は『神隠し』にあったとされた…

それを知る脇坂孫兵衛は鯖井藩士に命を狙われる事となり、藩校時代の親友だった鯖井藩家老の六郷帯刀とも対立します。浪人と家老、領民側と藩士側となったこの親友対決が物語のメインでもあります。
孫兵衛は江戸まで送られてくる刺客らを次々と返り討ちにしているので、その討伐隊に加わって殺された遺族らも彼を仇として追ってきて、恨みが恨みを呼ぶ状態。
特に土方弥之助は、孫兵衛がある理由で行動を共にしていた庄吉という子供を人質に取って孫兵衛を古井戸に落とす罠にかけます。しかし落ちかけながらも手を掴まれ、何と自分の手を切り落してまで彼を落とすのですが、とどめをさす前に力尽きました。
結局庄吉も死んで…助かった孫兵衛ですが、再び鯖井藩へ向かうのでした。庄吉の姉や幕府の隠密も登場し、孫兵衛は捕らえられ、最終決戦へと突入します。

衝撃の単行本発売当時は、映画原作だとか少年誌での連載だとか意識しすぎてオリジナル作品に見られるような思想性を無くしてるのではないか、リアルな斬り合い描写も抑えられているし…と物足りなく感じていたのを覚えています。
しかし今、改めて読むとこれが面白い。武士道の精神がどうとか普段言っている侍の汚さ、それでも一人だけ武士として、男としての生き方を変えない主人公が描かれているし、話が分かりやすいのも良いでしょう。当時はずっと読めなかった幻の長編という事で、期待しすぎただけだったのですね。

それからこの単行本にはもう一編、白井喬二原作の1968年作品「名工自刃」も収録されています。こちらは刀鍛冶の天才ながら、頑固すぎる生き方しか出来ないため苦労して…と、平田作品らしい主人公を描いた傑作でした。
解説「血は地を乗り越えんとする」を書いているのは"幻の名盤解放同盟"の湯浅学さま。相変わらずこの人の文章は凄いです。意味はよく分からないけど(笑)…文章でこの個性!


いうな!大の虫の侍を生かすために 小の虫の漁民を殺す!これがおぬしの立場だというのであろうが!
大小の虫ともに殺さず 藩をすくうことのできぬ無能の家老とは おぬしのことよ!



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  1. 2013/07/30(火) 23:11:15|
  2. 劇画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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