大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(167) 平田弘史 7 「弓道士魂 京都三十三間堂通し矢物語」

平田弘史作品より、「弓道士魂 京都三十三間堂通し矢物語」(大都社刊)。
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1969年から翌年までの週刊少年キング(少年画報社刊)にて連載された作品で、これはもう傑作ばかりの平田弘史作品中でもトップクラスの名作でしょう。
大都社の分厚いハードコミックスで全1巻のページ数で完結していて、私はこの1974年に上梓された初単行本を何度も読んでいたのですが…
ずっと後になってこの単行本には収録されていない話が4話もあったと聞いて驚いたものです。

それを知ったのは2006年にマガジン・ファイブの『レジェンドコミックシリーズ』で全話収録の「弓道士魂 完全版」として復刊されたからであり、喜んでいたら2010年には廉価版のコンビニ本でも「廉価版 平田弘史傑作集 弓道士魂」(松文館刊)なんてのが上梓されたりして、もうすっかり『弓道士魂は平田弘史の代表作である』と世間で認識されていますね。
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内容は江戸時代初期を舞台に、京都府の三十三間堂で実際に繰り広げられていた『通し矢』合戦を描いたもの。
1964年に描かれた自作の中編「闘魂」を元ネタにしているのですが、それをはるか壮大にして長編として再構成した「弓道士魂」。(他に「三十三間堂外伝」という短編もあります)
始めは三十三間堂の全長120メートルもある軒下で、廂にも縁にも当てずに矢を射通す『通し矢』を、ある豪傑が51本も通したというので騒ぎになったのが発端でした。他にも挑戦する者が現れ、失敗しては不名誉を恥じて切腹して…ただしその記録もいつかは破られる。80本、126本、159本…数年後には4000本近くまでレベルが上がっていて、これを各藩が名誉をかけて破るべく必死になっている時代。
もう簡単に破れるわけのない記録であり、次々と失敗しては切腹し強い人材を失うのは損失だからと各藩が手を引く中、意地になっているのは徳川御三家の尾張藩と紀州藩です。
尾張藩はついには杉山三右衛門によって5044本という記録を作り、それを塗り替えるため命がけの猛特訓をする紀州藩。

城下の広場まで急ごしらえの矢場として使用されたため、ある下級武士が農作業中に流れ矢が刺さって死んでしまうと、怒った息子の星野勘左衛門は責任者を射抜いて父の仇を討つのでした。
この勘左衛門が本編の主人公で、殺されかけた所を尾林与次右衛門が救い、その弓の才能を買って彼を鍛える事になります。
後の展開も一切中弛むする事なく進むのですが、単純に矢を射る腕が上達しても藩の名誉・記録更新のためだけに過酷すぎる修練を行い多数の者が命を落としていく事に疑問を持ち…また現在の通し矢の記録更新を成し得てもまた次の者が超えるかもしれないので目標をどこに置けばいいのかわからぬ事に悩み、射士の技量以外にも弓具の工夫もせねばと話は及び、もう無限地獄。
ゆがけ(手袋のようなもの)は汗がたまって射づらくなってくるし痛むから替えたり、その取り替える人をゆがけ師と呼んでいる、だとか弓師も矢師も弦師も皆が勝負の時には出てきています。天候で条件が変わる厳しさも描かれるし、弓道の細かい部分までリアルに描いた一級品ですね。

人生を通し矢だけに使い、名誉に命を賭け人間の限界に挑戦する事の意味とは。星野勘左衛門は天下惣一を達成出来るのか!?
ラスト近くには勘左衛門に対してまさかの藩の言いがかりがあり、目が離せぬまま…おお、こんなラストに!


おぬしらは なにも考えることがないのか~~っ 考えることができぬ人形なのか~~っ
無限への挑戦だとおだてられ あやつり人形のごとく 機械のごとく動かされている 馬鹿な自分に気がつかないのか!
真の武勇とは 通し矢で記録を樹てることではない!それが おぬしらにはわからんのか~~っ



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  1. 2013/07/31(水) 23:59:54|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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川瀬雅克です。

川瀬雅克です。
今回、ブログを見させてコメントしました。
また、次回も見に来ます。
川瀬雅克でした。
  1. 2013/08/05(月) 16:28:39 |
  2. URL |
  3. 川瀬雅克 #p79ZI5k.
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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