大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(168) 平田弘史 8 「武田信玄外伝 片目の軍師」

平田弘史作品より、「武田信玄外伝 片目の軍師」(日本文芸社刊)。
HIRATA-one-eyed-gunshi.jpg

タイトルで武田信玄の名前が出るので平田弘史先生が描いた信玄モノかと思われるかもしれませんが、外伝と付いていて、そして武田信玄の軍師といえば…そう、山本勘助が主人公。彼の話を独自の解釈で描いたゴラク・コミックス全1巻。

そもそも山本勘助は『武田の五名臣』の一人であり、信玄モノの小説やドラマなどには大抵登場するので知名度こそあるものの、実在したのかどうかさえ怪しいとされる人物。
それを平田弘史先生が持ち前の凄まじい画力で丁寧に、生い立ちまで遡って肉付けしているものだから、劇画ファンの間では史実がどうかよりも、ここで見られる勘助の人物像が決定版とでも言うべき姿になっているのです。よって世間ではこれも諸説ありますが、片目・片足の姿が我々の間では正しい山本勘助。

幼い頃から肉体的な欠陥を抱えていた彼は常に仲間外れにされて育ち、こじきのおじさん達と仲良くなる事によって貴重な話を聞き、人目を忍んで本格的に諸国の事を勉強し始める事で将来が開けてくるのです。
ある方法で自分を売り出し、卑怯な手を使ってでも生き残って知識を活かし、後に戦国時代の甲斐の国で武田晴信(のちの信玄)に気に入られて見事に出世し、武田家にとってなくてはならぬ軍師になっていきます。
とはいえ武術の武田家の家来からも疑われて命を狙われたりと、障害も多くあるのですが…これをいかに乗り越えていくかは、ただ強い剣士が戦いに勝って出世していく話よりもよほど見ものです。

勘助と違って信玄は作品のタイトルに名前が出てくるのに影が薄いのですが、家臣が何と言おうが、そして勘助が汚い手を使って元々の仲間を殺して生き残った話などを聞いても、むしろ『のけものにされている男がじぶんを一人前以上の人間にしようと努力しているようすがおもしろい!』と評価し、今後軍事として考える作戦に期待するのだから大人物ですね。

この平田弘史版の山本勘助が何かを企んでいる事はわりと最初から匂わせていて、読者にも本当に武田家の味方なのか分からせずストーリーが進むのですが…ラスト近くに用意している陰謀の正体、そしてそこから驚きのどんでん返し!
謎が多い人物を描いているだけに平田弘史先生の創作部分も多いのではないかと思いますが、越後国の上杉謙信と戦った川中島合戦で壮絶なラストを迎えるのは、一応良く知られた話通りでした。


幼いころから おれをかたわ者とあざわらい さげすみ
のけ者にしてきた世間のやつらに おもいしらせてくれるのだ!
重税を課し 死ぬほど働かせて…
税をおさめぬ者は首をちぎり 手足をもぎとってくれるのだ!



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  1. 2013/08/06(火) 23:17:43|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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