大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(121) 古屋兎丸 6 「Marieの奏でる音楽」

古屋兎丸作品、次は2001年の「Marieの奏でる音楽」(ソニー・マガジンズ幻冬舎刊)。
FURUYA-la-musique-de-marie1.jpg

初出は2000年から翌年までの月刊コミックバーズで、単行本は全2巻。連載中に掲載誌の版元が変わったため、上巻はソニー・マガジンズから、下巻は幻冬舎からの刊行となっていますが、後に上巻も幻冬舎から新装版として出ました。
天才、古屋兎丸先生が次に手がけたのは長編ストーリー漫画で、少女ピピと少年カイの奇妙な恋愛を絡めたファンタジー。

本の表紙を見ると上巻がピピ、下巻がカイなのですが、こうして並べてみるとピピがカイに卵を渡そうとしているのが分かりますね。これはこの世界で何を意味するのか、それは内容を読んでもらいたいのですが、彼らが住んでいるのは"ピリト"にあって人々が穏やかに生きる工房の町・ギル。他の町や星全体、その生活ルールに至るまでリアルに作り上げられた作品世界が見ものです。
そしてこの中でも大きな特徴は、上空に浮かんで星を周回している女神、マリィ(Marie)。人々の心に信仰を根ざす巨大なからくり人形姿の神様で、ある重要な役割をもっています。それはタイトルになっている『Marieの奏でる音楽』の秘密と共に、後半になって一気に明らかになっていきますよ。

この時代の古屋先生は絵柄がポップになってきましたが、まだ緻密な絵を描いていたので、設定に合わせて描かれた細かい絵をじっくり楽しめます。島や街や建物もさることながら、設定上特に目立つのが機械。機械仕掛けの原生林とか、機械萌えの人にはたまらないでしょう。

ある事件をきっかけに耳に特殊能力を持ったカイは徐々に人間離れしていくしマリィの事ばかり考えていますが、そんなカイにずっと片想いするピピ…
おっと、一々素晴らしい絵も見てもらえずに文章だけで説明すると、表紙がぬるい少女漫画みたいに見えるのもあって大半の男性はあまり興味なさそうな恋愛モノかと思われるかもしれませんが、下巻に入ってからの展開はテンション高いです。

それからラスト直前になって明らかにされる、本編最大の謎…どんでん返しに驚きます。アイツがアレでアアだったわけですが、その全てが分かった上でもう一度読み直すと様々な伏線に気付き、つじつまが合っている事も分かるのです。
もう、凄い凄い凄~い!
エピローグは50年後の彼らが描かれますが、まだ続いていた壮大な愛に泣けます。衝撃のデビュー作「Palepoli」で見せたお得意の技法も活かして物語を締めてくれました。

空に浮かぶ神、マリィの存在を通して現実世界での『宗教』についても考えるきっかけになるかもしれません。実は私はかねてより宗教はあった方が良いと力説している者ですが、ただし既存の宗教では無理な事も分かっています。世界を一つにまとめる(その必要があるのかはともかく)には絶対に必要だと思うし、その宗教の神が今作ではマリィ。
神は優しいだけ、都合良いだけの存在ではありえない事や、神も人間がいなくては存在出来ないという真実なんかもさらっと描いています。

この頃のインタビューが載っているコミックH(ロッキング・オン刊)の新装刊第2号、表紙イラスト描いているので画像も載せますが…
comic-H-vol2.jpg

ここで、
『今、連載している作品も構想は1ヶ月なんですが、地球上をゆっくり回る巨大な女神像っていう絵だけは、ずっと頭のなかにあったんですよ。だから話は後付けですね。その絵が描きたいがために描いてます』
「Marieの奏でる音楽」の取っ掛かりについて語っていました。

この名作も私、カイのイラスト入りサイン本を所持しています。
FURUYA-la-musique-de-marie2.jpg

こちらは、宛名も入れて頂きました!
FURUYA-la-musique-de-marie3.jpg


信仰とは愛することです
愛し方は人それぞれ違うのですよ
私はうらやましい
マリィを性的に感じることができるなんて
カイは全身で信仰をしてるのですね



スポンサーサイト
  1. 2013/10/08(火) 23:59:27|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<月刊漫画ガロ(122) 古屋兎丸 7 「自殺サークル」 | ホーム | 月刊漫画ガロ(120) 古屋兎丸 5 「プラスチックガール」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1253-47dddd0e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する