大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(124) 古屋兎丸 9 「ハピネス」

古屋兎丸作品、続いては2006年に上梓された短編集「ハピネス」(小学館刊)。
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前回の「π パイ」と同じくB6サイズで、絵柄も近いけど内容はずっとシリアスな思春期の物語。10代後半の弱い少年少女を描いた話ばかり、8編が収録されています。
白を基調とした美しい少女の表紙で、涙が流れてタイトルにある水色の部分は浮き上がっている凝ったつくり。「π パイ」の時も乳首部分が浮き上がる形などでこの手法が使われていましたが。表紙を開くとさらに、この少女の目が開いて『ハ・ピ・ネ・ス』と口の形で言っていくパラパラマンガになっています。

順に見ていくと、まず2003年の「嬲られ踏まれそして咲くのは激情の花」
中年教師と付き合って、もちろん肉体関係も繰り返す女子高生の話で、少女の一途さを描いている…のだと思いますが、今や教師の方に年齢が近い自分から見たら汚い大人具合が分かるし、小難しい事言って美しく締めてもごまかされないぞ!
初出がマンガ・エロティックス(太田出版刊)なので、サービスカットなのか女子高生ヌードは何度か出ますが、あまりエロくないな…

2001年の「ロリータ7号」
また高校の教師と女子生徒ですが、いとこ関係。ここでの教師は変態(ロリコン)のキモオタ、しかもデブで教師ながら引きこもりになったのですが、それをいとこで美人の女子高生が救うために動く。大人の体になって今や彼が好きだったロリータ7号じゃなくなりましたが、絵のモデルになっていた幼女の頃に戻ればと、ゴスロリファッションに…うーん、そのオチ…

2002年の「あくまのうた」
女子高生の親友同士を描いてます。片方は悪魔崇拝の趣味で、辛い現実から目をそらして思春期特有の思い込みでルシファー様の迎えを待ち、それを心配するもう片方が引きずり込まれていく。
幻想シーンの絵が面白い、傑作!

2001年の「もしも」
女学生二人が地下鉄の車内で『もしも話』をしている短い話ですが、あるオチが用意されています。
1コマずつながら、吉田戦車先生と楠本まき先生が参加している貴重なコラボ作品でもありました。

2004年の「ハピネス」
表題作となっているこれは男子学生が主人公、そしてやはり弱者…いじめられっ子。彼が思い込みの激しいバンギャの少女と出会い、一緒に自殺する事を決意するがしかし!?
『自分と同じ側』とか10代ならではのイタさが恥ずかしくて良いし、ちょっと胸キュンな二人のキスとか良かったのですが、でもこの作品はラストがひどすぎてどうしても好きになれないのでした。

2004年の「雲のへや」
知恵遅れ的にグズで、雲が好きな女子高生が不思議な建物と出会い、高校卒業後一人暮らしを始めると…
その建物はひどい詐欺物件だし、家賃を稼げずに汚い大家の親父にやられたりします。ちょっと頭の弱くて若い娘を食い物にするって、嫌すぎる話ですよね。それがエロ話としては興奮する物でもあるのですが。
それでも彼女は親切で同世代の隣人と恋に落ちますが、待っているのは陰惨な結末、しかし一筋の希望が。絵の表現も凄いです。

2004年の「インディゴエレジィ」
今度は男子高生の二人組が主人公。優等生でイケメン美術部員と、頭悪すぎる間抜け面の凸凹コンビですが、後者が幻視力を持っているのでそのイメージを前者が絵にする、という関係でもあります。
そこへ二人共通のマドンナが接近してきて…と、これがストレートな青春物語に仕上がっています。このバカキャラが特に魅力的!

最後は2006年の「アングラ・ドール」
これだけ原作が、りずむという人の漫画らしいです。絵が未熟なせいで発表出来てなかったのを、絵が上手い古屋兎丸先生の手でまさかのリメイクをしたのだと。
これが先の「雲のへや」と同様に、頭の弱い娘がオヤジに食い物にされる話なんですよ!性だけでなく金ヅルとして地下アイドルをやらされて、他にもエグい描写があるし、可哀想な女性…って、最後にこの女はそのまんま「雲のへや」の主人公であり、あの後日談っぽい事が分かりました。
どちらも初出誌が月刊IKKIであり、この2作だけがこの短編集の収録作品の中で、直接関係ある話ですね。

他は基本的にティーンエイジャーが主人公だとか、社会に適応出来ないダメ人間が出るとかが共通点でしょうか。掲載誌も登場人物や背景もそれぞれ違いますが、単行本で読む時…全て連作の青春モノだったと思えるのです。全体的にポップな絵柄でちょっとエッチ、しかし時に重く切ない短編ばかり集められているからかな。
不幸な話が中心なのにタイトルに『幸せ』」を意味する『ハピネス』(happiness)と持ってきたのも意味深ですね。まぁ思春期に幸せは似合わない、しかし死んだ奴以外、若い彼らには色々な可能性を含んだ未来がありますからね。
ただ、作品の出来とか評価と関係ない部分かもしれませんが、個人的に苦手な話が多くてほとんど手に取る事無く本棚で眠っている一冊です。


私の1万の化身たちが 今日も人々に悪い心を植えつけているんだ……
たくさん働いたら 私はルシファー様の6666億6666万6666番目の妻になれるの。
その日も もうすぐ……かもよ



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  1. 2013/10/18(金) 23:00:13|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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