大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(125) 古屋兎丸 10 「ライチ☆光クラブ」

古屋兎丸作品、「ライチ☆光クラブ」(太田出版刊)。
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マンガ・エロティクスFで2005年から翌年まで連載された作品で、単行本は全1巻。
これは原案がある作品です。飴屋法水主宰で1980年代の伝説の劇団『東京グランギニョル』が4作品のみ上演した作品のうち3作目、「ライチ光クラブ」がそれなのですが、古屋兎丸先生は当時観に行っていたそうです。
東京グランギニョルといえば、私は世代的にも間に合わなかったし、何より演劇に疎いのですが、それでもよく聞く名前だし観たかった思いはあります。何故ならこの劇団、あの丸尾末広先生が宣伝美術や出演までされていたから!

さて「ライチ☆光クラブ」は、工業都市・螢光町の秘密基地『光クラブ』に集う少年達の物語。
廃墟の帝王ことゼラを中心とした9名は全員、螢光中学校という男子校の学生ながら、侵入者は腹を割き内臓引っ張り出して殺しちゃう狂信集団。彼らが一年半をかけて完成させた優美なる機械(マシン)を使って、ある目的を果たそうとするのですが…
機械、というよりロボットのイメージですが、彼はライチと名付けられ、何度か失敗しながらも『美しい』の概念を理解して、命令通りに1人の美少女を捕獲してくるのです。

このライチは一年半かけたというセリフこそあるものの、フランケンシュタインみたいに造る苦しみは描かれずあっさり誕生した感じで、しかも現代では不可能な性能ですよ。オリジナル演劇でライチ役を演じた嶋田久作に似ているのもヒットポイント。
ライチの内部構造(頭脳)描写で楳図かずお先生の傑作「わたしは真悟」のシーンを思わせる所が出てくるのですが、オリジナルの演劇自体が「わたしは真悟」がモチーフになっていたそうですね。巻末に古屋兎丸先生のあとがきが載っていて、そこら辺も細かく書かれているのですが、楳図先生の『楳』の字を間違えて梅図かずお、となっているのはいただけない…

捕獲されて秘密基地に監禁された美少女はカノン。眠り続ける彼女を光クラブでは女神と崇め、次へ進む…はずだったのですが、話は外に出ていけません。まぁ演劇が基になっているので舞台はほとんど秘密基地内の密室劇なんですよね。
ここから仲間を信用出来ないゼラの疑心暗鬼が病的になり、違反者の処刑や裏切りそうな者の幼い妹をさらう、等の行動が現れてくるのです。本当の裏切り者は誰なのか!?

結束が崩壊した光クラブの内ゲバ、それに機械であるライチと少女の恋、などを主題に血なまぐさいグロテスクさ(グラン・ギニョール的)で描かれていくのです。9人の少年達の役割がピッタリ符合する、良く出来たシナリオが素晴らしい。
あとがきにあるように、高校生で東京グランギニョルの演劇に出会って人生が狂った古屋兎丸先生は『東京グランギニョルと丸尾漫画から「価値観の基準」をいただいた。』というのだから、正にこれが自分の描きたい好きな世界であり、実際に本領発揮して代表作になったと思います。
さらに主要登場人物がほとんど学生服姿、しかも男同士のストレートなエロ場面がいくつかあるので、腐女子にはたまらん内容なんでしょうね。

掲載誌のマンガ・エロティクスFで古屋兎丸先生がスター扱いされており、何度も表紙を描いているのも嬉しい事でした。
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後に古屋兎丸先生自身の手でこの前日譚「ぼくらの☆ひかりクラブ」(今作における第四話目のタイトルでもある)が描かれるし、昨年は紀伊國屋ホールでの舞台化、「ライチ DE 光クラブ」としてギャグアニメ化がされました。
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舞台化時には記念の原画展『少年少女の箱庭』が銀座の"ヴァニラ画廊"で展開されて盛り上がったし、さらに今年になって実写映画化も決定!とにかく根強い人気が残っています。
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螢光町!!黒い油と黒い煙に覆われた老いた街!!
疲れきった醜い大人たち!!
我々は否定する!!あの醜い生き物"大人"を否定する!!
我々光クラブこそ、螢光町に灯る希望の光だ



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  1. 2013/10/20(日) 23:00:25|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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