大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(128) 古屋兎丸 13 「インノサン少年十字軍」

古屋兎丸作品紹介、続いては「インノサン少年十字軍」(太田出版刊)。
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初出はマンガ・エロティクス・エフで、2007年から2011年までという、期間だけでいえば古屋兎丸史上最長の連載でした。単行本は全3巻、千ページを越えます。

舞台は中世ヨーロッパ…1212年のフランスです。
まだ12歳で羊飼いの少年エティエンヌが、ある日牧羊地で喇叭と一通の手紙を拾うと、十字架に磔にされたイエス・キリストが現れて御神託を受け、髪と目の色が変わる。そのキリストは十字架に磔けられている姿が上空に現れるというもので、サルバドール・ダリの絵画「十字架の聖ヨハネのキリスト」みたい。
ともかくいきなり『奇跡』ですが、それから町が盗賊に襲われた所を不思議な力で救うと、神の言葉に従って聖地エルサレムへ向かう事を宣言するのです。そこに町の少年達が集まり、8歳以上14歳以下の仲間だけで無垢なる子ら(インノサン)の『少年十字軍』を結成し、遥か遠くへ旅立つのでした。

エティエンヌ曰く、
『僕はこの時を待っていたのだと思います
人間はたとえ楽園に生れていても幸せになれない罪深い存在だと思うのです
神の声に導かれるまま進み 自分の手で勝ち取ったものしか 自分のものだと信じられないし
満足できないと思うのです』

という事ですね。

エティエンヌの他のメンバーは、養豚場の子で自らの額を切り裂いて十字を刻んだ親友のニコラ、商人の子で天才的に頭のいいクリスチャン、泣き虫のアンリ、領主の息子で性格悪いギヨーム、双子のロランリリアン、癩病のレミー、盗賊団の一員だったギー、少年修道士のミカエル…その他、バラエティ豊かなキャラクター達。
旅発ってすぐにテンプル騎士団のユーゴと出会い、命がけの試練を与えられますが、そこでエティエンヌが奇跡を見せると少年十字軍を正式な騎士団と認め、味方として同行してくれます。
おかげで立ち寄る町々で歓迎されて、仲間の少年達も財産も増えていくのですが…驕れる少年十字軍には団規を破る者も出てくるし、それよりユーゴの腹黒い陰謀にも気付いてしまいました。

少年十字軍を利用して自分の城を持ったユーゴは美男美女を傍に侍らせて美味い食事と酒を楽しみ、気に入った少年達を男色趣味の餌食にしてケツを掘る!
こいつが作中で最も悪い敵と言えますが、テンプル騎士団の保護を受けなくなった少年十字軍には人々の態度も一変して石を投げられ、ひもじい旅になるし…襲いくる盗賊に殺される仲間達、最初から一緒だったメンバーの裏切り、次々と人数も減り苦難が襲い掛かってきます。

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過酷すぎる試練が見てて辛く、作品も暗いムードに包まれてきますが…
男同士、しかもまだ幼い美少年が掘られたりする少年性愛シーンで腐女子が萌えているのでしょうか。そう、『美少年物』の要素も強い作品ですからね。
下巻では残酷性が一気に出てきてグロくなり、物語の展開も激しく、最初に起こった奇跡についての説明もされました。これでただの嘘話でない事が分かりますね。
神とか正義の名の元に人類を虐殺してきたキリスト教徒への疑問をはさみ、実際にこの時代にあった少年十字軍と同様にあまりにも悲劇的な末路を迎える…そして最後の奇跡。凄い、凄い大作だ。
ちなみに年老いたある生き残りがエティエンヌという英雄について語る、つまり映画「マッドマックス2」的な回想形式の設定であった事が終盤に分かります。

掲載誌のマンガ・エロティクス・エフでは連載開始時や最終回を始め、表紙にもなって大々的に宣伝されていました。
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漫画家としてキャリアを重ねるごとに絵が劣化して…いやいや、連載用に描きやすい絵柄になってきた古屋兎丸先生ですが、意識してでしょうがまた絵が変化していましたね。異常に目玉の大きいキャラとか最初は辛かったけど、すぐに慣れました。
長男・古屋兎丸、次男・HAKUEI、末っ子・平沼紀久という3人が漫画兄弟というユニット名義で作る絵本活動も始めていて、上巻が出た頃(2008年)に「納豆侍まめ太郎でござる」(幻舎刊)を、中巻が出た頃(2010年)に「ずっといっしょ」をと上梓しているし、この幅の広さを持ち味に今後も活躍していくのでしょう。


人を殺したら地獄へ行くなんて嘘よ!ただ肉体が土に返るだけ!
聖書の知識は世界中の叡智の ごく一部にすぎないの!
神なんて人間の想像にしか存在しない!!
むしろ僕の神は君なのよ!!



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  1. 2013/10/30(水) 23:59:21|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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