大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(130) 古屋兎丸 15 「幻覚ピカソ」

古屋兎丸作品紹介、続いては「幻覚ピカソ」(集英社刊)。
FURUYA-psychedelic-picasso1-2.jpg

古屋兎丸先生が手がけた初の少年漫画で、初出はジャンプSQ(スクエア)!連載は2008年から2010年まで続きました。
単行本のレーベルはJUMP COMICS SQ.という、おなじみ『ジャンプ・コミックス(JC)』と同サイズの本で全3巻。
今までジャンプガロの両方に作品を掲載した人は小林よしのり先生だけだったと思いますが、逆の順序ながらついに二人目が出た…ジャンプSQなので、厳密には我々が子供の頃に皆読んでた週刊少年ジャンプとは違いますけどね。

"暁月学園"の高校生らを描いた異色の学園モノで、主人公はピカソこと葉村ヒカリ
そんなあだ名ですがレオナルド・ダ・ヴィンチが好きで、あとは絵を描くのが趣味で爪を噛む癖がある性格暗い生徒ですね。それでもヒロインの山本千晶は彼を気にかけていて、二人で『河原部』という部活動を立ち上げて河原で過ごしていたのですが…
何とヘリコプターの墜落事故に巻き込まれるという形で千晶がいきなり死ぬ!

でも死んだ千晶はすぐに天使の羽が生えて再登場するので、悲壮感はありませんね。ピカソにしか見えない、いわば幽霊ですが。しかもコビトサイズでピカソの制服の胸ポケットから出入りするので、「南くんの恋人」を彷彿とさせます。
それからは、困っている人がいると幽霊となった千晶が出てきて、ピカソと共に人助けをする…というのが「幻覚ピカソ」の大筋ですね。
その助け方がユニークで、事故以来人ピカソは人の『心の闇』が見るようになり、そのイメージを絵としてスケッチブックに2B鉛筆で描き込むと、絵の中にダイブする。すると意識だけが絵の中へ入って、心の闇の原因を謎解いて救うのです。ちなみにこの心の闇の絵が、見ごたえ十分な幻想画。
ピカソは周囲と関わりを持ちたくないタイプですが、ある理由から人助けをしないと自分の右腕から腐敗していくため、毎度毎度働かざるを得ないのです。おかげで内向的で友達がいないピカソが、クラスメイトと関わりを持って人間的にも成長していく。

FURUYA-psychedelic-picasso3.jpg

最初に救ったイケメンの杉浦が全編通しての大親友になるし、ピカソはその後の登場人物達も潜在意識の中だけで救っているので本人に有難がられないし気付かれもしない…
でも救われた人々も、以前は暗くて変な奴としか思ってなかったピカソに惹かれるようになるのですね。
ドジで人付き合いが下手なピカソの性格が生む可笑しさのおかげで、シリアスな話も暗くならずに面白く終わらせるのが上手い。性同一性障害に悩んでいた菱田洋介のエピソードは真面目に泣けるし…
そしてそして、この作品こそ古屋兎丸先生が本領発揮出来ているのは、その芸術的な絵でしょう。
実はちゃんとした美術やデッサンの修行をしている人口は少ない漫画界ですが、古屋先生は美術畑出身である事を活かした内容で名作に仕上げていると思います。

人の心の闇が見える事がバレて、かつて助けた杉浦にも気持ち悪がられて絶交宣言をくらい、落ち込むピカソが最後にダイブしたのは自分自身の闇…何も見えない真っ暗闇に入り込んだピカソだが!?
最後に千晶の事や腐っていく右腕などについての謎解きもあり、感動的に物語の幕を閉じる。

巻を重ねるごとに単行本の厚さが増してますが、3巻は316ページもあるジャンプ・コミックスには珍しい厚さ。
さらに各巻の巻頭にカラーピンナップ、巻末におまけページなどもあり、他の漫画家とは別格扱いていますね、多分。それだけジャンプSQ編集部の古屋兎丸先生に対する期待とか思い入れも感じられたし、それだけの価値ある作品でした。


ピカソ 君は人を助けること
人を助ければ腐敗は止まる…
これがあなたが 行き続ける条件
私はそのお手伝いをするため 戻ってきたの



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  1. 2013/11/02(土) 23:19:23|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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