大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(177) 真崎守 4 「ジロがゆく」

真崎守(真崎・守)作品より、「ジロがゆく」(朝日ソノラマ刊)。
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三部構成になっていて、初出は全て別冊少年マガジン(講談社刊)。第一部(ジロのいく道)、第二部(ジロがゆく)、第三部(ジロ!ジロ!)として1969年から1971年までかけて連載されました。
単行本はサンコミックスで全3巻。3巻の巻末には短編作品「ダム・ビート」も収録されています。

この「ジロがゆく」こそが第2回講談社出版文化賞のマンガ部門で受賞した作品であり、作者の代表的な長編となりました。同賞の第1回受賞作品は、手塚治虫作品「火の鳥」ですよ。少なくともこの当時は真崎守先生があの神様に次ぐ漫画家と目されていた事がうかがえますが、現在の若者で真崎守先生を知っている人がどれだけいますか…
あの1970年代そのものという時代背景を取り入れた作風ゆえに、普遍的な物には成り得ずにすたれてしまったのでしょうか。私の目から見たらその高い精神性は全く古くなっていないと思うのです。それは優れた文学作品がすたれる事なく古典になるように…再評価を望みます。

物語は、ど田舎にも程がある山村の学校に転校してきたジロを主人公とした青春物語。
営林署に勤める親の仕事のため転校が日常茶飯事だったジロですが、中学1年生の2学期で編入したこの"中村村立中村中学校"ではサヨという女子と仲良しになるのですが、クラスメイトと殴り合いの喧嘩をしたり、上級生にシメられたり…閉鎖的な田舎の洗礼を受けるのでした。
仲間外れにされたり友達が死んだり、水車小屋でサヨとファーストキス(初接吻)をするなど羨ましい事もありながら1話読み切りの連作で進み、ジロも周りもお互いに心を開いていく。

綺麗な初恋を描くかと思えば、ひと夏の出会いの女とキスしてみたりしてるし、青春なんて意外と美しくないって事も表現してます。田舎が舞台なので季節の違いを活かした自然描写が上手くて、同じく田舎者としては胸キュンな部分があるのですが…
それから、サヨらと学んだ学校とお別れして第二部が終了。第三部からは、また振り出しに戻って全く違う環境で生きていくのが転校生。

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今度は通学に自然をかき分けて何十分もかかる中村中よりは栄えてる、海辺の町。ビルの群れやハイウェイなんて、都会的な記号も出てきますね。
辛い別れを経てまた大人になったジロも、幼少期に海で遊んだ事を思い出し
『こうやって海にかえってこられた………この海に出遭う所からオレの新しい旅が始まる そんな気分さ………』
なんてキザな事を、女子(次のヒロイン、ズベ子)の前で語る。
今だったら中二病とか言うのでしょうが、あの時期の病的な恥ずかしい部分もしっかり描かれていますよ。

こちらへ転校してきてからも、常時鼻水を垂らしてサイズの異常にでかいシャツを着ているハナチン、関西弁で目が小さい関西目ナシらと仲間になって、番長にシメられたり知り合った人が死んだり、青春してます。

私が所持する単行本はもう一種、こちらは三崎書房NEW COMICSより出た、シリーズ《現代まんがの挑戦》です。
まだ第三部が連載中だった1971年に出版されたため、第二部までの収録で全2巻。
MASAKI-jiro-now-comics-.jpg
他に2007年には、文庫サイズなのが残念でしたが貴重な雑誌掲載版も収録した、「ジロがゆく 完全版」宙出版から出ています。

リアリズム系作品なのでストーリーだけ見ると地味ですが、退屈させるどころか楽しませるのが真崎守先生の技量ですね。
個人的には道徳の教科書として子供に見せたい内容だと思うのですが、難しい時期の男女を描いているので性欲に目覚めた奴が女子を襲おうとするシーンもあるし、キチガイが出る話もあるから難しいですかね。いや、蓋をしてもしょうがない、それも含めて見せるべきなのでしょう。


アポロが飛ぼうが 沖縄に毒ガスがあろうがミサイルがあろうが
そういうものは ここでは文明としての価値をもたない
暴力はともかく 集団があることは すばらしい
暴力……ってのも いいとはいえんが 単純に否定もできんでしょう
あるしゅの力は あすのめしを確保するために 強く必要とされるものだ
ぶんなぐられてなきだすようなやつは ここでは生きていけませんからね



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  1. 2013/11/25(月) 23:59:46|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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