大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(142) 山野一(ねこぢるy) 2 「ねこぢるyうどん」

一世を風靡したねこぢる先生の死後…
そのねこぢる作品を語るのにも、夫であり共同制作者でもあった山野一先生のその後を抜きにしてはなりません。元より一部では絶大な支持をされていた特殊漫画家の山野一先生ですが、その名義での完全に活動休止してねこぢるyとして描き始めたのですね。

単行本としては最初に出たのがこの「ねこぢるyうどん」(青林堂刊)で、全3巻。
NEKOJIRUy-nekojiruy-udon1-2-.jpg

ガロの2000年から2002年までかけて連載していた「ねこぢるうどん コロぺたが町にやってくる」をメインに、著者の死生観が窺える美しい傑作短編「ねこぢるうどん 老人の巻」。それに大和堂の「ねこぢる通信」で載せてた「ねこ神さま」モノ、 メディアファクトリーの「ラクダス」で載せてたにゃーことにゃっ太モノの短編「ねこぢるどんぶり」も併録しています。それらの全てが何とmacで描かれたオールカラーのフルCG作品でした!
連載時はタイトルにyが付いてなかったのですが、ねこぢる版「ねこぢるうどん」と区別するためでしょう、「ねこぢるyうどん」としてまとめられたこの世界は必読。

ねこぢる作品を原作として、それもキャラクターや世界観まで完全に同じなので一見すると故・ねこぢる先生が描いていたものと大差ないのですが、それでも随所に見えてくる山野一ワールド。
2000年の「2000SUMMER 文藝bungei」(河出書房新社刊)で行われたインタビューで、ねこぢるとねこぢるyの違いについて
『"ねこぢる"作品はねこぢるを山野がサポートしてできたものです。"ねこぢるy"作品は山野が単独でねこぢるのキャラクターを使用しているものです』
と答えていたのが分かりやすいでしょうか。

コロぺた号は旧「ねこぢるうどん」でおなじみ、やまのかみさまの乗り物というか何というか…の、アレですね。
冒頭からあいつが町で殺戮の限りを尽くし、抵抗したり避難したりする町民達…
にゃーことにゃっ太はやまのかみさまに会いに行き、何でコロぺた号にこんな事をさせているのかも分かりますが、それがまた(笑)

そしてにゃーことにゃっ太はコロぺた号の内部、無限に広がった迷路に入り込んで迷子になってしまいます。そこは時間や意識や距離などといった堺のない場所…
川で「死亡遊戯」のトラックスーツを着て生うどん食ってる大男や、のぐちひでよに可哀想な豚、西友、旧「ねこぢるうどん」で出てきたキャラクターらが蠢いていて、過去に遡っているようでもありながら、やはりどこでもない空間を彷徨うのです。

ちなみに1巻は解説を山野一先生と同じ特殊漫画家の根本敬先生が書いていて、今作が山野家の「バルド・トドゥル」となるのか?という事で素晴らしい文章なのですが、2巻と3巻には解説自体がありませんでした。

NEKOJIRUy-nekojiruy-udon3.jpg

「ねこぢるyうどん」はその後、どんどん寄り道…というかこれが描きたい部分だったのか、コロぺた号の内部という形で心の中みたいな精神世界を表現しています。
コロぺた号が殺戮しまくっている下界の様子や想い出なんかともリンクしながら、混沌の世界へ。
2001年のOVA「ねこぢる草」を思わせるシュールでトランスな世界ですが、これをまさかのCG漫画へ進んだねこぢるy作品なればこそ、ペンでは表現できない効果の多くに成功しているのです。

にゃーこらの父親でアル中のにゃん五郎、強さでは作中ピカイチでありながら善悪の区別が付かないというか世間の常識にとらわれてないというか、まぁ破天荒な性格だった彼が、本当のヒーローに!?
ずっと見ていたい心地好いコマがたまに出てくるのですが、この質感は既存の漫画には無かったのではないでしょうか。一般受けは難しいだろうし、ガロだからこそ長期連載出来た内容だと思いますが、私にとっては歴史的な傑作です。


うははは
見てごらん 恐怖にひきつったブザマな顔を
人間が…日々つみ上げた営みのすべてが
紅蓮の炎にのみこまれていく…
いー気ばらしになるわい



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  1. 2014/01/14(火) 23:00:50|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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