大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(41) 「初期幻想民話短編集 ハナ狐」

楳図かずお先生の「初期幻想民話短編集 ハナ狐」(小学館クリエイティブ刊)。
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1960年代前半に描かれた20代の楳図かずお先生による作品、特に多くの楳図作品で温床となっている民話・伝説系の短編を集めて2010年に復刻してくれた本。ほとんどがこの時期多かった『少女幻想譚』モノでもあり、後の恐怖マンガほどのインパクトは無いのですが、やっぱり絵が可愛い!
さすがは我らの味方・小学館クリエイティブです!定価が2800円+税と高いのも相変わらずですが。

初出は貸本短編誌ばかりであり、これまで貸本誌での再録しかされていなかったレア作品ばかりを収録しています。おっと、最後に収録されている「狐がくれた木のはっぱ」だけは「ココ」で紹介した通り「猫面」と共に「狐がくれた木の葉っぱ」のタイトルで単行本化しているさつき&かんなの『山びこ姉妹シリーズ』三作目ですが、もちろんバージョン違い。ここでようやくカラーページを含む雑誌掲載オリジナルの形での完全復刻が成ったのです。

全7作品が収録されていますが、まずは表題作で1960年の「ハナ狐」
たった一人の肉親である母が死ぬ間際にどうしても食べたいと言う黄いちごを探して山に入る良太でしたが、村で悪戯ばかりしている利口なハナ狐に邪魔されて、願いを叶える事が出来ずに母を亡くしました…
さすがに後悔したハナ狐は女の子の姿に化けて償いに毎日黄いちごを届け、二人は心を通わせるようになりますが、ある日ハナ狐は自分の正体を知ってもらいたくなり、狐のままの姿で良太に会いに行くと、あっさり母の仇として撃ち殺されてしまいました。黄いちごの袋を持っていた事で、ようやく女の子はハナ狐であった事実に気付いて母の隣に丁重に葬るのでした。
と、新美南吉の児童文学「ごん狐」そのままみたいな話ですが、少女版にアレンジされているのが素敵でした。

次は1962年の「山の細道-栗子の手紙」、1960年の「月見草の少女」と続く流れですが、どちらも可憐な少女の可愛さ、そして着物の綺麗さも目立つのでカラーページでの復刻に感謝。
特に後者は『ファンタジック少女時代叙情詩物語』の副題が付いていて、何と全編に渡って『詩』で綴られる芸術的な実験作!

1960年の「古き大木を愛す」は、松の木と意思を疎通させるスピリチュアル老婆を描いた…少女漫画の枠を超えた作品。
1964年の「深山ざくら」も植物に意思があるとする所で共通しますが、美しい化身まで現れます。山中の自然風景や少女の描写が美しい短編集にあってこれだけ異色なのは、男達の斬り合いなどが描かれるからでしょうか。

1963年の「目なし地蔵」は、作者が作者だけに禍々しいモノが出てきそうなタイトルですが、怪奇談でありながらのどかな雰囲気で終わりました。
それから1965年の「狐がくれた木のはっぱ」で〆るのですが、この『山びこ姉妹シリーズ』の民話的名作に至るまでの楳図かずお作品進化の過程も味わえる短編集でした。

人には歴史がある。「おろち」「漂流教室」「洗礼」や…あれらの作品は誰が読んでも震えるほど凄いのは分かると思いますが、そこに至るまでの原型を見れて、後期には失くしているモノも垣間見れる初期作品は要チェックでしょう。


私は狐なんだ…
わたしがハナ狐だということをしってもらいたい…
もう女の子にばけるのはいやだ……
そうだ 狐のままの姿でいこう……



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  1. 2014/02/07(金) 23:00:41|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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