大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(49) 「恐怖への招待」

楳図かずお先生の「恐怖への招待」(河出書房新社刊)。画像右は河出文庫版です。
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膨大な数に及ぶ楳図かずお作品において、貴重な貴重な活字本です。
まだ現在のように楳図かずお特集のムック本などがまるで出版されていなかった時代、これで初めて楳図先生の考えや人物像を理解出来たものでした。
とはいえ自ら文章を書いたのではなく、インタビューにより構成したもにではありますが。

語りだし冒頭から『自分とはなんだろう』みたいな話から始まって、恐怖という感覚だとか地球だとか科学だとか、天才ならではの視点で鋭い分析をしています。
楳図かずお先生をテレビに出る時のおちゃらけている姿でしか知らない人は、その奥が深くて哲学的な頭の中を覗いてビックリするでしょう。しかもインテリな学者みたいに難解な事をそのまま話すのではなく、凡人である我々読者にも分かり易く経験則を基にして語っているのが印象的です。

もちろん楳図かずお先生の生い立ちや、漫画家になった経緯とその後の経歴、1988年時点での現状までが本人の口から細かく語られているので、私のように作品だけでなく楳図先生本人をもミーハーに追いかけたいファンにとっては情報の宝庫!
一番古い記憶(高野山の山奥に住んでた頃)の事だとか、子供のマンガを描いているから誤解されるけど実は子供は好きじゃないとか、両親についてまで…
おっと絵柄・デザインについてはダリとギーガーが好きだと告白しつつ、『どちらもスペインの人だ』なんて情報として間違っている部分もあります。私もH・R・ギーガーは好きで画集を何冊も買っていましたが、彼はスイス人です。これが文庫版の加筆・修正時にも直ってないのは不思議ですが、これも勘違い部分としてあえて残したのかな。

「猫目小僧」「おろち」「イアラ」といった名作の創作ノートが見れるのも嬉しい!
さらにさらに、中学時代に学校でつけていた授業のノートも公開されていますが、当時のイラストいっぱいで貴重です。

もう一つ貴重なのは、「Rojin」という1985年の短編漫画が読める事。これが絵も内容も完璧で、楳図かずお作品の持つおぞましさと文学性まで含んだ超名作なんですよ。
当時は単行本未収録作品だったこの作品も現在では他の短編集で読めるようになりましたが、創作段階でのノートまで見れるのはこの本でだけ。
1988年の新書版は、さらに冒頭4ページがオールカラーになっています。

ついでに新書版と文庫版を少し比べておきますか。
新書の方が当然大きくて良いのですが、さらにこちらにはたくさん挿入されていたイラストの数々が文庫ではことごとく削られているので、当然ながら新書版がお薦め。楳図かずお先生ご本人も写る仕事場での写真が、文庫では無くなっているのが特にいただけない!
まぁそもそも文庫はサイズを小さく、安くした普及版としての役割が重要なので仕方ないか。ただ文庫版には加筆・修正部分があるし、8年後の1996年時点での新たな言葉『あとがきにかえて』が収録されているので…結局は私のように両方買うのが良いでしょう。楳図かずおファンのマストアイテム、「恐怖への招待」でした!


少年や少女を恐怖にさらせばたしかに物語はもりあがる。
しかし、それ以上に、僕は子供自体に人類の本質を見ているのだ。



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  1. 2014/03/31(月) 23:03:31|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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