大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(51) 「14歳 FOURTEEN」 2

前回の「ココ」に続いて、楳図かずお作品の集大成にして最終作である「14歳 FOURTEEN」(小学館刊)。
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「漂流教室」の続編であり、時系列では翔らが飛ばされる人類が(ほぼ)滅びた未来世界の前を描いている事を前回も書きましたが、実はそうだとすると疑問もわいてきます。前に「漂流教室」を紹介した時にも書いたように、あの作中で金環日食が起こっている事から舞台となった時期を推測出来たじゃないですか。すると現在を生きる我々には記憶に新しい2012年5月ですよね。連載開始は1972年だから、40年後の設定か。私もあの時はこれが翔が見た日食かと感慨深く見守ったものですが…ええ、それならまだ地下で人肉を喰って1人で生き延びてた人の事や、富士大レジャーランドで人類が生息している未来世界の描写が大して無かった事も納得出来るくらいの近未来だ。
しかし、ならば「14歳」の舞台は2120年前後である事が明記されているのだから「漂流教室」の滅んだ世界よりずっと後じゃないか、と気付くわけです。漂流したのは実は2012年じゃなくて、もっとずっと先の日食の時だったのかとかな…まぁ、あくまでこの2作品は同じ登場人物の1人もいるわけじゃない別作品です。そこまで統合性を求めなくていいのでしょうか。年代どうこうじゃなく、「漂流教室」で描かれなかった人類の滅びを描いたのが「14歳」である、という意味で続編とされているだけかな。貴方は、どう思いますか?

とにかく楳図作品の集大成たる「14歳」を、前回は単行本全20巻のうち半分の10巻部分まで追ってみました。
地下都市が大規模に発展してゴミは地下の海底プレートで処理しており、食用鶏肉がバイオテクノロジーで培養されている未来世界…そこで生まれたチキン・ジョージは、動物の怨念が終結した動物代表として高度な頭脳を使って人類に対する復讐を行おうとしますが、愛してしまった人間女性のバーバラを人質にされて最高位(グランド・マスター)、ローズの元で不老不死の研究を進めています。
一方、自然を克服して人工が勝った世界はやはり『不自然』であり、植物は全て枯れて地球自体の滅亡も目前に迫りました。世界中の首脳によるざんげ合戦となった地球会議が終わって、アメリカ合衆国大統領(アーサー)の息子アメリカ・ヤング、日本国総理大臣の息子岬タロウら『選ばれた子供』たちを脱出させて宇宙に送る計画が進んでいる所から…
まだまだ怒涛の勢いで物語は進みます。

基本的にキャラ立ちより物語性を重視する楳図かずお作品において、絶対的な主人公という存在はほとんど現れません。キャラクターの名前を作品タイトルにした「おろち」「猫目小僧」ですら、あくまで狂言回しだけの役割ですから、それは誰もが納得する所でしょう。
この「14歳」ではチキン・ジョージという強烈なキャラが物語を引っ張るのですが、後半から選ばれた子供達へとシフトし、中でもアメリカ・ヤングが中心、つまり主人公と呼んでいいでしょう。ただし彼は緑色の髪の毛を持つという事以外はそんなに個性が強くなく、普通に綺麗で勇敢な子供といった感じです。
そしてそのアメリカ君、何と11巻の途中にしてヘリコプター事故で死んでしまいます!緑色の髪の毛だけを残して…

そこで登場するのが、物語冒頭で登場して14歳にして子供を産んだ戸川洋子の子・きよら。彼がアメリカ・ヤングと細胞の数がたった一つ多いだけの遺伝子配列を持っていた事から、自ら望んで遺伝操作を行ってもらいアメリカと融合、転生します。世界一不幸な生い立ちから世界一幸運な子になったわけですが、でも意識は完全に元のアメリカ君の物。きよらも完全に消えたわけではないのですが…

滅亡する事が分かった人類の政府も、生き残る努力はしています。人類破滅の危機を宇宙に向かってSOSを呼びかけるのです!これがさらなる最悪の自体を巻き起こすのですけどね。それが、
第六章/大破滅 第一節・UFO大飛来
です。
巨大な十字架のUFO船団が陣形を組んで飛来してきますが、ついに着陸した異性人達の姿は!?そして彼らは敵か味方か!?

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それは顔のアップだけ、↑で載せた13巻の表紙を見てもらいましょう。ヤバイですよねその人間の女性器を思わせる口…こんなやつが正義の味方のはずはありません。
凄い数の宇宙人たちが、地球人を片っ端から強姦しまくります!ザ・レイプ!男も女も、大人も子供も、次々と凄い方法で否応無くやられていくのですが、ここの凄まじい描写は「14歳」を伝説化する原因となった見せ場の一つ。異常なほどのテンションで突き進みます。
選ばれた子供達が、いかにして我が身を宇宙人たちから守ったかも見所ですが、宇宙人たちもまた人類のように危機を迎えていたそうで、地球人を犯しまくったあげくにその遺伝子は自分達に役立たなかったからと去っていきます。さらに去り際、地球の『霊エネルギー』をズボッと奪って行って終わりなのですが、残された地球はバランスが狂ってあらゆる大震災が襲い、地下に捨てていたゴミが(核廃棄物まで)降り注ぐ。

第七章/大脱出
になだれこむと、生き残った人類も暴徒化して自らメチャクチャにしていき、アメリカは白人以外の人種は全て切り捨てる秘密文書を得たり…利己的な人間の本章があらわになったまま、破滅へ向かっていきました。
あそこまで進めていた選ばれた子供達の地球脱出計画も大幅に狂いましたが、かつてチキン・ジョージが動物脱出用に作っていた"チラノサウルス号"に乗り込めたまだ3歳の幸運な子供達は、アンドロメダに向かって飛び立ちました。しかし、ある乱入者たちによってチラノサウルス号内はいきなり戦場と化すし、そいつらのリーダーであるのばらは少女の姿をしながら悪玉ローズのコピー。
彼女の魔力で『食料として』積み込んでいた人口人間(もの)達が子供達に牙をむくようになって『殺人かくれんぼ』の開始という大変な事態に見舞われます。そう、まるで「漂流教室」における大人達のように。人口人間の怪力で子供の頭が握りつぶされ、子供の両目玉が飛び出す描写などはさすが恐怖漫画の第一人者!

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さらに別口で宇宙船を乗っ取られたチキン・ジョージの怨念が襲ってくるなど、滅亡を目前に控えた地球を脱出した子供達にも試練が降りかかり続けますね。
もちろん、のばらは女の子達に自分の性器を舐めさせたりして欲望の限りを尽くしているのですが、単純にのばらをラスボスにするわけでもなく人口人間にはむかわれたり…大宇宙空間という壮大な舞台に進みながらも結局は宇宙船の室内劇ですが、これはこれでサスペンスフルな展開です。

そうこうしているうちに
第八章/人類最後の日
第九章/人類滅亡後の旅
と進み、地球では人が死ぬと本性を現す変身してバケモノ化して本当の地獄が現れていましたが、それがさらに進むと…この壮大な物語のラストを飾る、
最終章/ムシへ。

人類はほぼ絶滅した地球では進化したゴキブリによるドラマが繰り広げられ、一方のチラノサウルス号はあれから10年が経って選ばれた子供達も『子供』でなくなる、そして人間の寿命となった14歳というタイムリミットを迎えています。
その間に根本的な解決策を見つけられなかった子供達は14歳に近い者から順に冬眠し、残った者が研究し…最後の最後まで望みを持ち続けるのです。
そんな中で見た宇宙の果て、さらに宇宙に飛び出すと…
嗚呼!スケールの大きすぎる作品がどう集約するか、もう驚くしかないラストへと読者は引っ張られるばかり。連載終盤は特に急展開で分かりにくい部分もあるのですが、編集に終わりを急かされていたそうですね。

色々な意味でここではその内容を書かずにいようと思いますが、最後にチキン・ジョージの事も少し分かり、現在ではスピリチュアル系の所で定番になっているアセンション(次元上昇)も描いているのですね。人類が次の次元、ステップに進む事が出来るのか。
さらについ先日と言えましょうか…2012年に突如、楳図かずお作品の復刊シリーズとして刊行を続けていた『UMEZZ PERFECTION!』版の「14歳」で、まさかの!筆を置いた楳図かずお先生による!フルカラー18ページの描き下ろしが追加されたのですね。分厚い本の全4巻として。
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連載終了から数えて…17年ですか。これを蛇足と思うかついにやってくれた真の結末と思うかは貴方次第。

ええ、やはり「14歳」を集まるなら表紙がカッコいいオリジナル版の全20巻をずっと薦めてきた私ですが、
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UMEZZ PERFECTION!シリーズで内容も変えて復刊した以上は新たなエンディングを見るために、そちらも読んでこそのファンでありましょう。とにかくこれが偉大なる楳図かずお先生が最後に描いた長編漫画「14歳」


ぼくは信じる!!
人間はやさしくて美しく、賢い生き物だっ!!
そして、本当の神になるため宇宙へ出て行ったんだ!



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  1. 2014/04/11(金) 23:59:18|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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