大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(63) つのだじろう 4 「恐怖新聞」

今夜はつのだじろう作品、「恐怖新聞」(秋田書店刊)です。
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前にも書いた通り、つのだじろう先生は本当に幅広いジャンルの漫画を手がけている一流漫画家なのですが、この恐怖漫画によって"オカルト漫画家"という烙印を押される呪縛を受けたのです…それだけ印象深い名作であり代表作が、この「恐怖新聞」
1973年から1975年までの週刊少年チャンピオンで連載され、単行本は少年チャンピオン・コミックスで全9巻です。長さは色々な話が、序章(プロローグ)から始まる連作形式で進みます。

主人公の鬼形礼は、"石堂中学校"に通う中学生2年生…だと思ったら、あれ1年生となっている時もあったり、おっと、学校の看板も良く見ると『私立』になってたり『都立』になってたりしてる。きっとこれも霊の力に惑わされた結果だと思いますが、まぁどちらでもいいでしょう。
とにかく中学生の少年・鬼形は、超常現象をバカにして信じない側の人間だったのですが、信じるようにならざるを得なくなりました…彼の元に、毎日午前零時になると『恐怖新聞』が配達されるようになったのだから!
この恐怖新聞には、翌日などに起こる恐ろしい事件の予言やその他霊関係などの記事が書かれており、何と1日読むごとに100日ずつ寿命が縮まるという恐ろしいものでした。

恐怖新聞の内容…それはそのまま各話の内容と同じくなりますが、分類があります。
白の頁(霊の世界)、赤の頁(怪奇の世界)、青の頁(宇宙の世界)、黒の頁(伝説の世界)、紫の頁(悪魔の世界)
と5種類があって、幽霊以外にもUFO話だとか西洋の悪魔だとか、つまりオカルト系を幅広く取り扱っているのです。基本的には鬼形礼が様々な形の不幸や恐怖に巻き込まれていくのですが、ただの狂言回しで登場するだけの短編もあるし、生きている人間の殺人鬼も登場します。
とにかく面白く読みながらも超常現象の勉強になりますよ。ええ、つのだじろう先生は説明上手でもあるのでしっかりと知識が身に付き、ちゃんと全巻読んだ人はそれなりのオカルト通になれますね。
寿命を縮められ、やがて若死にする運命の鬼形が、せめて恐怖新聞に書いてある内容を我々読者に見せてくれる…というのが本作の内容。

そりゃ読みたくないでしょうが雨戸までぶち破って部屋に入るし、どう抵抗しても無理矢理読ませる生きているような恐怖新聞。これにはちゃんと配達者がいまして、それはポルターガイスト
歪んだ顔だけの悪霊で、生前は新聞配達人だったそうです。毎晩恐怖新聞を届けて鬼形の寿命を奪い、もちろん死ぬまで届けるのが目的ですが、鬼形が疑問に思う事象があると現れて教えてくれたり、穴の中に閉じ込められた時は何と脱出方法が書かれているなどアドバイスをくれたりと、意外にも優しい所があります!
クラスメイトに不幸の手紙の事で聞かれた時は『ポルターガイストの霊を呼んでどうなのか聞いてみる』とかって言ってますが、あんたそれ「ドラえもん」じゃないんだから…と思うほど!いや意外と部屋に帰るといる頼もしい(恐ろしい)存在、という部分でドラちゃんの恐怖版をと意識して描かれたのかね。
ポルターガイスト、はたしてこいつは敵か味方か!?…って、さすがに敵以外の何者でもないか。

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定期的に出てくる青の頁。つまり『宇宙の世界』はこの作品としては本筋ではないのですがUFO編とも言うべき内容で、これが私は大好きなのです。
鬼形は宇宙とのコンタクトマンであるエリナ松岡という、地球人ながら『円盤から降りてきた』『宇宙人たちとお話ができる』等と自称するミニスカワンピの美少女と出会い、様々な事を教えてもらうわけですが…
つのだじろう先生も実在するコンタクトマンに取材してなるための条件や指令の受け方などを調べたと言うものの、その内容はうさんくさいの一言!見た事がなくても霊だとか祟りの存在は我々、けっこう信じている所があるじゃないですか。でもやはり、宇宙人関係はネタにしかならないんですよね…

ある秘密機関が"宇宙連合"(という、科学の進んだ宇宙人達による地球の国際連合みたいな組織があるそうで)の『地球計画』を邪魔しているだとか、フリーメイソンの陰謀並に知ったらマズい事が色々と書かれています。いきなりテレポートで消えたと思ったら、何と恐怖新聞に『エリナ松岡から鬼形礼君へのメッセージ』が掲載されていますが、何で!?
3巻に収録の青の頁、「北極点の謎」で鬼形が銭湯…それも何と"聖徳湯"に行き、空飛ぶアンパンを見たとかって騒ぎながら登場するのは聖徳十円!つまり同じつのだじろう作品で「泣くな! 十円」のあいつがゲスト出演しているのはご愛嬌。
後半は青の頁が全然載らなくなって、エリナ松岡の正体や行く末も判明しなかったのは残念でした。

鬼形のクラスメイト達は悪霊にとりつかれた事も無いし怖さを知らないから気軽に怪談会を行ったりもしますが、当然酷い目に遭います。
これは描いている事の全てをガチで信じている、素晴らしいつのだじろう先生からの警鐘。心霊研究家でもあり、霊の怖さを嫌というほど知っている作者が、少年達に興味本位で近づくのは危ないと教えてくれているのです。ええ、ここは本当に首尾一貫しています。

そして4巻の「笑う骸骨」…まず、ずーっと前にも書いた通り、つのだじろう先生は梶原兄弟(梶原一騎&真樹日佐夫)に監禁され、詫び状を書かさた事件があるじゃないですか。
やっぱり怒りが収まらなかった(と思われる)つのだ先生は、この話に"あばれ梶川”こと梶川市之進なる『梶』の付く乱暴者を登場させて、町民達が『かかわりあいになるな!うかつにさわると首がとぶぞ!!』『見さかいもなく刃物をふりまわすからねー お~コワ!!』と逃げているのが、一部の好き物達の間で伝説となっていますね。

ついに来た紫の頁(悪魔の世界)は、4巻の半分を占めて5巻まで続く大作が「悪魔のカード」。悪魔払いを描いていて、映画「エクソシスト」からの影響が大!
鬼形はクラスの女子、家がカソリック教会の東さんに頼まれて、神父である父が外国に行ってる間はママと妹の女3人だけになるから泊まりに行きます。女子から泊まりに来てと頼まれるなんて何と羨ましい…家族も女ばかりだしエロ漫画にもなりそうなシチュエーションですが、鬼形はあくまで暗い。
そう、少年漫画でここまで暗い主人公も珍しい。ほとんど全ての場面で険しい表情、顔には線が入って影を作っていますからね。悪魔は鬼形にも乗り移りますが、既にポルターガイストが取り付いているわけで、鬼形の体を巡って悪魔VSポルターガイストの対決もあります。
お、悪魔憑き時の鬼形は蹴り技を見せますが、これは「恐怖新聞」以前の、「虹を呼ぶ拳」「空手バカ一代」といった名作で見た姿!大山倍達ばりの蹴りだ!

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実は私が小学校低学年の時に近所の人から貰った漫画にこの5巻だけが入ってまして、特別に思い入れがあります。あの時は心底怖い漫画だと思ったものですが、現在読んでも「恐怖新聞」はネタ的な面白さの方が勝るようになってしまいました。
この巻のほとんどを占める「名投手怪死」から、今作のヒロインである中神緑子が石堂中学校に転校してきて登場。自己紹介で『ニックネームはグリーンっていわれてました!』と言ってますが、その後誰もグリーンなんて呼んでません。"日報新聞社"在籍の記者で柔道初段空手二段の兄・洋介と共に、今後はしばらく出てくる主要登場人物となっています。

6巻の「除霊」では中神洋介が新潟支社から凄い霊能者を紹介され、鬼形もついにポルターガイストとの対決を決意し、桐法大師のいる新潟へ除霊してもらいに行くのですが…血みどろの戦いを制したのはポルターガイスト側でした。
ここで苦しめられた分、鬼形はますます苦しめられるはめに!

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物語は進んで…8巻の「交霊会」
ここで中神兄妹の因縁霊が現れるのですが、その正体は江戸時代に中神家の祖先によって殺された竹の市。彼は『七代先まで祟る』と呪詛を吐いて死にましたが、ちなみによく言う七代先の意味は子孫全部という事。子供の代は二分の一、孫の代は四分の一、と計算していけば七代先は六十四分の一。八代先は百分の一にもならないから、もはや他人同然というわけです。そして中神兄妹は、その祖先から数えてちょうど七代目。
恐怖新聞とは関係ないこの呪いによってヒロインだった緑子は死んで物語から脱落します!ちなみに鬼形も死にかけ、死後の世界のある行列を目撃する事となりました。

ここで生まれ変わりの例として、紹介されるエピソードがあるのですが、その参考文献に世界真光文明教団の「霊障と人生」なる本が使われています。そういえばそのちょっと前に『手かざし』で除霊しようとするシーンがありましたが…つのだじろう先生、こんな新興宗教まで勉強しているのですね。

さて、物語は最終エピソード「他人の顔」へ!
恐怖新聞の購読拒否もポルターガイスト除霊も諦めていた鬼形ですが、年老いた自分のドッペルゲンガー、鬼形の守護霊・鬼形庄左エ門勝豊と出会い、耐えられなくなって小泉霊媒に相談に行くと、親戚で強い霊能を持っている小泉香具耶を紹介されました。ちなみに小泉霊媒は一番最初のプロローグでも登場していた頼りない人ですが、そんな親戚がいたなら何で最初から紹介してくれなかったのか!
小泉香具耶はかぐや姫と呼ばれ、体が小さくて5,6歳にしか見えないものの鬼形礼と同い年の少女で、彼女と会った事で鬼形はまた除霊に挑戦する決心が付きました。
それから紫光山霊場を舞台に、テレポーテーションその他の能力を自在に使うかぐや姫VSポルターガイストの一大決戦。やはり足を引っ張るのは鬼形自身ですが…除霊に失敗し8巻の最後で明らかに死ぬ致命傷を負った鬼形礼!

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決戦はポルターガイストの完全勝利に終わり、鬼形礼を殺す仕事も果たしたポルターガイストは鬼形と同じクラスの女子・浜田弘子に恐怖新聞を届けたのを最後に、心おきなく霊界へ去りました。
しかしまだ、物語は続きます。何と死んだはずの鬼形が学校に登校してきたのです!元々暗かったけど前以上に暗い顔をして…実は鬼形は悪霊の霊団と密約を交わしており、バス旅行で山道の事故を手引きしてクラス全員を殺せば生き返らせてもらえるというのです。
鬼形は本当に、他人の命を奪って自分の命だけ助かる道を選ぶのか!? そして恐怖新聞の行く末は!?

最終巻である9巻の本編終了後には、『恐怖新聞心霊辞典』という心霊現象をもっと詳しく、写真と文字も付けて復習出来るページが付いています。
さらに巻末には、短編「地獄村」。何とこれはつのだじろう先生が原作者として絵は描いていない貴重な作品!絵の担当は、弟子の居村真二先生でした。

「恐怖新聞」が少年チャンピオンで連載されていた1970年代というのは空前のオカルトブームに湧いていた時代ですが、もちろんその一翼にこの名作がありました。
アニメ化やゲームソフト化、実写映画その他はずっと後の時代にも続きますが、漫画でも続編やリメイク作などが描かれているので、私ももうちょっと恐怖新聞紹介を続けましょう。


恐ろしいことです……
ぼくにとりついた憑依霊はぼくの命を百日ずつへらしながら…
むりやり「恐怖新聞」をぼくに読ませるつもりなのです!
たすけて!!
…とさけんでみても だあれもぼくを たすけようがないのです!



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  1. 2014/06/01(日) 23:00:21|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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