大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(69) つのだじろう 10 「メギドの火」

今夜もつのだじろう作品紹介を続けますが、終末モノの傑作「メギドの火」(双葉社刊)です。
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初出は1976年の週刊少年サンデー(小学館刊)で、単行本は全3巻。
オカルト系なら何でもと幅広く扱い過ぎた「恐怖新聞」の中から、メチャクチャ面白かったながらも後半は出てこなくなって話も中途半端で終わってしまった『青の頁(宇宙の世界)』、すなわち円盤だの宇宙人だの、そしてコンタクト・マンだのが出ていたシリーズですが、気になるあれの解決編とも考えられます。

主人公は"私立 星城中学校"に通う2年生の北斗一生。表紙を見て分かる通り、中学生にしては素敵なジャケットに星マークのプリントTシャツで合わせていますが、彼は常にこの服装。それは通学時でも同じですが、他の同級生達は普通に学生服とセーラー服。何故、彼だけが学校でもこの服装なのかは説明が無く、周囲の人々もまるで気にしていません。不良でも何でもない、気弱で平凡な生徒だし…
と、そんな事が気になっていては、この不思議あふれる物語は読んでいけません。とにかく話を見てみると、日常通り通学するある一日からスタート。

何故かその日は北斗の腕時計だけ時間が逆戻りしているし、ルールを守らず横断歩道にはみだしている自動車のマナーに腹を立てると、車が目の前の横断歩道上にハミ出した部分だけどこかに消失する怪現象が起こります!また他中の不良生徒に襲われると、そいつらもどこかへ消えてそのまま行方不明に。
その日のうちに『空飛ぶ円盤と騒がれているUFO』を目撃し、翌日起きると頬に北斗七星の形に並んだホクロが出来ている!
ん?体に北斗七星といえば…そう、武論尊原作・原哲夫作画による名作漫画「北斗の拳」の主人公、ケンシロウを思い出すでしょう。あの胸の傷のアイデアは、この作品が元ネタなのかもしれません!

同級生の鬼島くん(メガネで学ラン着てる以外は北斗そっくりの風貌)による引き合わせで円盤型に作られた家に住むUFO研究家のキャンサー白鳥と出会って、宇宙人と古代文明との関わりその他のUFOに関する基礎知識を習う。
また、UFOからのビーム光線を額に受け続けてテレパシーで『メギド』という言葉が伝わってきました。今作のタイトルにもなっている通り最重要ワードであるメギド、これは聖書や古代文明に詳しい方は知っているかもしれませんね。
その言葉の意味を知りたがった北斗が通りを歩いていると、偶然通った可愛い少女が
『♪メギド メギド!! メギドの火♪』
などと歌っているではないですか!さてはこの少女、物語の鍵を握る重要人物か!?
…いや、ページをめくるといきなりトラックにはねられ、フェイドアウトしました。

ますます謎が深まる『メギド』ですが、続いて北斗のクラスに星琴絵という少女が転校してきました。
星城中学転入時の自己紹介で、ニックネームはベガなので皆さんもそう呼んでくださいと訴える可愛い不思議ちゃんです。今度こそ彼女は今作のヒロインであり、この娘もセーラー服は着ずに素敵なワンピースで通学してますね。
彼女に何かを感じた北斗は話しかけて『メギドの火』の言葉を出すと、放課後に公園で二人っきりで会う事になります。その密会で、いきなりベガは服を脱ぎ始めてブラジャーを露出!これは!
安心してください、決してエッチな展開になるわけじゃなく、背中一面にある酷い火傷の跡を見せるためでした。それが付いたのは、『メギドの火』の意味を知ろうとしたからだと言います。きっと初めて女子のブラ姿を見たであろう北斗も、これはそっちの面で興奮している場合じゃないですね。
さらにベガが告白するに、実は自分が『宇宙とのコンタクト・マン』であると言います!それから目の前でテレポートしてみせてと…そう、彼女は「恐怖新聞」におけるエリナ松岡の役割。恐怖新聞ファンとしては彼女の分身とも思えるキャラの登場が、かなり嬉しい。

すぐに北斗も宇宙からコンタクト・マンに任命されますが、彼の指定ナンバーは
『CJT48225ホクト』
でした。
ベガがその意味も説明してくれますが、Cはコンタクト、Jはジャパン、Tは東京・富山・徳島などの都市の頭文字らしいです。この指名者はアンドロメダ系やゼネフ系その他いくつかの惑星人が加わって編成した、宇宙の平和を守る組織"宇宙連合"。宇宙規模の視点を持ち活躍するスケールの大きな存在ですが、こんなケシ粒みたいに小さな星の小さな国、その中の都市名まで入れるとは、細かい神経の持ち主ですね。次の数字は通しナンバーなので、既に5万人近いコンタクト・マンが存在するのだとか。
人間が異星人とコンタクトする…これは「メギドの火」の重要テーマでもありますが、全人類が不安を持ちつつも希望する事ではないでしょうか。

UFOに関する重大な秘密があると言われる山梨県の甲府で実際に宇宙連合の使者と対面したり、敵対する宇宙人も出てきて襲われたり、スピーディなストーリー展開で進みます。
ようやく自宅に帰ってホッとした北斗は、布団を敷こうと押し入れを開けたら、ドラえもんばりにここから出てきたのはあの宇宙連合の使者。ミシュテカという名前で、北斗を敵の手から守るため今日から同じ部屋で一緒に住むとか勝手に言い出すこいつはデザインからしてキてますが、こんなのと住む事になる北斗の心中やいかに。
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まぁ、結局この関係はあっという間に終わりますけどね。

宇宙連合と敵対する組織もすぐに明らかになりますが、レティクリ座付近にあるアンゴルモアという惑星から飛来してきた"メギデロス"であり、あのキャンサー白鳥も地球に潜入しているメギデロスの一員でした。しかも執拗に北斗を付け狙いますが、何と体がバラバラになっても再生する不死身の生物。
ただしメギデロスの手先は人間の姿をしていても、簡単に見分ける事が出来ます。全員、上まぶたが腫れているのですね。うーん…貴方の周りにも、上まぶたが腫れ上がっている人はいませんか?その人はきっと、メギデロス。
でも不用意に探ろうとして後を付けたりしては、いけません。北斗のように捕まって監禁され、しまいには洗脳バクテリヤの培養液を飲まされてメギデロスの仲間にされてしまうから。

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(3巻末には本編の少し後に描かれ、横溝正史的要素を取り入れた短編「狐狗狸伝説」が併録されています)

宇宙連合の宇宙人でアンドロメダ系のローダによって洗脳から救われた北斗(と読者)は円盤の事や宇宙人の事などを学んで、次はベガとコンタクト・マン会議に出席です。これがまた怪しさ全開ですが…
何と秘密結社のKKK(クー・クラックス・クラン)から着想を得たと思われる三角頭巾を被った集団と化しているんですよ!北斗とベガは主役だからか顔の部分は頭巾被ってないけど、みたいなメガネかけててもっと怪しいって!
もちろんやる事は正義。宇宙人から与えられた超能力を活かして公害企業が垂れ流すヘドロを逆流させたり、ロッキード事件で黒いピーナツを食べた(1ピーナツ=100万円、贈賄の隠語です)奴の顔を黒人のように真っ黒く変色させたりといった善行を成します。

で、この辺りから連載の終了を急かされてきたのでしょうか…暴走とも言えるほどの急展開で進みます。
ローダに連れられて円盤に乗った北斗は、円盤とは飛行機みたいな固形の乗り物じゃなくてエネルギーの固まりであり、自由に形を変えられる事とか勉強しつつ四次元空間に突入!
『クズ人間の捨て場』とか恐ろしい光景も見て…宇宙連合とメギデロスの戦いも目撃。カオス…カオスです!

地球はメギデロス総統(ヒトラー似…)に制圧されて地球は一つの国に。メギデロス共和国と命名されました。
アンゴルモアなんて名前が出てきている時点ですぐ分かったと思いますが、そこから来た宇宙人であるメギデロスこそが、ノストラダムスの「諸世紀」で言う恐怖の大王だというつのだじろう解釈なのですね。ラストでもう一ひねり有りますが。

物語は、いよいよ宇宙連合がコンタクト・マン集団を率いて対抗する最終決戦…つまりアルマゲドンに突入。このアルマゲドンの原語が、『メギド』だったのです。そして結局燃え上がってしまう、『メギドの火』とは!?
最後の30ページ程度が深い内容で、人間の業を見て悩む北斗。正義とか平和とかって空虚な言葉は意味を成しません。地球は…人間自身の手で死にました。
人間の生き方に憂いて人類の未来を警告し、その後誕生する事となる新しい人類の姿までがチラッと描かれて終わりです。
凄い奇想、凄い情報量。一大オカルトブームが起こった1970年代は終末モノの傑作も多く生まれていますが、「メギドの火」はその筆頭に数えてもらいたい。色々と狂っている所も含めて、素晴らしい作品でした。

こちらは、竹書房より刊行された全2巻の文庫版。『異界作品集』と銘打たれていて、今作がその3部作の1作目。2作目が「呪凶介PSI(サイ)霊査室」、3作目が「ときめきの墓」と位置付けられていました。
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サイズが小さくなる文庫版は個人的には好きではない方ですが、この版では巻末に『つのだじろうの恐怖ゾーン』という活字ページがあって、その内容は興味深い。
著書「つのだじろうの恐怖の霊界と死後の世界」(アイペックプレス刊)から抜粋した文章ですけどね、心霊科学研究に踏み込んだキッカケとなる、両国橋にてオレンジ色でフライング・ソーサー型の発光体を見た体験とか、守護霊と交信した件とかが書かれています。
さらに文庫版のみ収録の漫画が「連作・鏡の中」。解説文は1巻が永井豪先生、2巻が平川陽一先生となっています。


もしや神というのはっ!? 宇宙人っ!?
考えられる!! 人類が考えている神というのは実は宇宙人だという説は以前からある!!
神など存在しない…ときめつける人にとってはバカバカしいかもしれないがっ…しかしっ!!



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  1. 2014/07/04(金) 23:43:22|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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