大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(73) つのだじろう 14 「霊劇画 恋人は主護霊さま」

今夜はつのだじろう作品、「霊劇画 恋人は主護霊さま」(主婦と生活社刊刊)です。
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つのだじろう先生が週刊女性を主戦場に移してからの作品紹介はこれで3作目ですね。
本作では、ますますエロの度合いを増して…心霊+レディコミという、前人未踏のジャンルに踏み込んでいます。単行本は全5巻。単行本それぞれの上部に『あなたの心に呼びかける』、左に『誰にも存在する霊、霊界からのメッセージ!』とありますが、う…胡散臭い。
しかし例えば宇宙意識の存在、もう一人の自分、瞑想、輪廻転生、指導霊等々、つのだ先生が訓話的に使う心霊研究の言葉がそのまま、何年か前にあったスピリチュアル・ブームを随分前から先取りしていたとは言えそうです。

さて、本作はタイトルにあるように『霊劇画』。主人公の女性・石神涙子が様々な霊体験を通して霊について学び、ついには霊能者に成長していく物語です。
涙子は旅行会社の"TYOトラベルビューロー"にが勤めているので、『東北オカルトツアー』の添乗員で出かけるのですが、解説者として同行するのは 「銀座花族」にも出ていた小説家で心霊研究家の牧草介、霊能者の魔矢霊子。それに潜在的に高い霊感質を持っていた涙子、怖い物好きの参加者達が集まって霊場などに行くのだから、いくつもの霊体験をする事になりました。実在するオカルトスポットが舞台になっているのも面白く、同じように回ってみた読者もいるのではないでしょうか。
この道中、涙子は守護霊の奥州石神城主石神監物が娘・夜桜姫とはっきり交信しました。今後、この夜桜姫が「うしろの百太郎」のように守ってくれる事となります。

少年誌で描いてた心霊漫画との違いで、特筆すべきはエロの部分。
涙子の同僚、細野麻里の元には1話目からハッキリと霊魂が姿を見せますが、そいつは色情霊の金精麻呂。いきり立った男根をあらわにしており、夜中に麻里を金縛り状態にして犯しまくる!そんな霊を守護神だと思い込んだ麻里は、セックス、セックス…
当初は準主役的な登場の多さでしたが、この娘は素直な性格がとことん利用されて不運続き。モデルとして一流誌に出るつもりが実際はビニ本でヌードモデル、そのカメラマンにはやられるし、映画デビューを目指せばマイケル・ジャクソンと間違えてマイク・ジャクソンなんて黒人男優の相手をするポルノ女優に。さらに金精麻呂の顔をした今末麿という男が現れると、ファッションマッサージ店からトルコ嬢まで落ちて稼いだ金を貢ぎ…弄ばされた末に最後は死ぬ事になるのです。

金精麻呂には霊能者の魔矢霊子までが負けて犯され、色情霊とはいえかなり恐ろしい力を持つ事が分かりました。結局、こいつがラスボスでしたからね。
そしてこれ以降、頼りになる霊能者だった魔矢が『オナニー地獄へ落ち込んで』しまい、生身の男・今末麿とのセックスの味を覚えて悪役に転ずるという、パンクな展開に!

恋人がいない涙子は、前世で夫婦だった医学大学講師の南郷武蔵と出会い、そのために嫉妬した女から呪詛を受けたりとトラブルがありながらも恋人になりました。
モテる南郷や牧草介のセリフを通して、涙子は心霊の事以外にも男女の性・生理についても学んでいきますが、これは女性読者も勉強になったのではないでしょうか。

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(4巻末には、「霊魂にとり憑かれる法」という霊魂ギャグ短編も収録されていてお得です!)

物語は『心霊治療』に主題が移行すると主人公が旅行会社勤務という設定は活かして、心霊研究の先進国であるイギリスのロンドンへ舞台を移します。
ここで涙子は南郷にプロポーズされ、しかし心霊治療の威力で今まで学んでいた現代医療の信念が根底からくつがえった事によりプロポーズ取り消し。でも日本に帰って、結局は上手くいくから安心してくださいね。

二人の障害になるのは悪い奴、今末麿。麻里に続いて魔矢もモノにしておきながら、執拗に涙子も狙う彼は、酔って正体なくした涙子を全裸にして写真を撮り、キュウリを女性器に突っ込む…ななな、なんという事!漫画全体を見てもこんな目にあうヒロインは珍しいですよ。
何とか守護霊の活躍で大事には至らなかった涙子は、困難を乗り越えて結婚し、南郷が父の跡を継いだ開業医の"南郷病院"で働く事になります。彼らは神前結婚ですが、南郷が言う、
『クリスチャンでもないのに格好いいから…なんて教会で式をうある連中は…霊魂の存在を無視し…つまりはご先祖さまをバカにしているわけでね…』
のセリフにドキッとした男女も多いのではないでしょうか。

新婚旅行の行き先も、涙子が旅行のプロだし南郷も詳しそう。『グアムとかハワイなんてイモの行くような所』とまで言い切る彼らは、考察した末にパラオ諸島へ行く事に決定しました!
パラオ共和国なんて私、この漫画(霊劇画か)で知ったようなものですが、日の丸そっくりな国旗の親日国なんですよね。
二人はこの地上の楽園、パラオに滞在した一週間だけは霊についても全然考えずに楽しみました。

帰国して新婚生活を始めた二人ですが、涙子は牧草介に協力する形でレポーターとして、霊魂に対して真剣に取り組んでいるテレビ番組の制作に関わります。牧草介は心霊研究家の立場でテレビにもよく出ていた作者・つのだ先生自身を投影したキャラだと思いますが、それを活かして実際に取材した実話を基に物語が進みます。つまり完全に真実の記録(もちろんつのだ目線で、という条件付きですが)を読者は目の当たりにする!
熊本のポルターガイスト現象が起こる家など、漫画の中に写真も入れながら紹介していました。そこに登場してきたのが、黒龍山迦葉堂なる仰々しい名前の霊能者…って、あの魔矢霊子でした!
側近に剃髪した今末麿が付き、今度は税金がかからない宗教法人を立ち上げて金儲けしようとしている、と。

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(5巻末には「血色のルビー」、そして「霊」という、どちらも怨念にまつわる恐怖短編が収録されています。これは本編である「霊劇画 恋人は主護霊さま」よりずーっと前の作品で、1970年代の絵柄が嬉しい)

続いて涙子が関わる番組収録は、岡山県久米郡の奇祭・両山寺護法祭。神が人間界におりてきてお遊びになる儀式があるのですね。
そこで護法実と呼ばれる霊媒役をやるのが、錦織百江という少女。龍王池で祭り前の7日間、1日6回21杯の水ごりをして身を清めていますが、全裸にて行うその描写が…現在では確実にヤバい未成年ヌードです。ふくらみ始めの胸、それに毛が生える前であそこのワレメも見えるし!後で涙子も同じ場所で水ごりしますが、ちゃんと成人した女性のヌードなので安心です。
そこに食いついてどうするって感じですかね、では主題に戻ってこの不思議な祭りを見ると、護法さんがおうつりになった護法実を実際に「真夜中のラヴ・レター」後半部の主役で実在する霊能者・西塔恵が霊査した結果から神の世界の事まで話が及び、勉強になりました。

また色情霊の仕業でエロい展開も待っていますが、すっかり霊能力が強まった涙子の活躍で解決。
守護霊・夜桜姫とも頻繁に交霊出来るようになっていますが、幽体離脱して死後の世界を案内してもらう所は、全人類必見の内容でしょう。かなり丁寧に、訓話的な部分も含めて誰しも気になるあの世について、転じてこの世に生を得るとは…など指導して頂けます。

物語もクライマックスにさしかかり、最後は魔矢霊子と今末麿がカゲでやっていた何と欧米の黒魔術との対決、それからラスボスである悪霊、色情霊の金精麻呂と決戦!
ある理由から除霊前にセックスしまくるのですが…漫画の中にエロ写真を挿入しまくって面白い効果を生んでいます。
最後までエロを絡めた霊能力バトルは神界の助けを得た涙子に軍配が上がり、涙子は強力な霊能者として完成を見る。

正義は勝つ、となったハッピーエンドですが、ここで一つ疑問が。
タイトルで『恋人は主護霊さま』とうたっているのに、夜桜姫は『守』護霊の中の一人だし…『主』の字を当てる主護霊さまが出てきてないんですよね。あ、つのだ漫画をちゃんと読んでいない方は主護霊と守護霊の区別すら付いてなかったり混同している方もいるかもしれませんが、主護霊はその人を生涯に渡って見守り助け一番大きな影響を与える中心的存在で唯一の霊。守護霊は指導霊や補助霊など複数存在する味方の霊達を総称して呼ぶのです。
その主護霊はどこの誰で何をしているのかと疑問を出した南郷に対し、涙子が出した答えは!?

『あたしの主護霊はすぐそばにいるのよ!
 あたしの主護霊さまは…!あたしの恋人っ!!あたしの大事な旦那さま!
 だれよりも あたしを大事にしてくれる!つまりあなたよっ!』


なんて言ってキス、二人の周囲にはハート。
こうして今まで散々肉欲や裏切り、詐欺に殺人などでドロドロな内容だったのが、最後の最後1ページだけラブコメみたいなページで終わるんだから…オモシレー、オモシロすぎるぜ、つのだじろう先生!
前回とその前に紹介した作品と本作の、週刊女性で連載した長編3作、これらが世に知られていないのはあまりにも惜しい!巨匠の位置に居座って無難な作品を描く事を良しとせず、冒険心とパンクな精神が溢れるこれら奇天烈な作品を、貴方は読まぬまま霊界に行くというのか~!


ちょっと…あたしを案内してくれた霊魂さん
どこへ行っちゃったの!?
いやだっ こんなとこへおいてけぼりにしないでよっ!



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  1. 2014/07/25(金) 23:59:26|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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