大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(74) つのだじろう 15 「新説百物語」

今夜はつのだじろう作品、「新説百物語」(秋田書店刊)です。
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初出は少女向けホラー雑誌の月刊ハロウィン(朝日ソノラマ刊)にて1987年から1990年まで連載された作品で、単行本は全5巻。

今回はつのだじろう先生、若い女子読者向けにはあまりにも伝統的な、クラシックすぎるテーマを持ってきました。江戸時代から伝わるというあの百物語、百本のロウソクに火を付けて怪談を語っていき、1話終わるごとにロウソクの火を消していって最後の1話を語り終えた時、本物の怪異現象が起こるとされる…あれですね。

主人公は"山吹女子高"の一年生、小鼓初音。血液型はA型で、乙女座です!
実家が"宝珠山九輪寺"であり、父親はそこの住職・愚堂和尚であるという生まれを利用して、お寺の本堂に毎月仲間を集めて夜の六時から『百物語の会』を開いている、と。
そこで語られた怪談を紹介していく、というのが本作の内容ですが、全て実話をベースにしたドラマだそうです。
参加者は初音の同級生からよく分からないヤジ馬まで、見知らぬゲストでも来る者は全て受け入れています。ひどい時には参加した見知らぬ人が、実は幽霊だったなんて事もありましたからね。
彼らの会は一晩に百の話をするのではなく、毎回来た人数分だから七つとか八つくらいの怪談をしているのですが、ちょうど百話目に達する晩、何が起こるのか…

さらにお助けや霊魂問題の検証・解説者的な位置付けで登場するのが、「霊劇画 真夜中のラヴ・レター」などでもおなじみ実在する霊能者の西塔恵、そしてここでも心霊研究家で作家の牧草介です。
とはいえ、初音が気軽に西塔先生に霊査を頼んだりするので『ふつう霊能者に除霊をおねがいすれば十万円以上はかかる!』だとか『きみのしていることは 例えてみればお寿司屋でタダで寿司をくわせろ!とねだっているのと同じだ』とお叱りを受けています。
そりゃ何らかの技術に特化してプロになった人に仕事を頼んでタダは無いですよね。相場が分かりにくい霊能者を扱いながらお、少女読者達にそこを伝えるつのだじろう先生は偉い!でも霊査してもらえなかったために、初音の同級生が悪霊に殺される結果になりましたが…

初音が関わってほぼ酷い目に遭うのは共通していますが、毎度違う者が語り合うので独立した短編で進む連作といえますか。よってノーマルな怪談・心霊の話から日本神話、西洋の黒魔術、活きてる人間が起こす殺人事件、UFOまで、超常現象全般を幅広く扱う勉強になる作品ですね。
妖怪も扱っていますが、そうすると妖怪の第一人者であり一番有名な水木しげる先生の話が出てきますが、牧草介が
『漫画だからってバカにしちゃあいけない水木しげるさんは「妖怪」については下手な民俗学者より よく研究しておられる』
と言っているのが嬉しい。

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蝶を助けた少女・矢島裕子が、物凄いイケメン(もちろん蝶の化身だったオチ)に好かれる話があるのですが、そのイケメンにはミック・ジャガーのコンサートに誘われて、実際に楽しんできています。何故ローリング・ストーンズじゃなくてミック・ジャガー?と思うかもしれませんが、ここは掲載年を見ればストーンズ好きならすぐにピンときます。
ストーンズは1990年まで来日公演出来なかったのですが、ミック・ジャガーはソロ・アルバム「プリミティヴ・クール」(Primitive Cool)を出した直後の1988年に単独来日公演しているのですね。2人はこの時の、恐らくは東京公演に行ったわけだ。いいな~、ギタリストとしてはジョー・サトリアーニが来たんですよね。

相変わらず霊界や霊魂に対する心構えなどの霊的な知識を学べて、教訓的な部分も多い上に安定の面白さがありますが、ホラーマンガとして見たら怖さはイマイチ…
なんて思っていると、第十七話「首なし」みたいな恐ろし過ぎるヤバい話が飛び出すからあなどれません。
とにかく、霊的な金縛りにあった時の逃れ方とか、こんなに丁寧に紹介してくれる漫画は他に見当たらない。霊障に遭っている人ならずとも、読んでるだけでその時の準備が出来る嬉しい作品です!

本作の連載中に『昭和』が終わり、百二十五代目となる天皇が即位して現在も続く『平成』が始まりましたが、それを受けて描かれた第十八話「平成元年」。ここでつのだ先生は、戦争に負けて日本人の心や文化の大切さを忘れて西欧の考え方を正しいとする現状を憂いています。
確かに、学校教育は特に歴史教育なんか腐敗しきり、日本人はほぼ全員が外国の洋服を着て日本の着物を自分で着れないし、伝統文化は死滅状態、神仏はおろそかにされていますよね。せめて本作のこの話だけでも読んで、若者が「古事記」「日本書記」といった古書の面白さに気付くと同時に天皇家の歴史に興味を持ってくれると日本の未来にも光が差すと思うのですが…
日本で一番古い書物である「古事記」にもハッキリと霊界の存在が書かれている辺り、やはりつのだ先生ご満悦ですね。そう、イザナミの命が行った黄泉国ですよ。

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第二十七話「チャネリング」で突如宇宙人とか宇宙意識の話になり、その後初音がチャネラーとして認められて所謂UFO、そしてヒロコという宇宙人らしき存在まで登場…
と、まぁ興味深い内容で綴られていた「新説百物語」ですが、第二十九話「魂を吸う鏡」で終わりです。それも初音の、

この二年『百物語の会』をつづけてきましたが あたしもそろそろ受験勉強をしなくてはなりませんので…

という理由で!全く、これだから学生ってヤツは!
もっとも、百物語なんてずーっと続けているのもどうかと思いますけどね。でもそんな身勝手さが良くなかったのか、この最終話で初音の魂が魔界の鏡に持って行かれそうな事を示唆する、アンチハッピーなラストでした。
もちろん、味方の霊の存在を信じて神さま仏さまを大事にしている初音は主護霊さまに護って頂いていますし、『明るく元気に 悪い事をせず 他人の事を考えてあげる 広い心を持って生きること』を心がけているので、何とか助かってくれると思いますが…


あたしもすこしは霊感があるらしいんです!
このごろ すごく霊の世界を知りたくて…
そりゃあやっぱり怖いです!
でも…怖がっていたら 一生知ることができないでしょ



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  1. 2014/07/29(火) 23:59:11|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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