大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(75) つのだじろう 16 「学園七不思議」

今夜のつのだじろう作品は、「学園七不思議」(秋田書店刊)です。
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初出は少女向けホラー漫画誌のサスペリア(秋田書店刊)にて1986年から1989年まで連載された作品で、単行本は全4巻。
七不思議だけに各巻七話ずつの学園にまつわる怪談が収録されています。そして何とこれ、「ハイスクールミステリー学園七不思議」のタイトルでTVアニメ化もされているんですよね。つのだじろう作品の中で決して目立つような内容ではなく、衰退期の作品なので例によってつのだタッチとまるで違う絵のアシスタントによる作画も目立つのですが、まぁ『学校の怪談モノ』という事で人気が得られそうだったからでしょうか。

まず、1巻は全く別の学園、登場人物の1話完結のストーリーで続きます。あのノンフィクション、「霊劇画 真夜中のラヴ・レター」のように読者からの手紙を載せ、怪談を実話としてリアリティを持たせる手法が取られた話もありました。
『第二話 給食の栄養』は、我々が一生食べて行かなくてはならない食べ物に対する恐怖が語られます。給食の中に混入されていた白髪をきっかけにして女子中学生が拒食症になる話ですが、強力な薬剤が平気で使われている食物、養殖魚や農薬野菜などの害は甚大で…って、幽霊じゃなくてそっちの怖い話!?
いやちゃんとある霊魂が出てきますけどね、この話では人間の作り出す公害、そして人間の精神の方が怖い。
『第六話 一番奥の扉』は、出ましたトイレの怪談ですが、霊能者が憑衣されて女学生を殺す所で唐突に終わるオチはショッキング。
しかし悲惨な結末の話ばかりだなぁ…

2巻は青嵐学園編、という事で同じ学園・登場人物の連作七話になっています。
主人公は一条みずきという霊感の強い少女で、それと祖母が霊媒なので霊の事で助言をくれる月影明子。二人の少女が霊に関する事件に巻き込まれていくわけですが、1話目からいきなり魔界の魔物、西洋の悪魔出てきてみずきは操られて大怪我を負う…
2話目では理科室である少女の幽霊に遭遇しますが、幽霊である事に気付かず『そうかこの子少し頭がおかしいんだ』と思う天然みずき!3話目で来ましたUFOネタ。参考文献として矢追純一の著作を挙げて『キャトル・ミューティレーション』や宇宙人にさらわれた同級生を取り戻す様が描かれています。
そのまま進んで最後の7話目、またもある霊に憑依されたみずきは、何と左腕を切断されてそのまま死ぬというラスト!

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3巻は赤尾学園編
次の主人公は私立赤尾学園の二条みずほ。青嵐学園編における月影さんのようなアドバイザー的霊感少女が、今度は小清水由美子。小清水家は父親が霊魂に対して理解がある、というか"小清水PSI研究所"なんて看板を出してるほどの方。

1話目からインパクト強く、まぁ内容は過去発生した女生徒の殺人事件に関わる自縛霊がナイフを握りしめて現世に生きる女生徒の腹を狙う…その霊に由美子が憑衣されるといった流れですが、その時の由美子の暴れっぷりが凄い!
3話目は猫の怪談ですが、これは怪奇現象よりも人間が動物を飼うという欺瞞、罪に対する作者の思想を語るのがメインか。元々は自然の生物であり、口のきけない動物を人間の都合で飼う=奴隷にするなんて動物が好きなら逆にするべきではない、と。
『イルカやクジラが可哀相だから殺すな!とさけびながら 牛肉や豚肉を食べ 毛皮を着る連中と同じ世界ね!』
という由美子の演説に目を傾けて、もう一度ペットについて考えてみましょう。
その由美子も4話目で霊によって真冬のプールに引っ張られ、何と心臓麻痺で死亡!ええーっ!
アドバイザーを亡くしたみずほは…意外にも、特に何もなかったかのように由美子の事には触れる事すら恐怖体験を続けるのでした。小清水PSI研究所も最初しか出てないし、重要人物も死ねば完全に忘れ去られる。

物語を締めくくる4巻は、黄泉学園編
次の主人公は私立黄泉学園の…あ、この学園名は『よみ』ではなく『こうせん』と読むそうですが、そこの女生徒で三条みずえ。そう、主人公の苗字は一条→二条→三条と続き、名前には『みず』と付くのが共通していますね。

1話目で主役を助ける霊能者キャラかと思われた保健の先生や霊能者の老婆までが、通用門に開いた幽界の穴に引き込まれてそのまま逝ってしまう展開に唖然としますが…
本作はスター・システム採用作品。4話目から「霊劇画 恋人は守護霊さま」で強力な霊能者となった南郷涙子が、みずえを助ける役柄で登場して霊障を解決します!
6話目は『不浄霊』を描いたトイレの怪談モノですが、女子高生がトイレでパンツ下ろして和便器にしゃがんでる姿が複数回見られて、そこまで丁寧に描写する姿勢に感服します。そして南郷涙子曰く、女性の場合は男性より穴が一つ多い上にトイレでソレを丸出しにするじゃないですか。そこから用を足して気のゆるんだ瞬間が危ないらしく、下から霊魂を吸い込んで憑衣されるんだそうですよ。この件は他のつのだ作品でも語られていた女性限定の憑衣方法、作者は本気だと思います。
そしていよいよ最終話。用具室の先にみずえだけが見える過去の世界が出現する話で、それって「ドラえもん」的な脳で考えればワクワクする話なのですが、主人公のみずえがその世界に入り込んで行方不明になったままこの「学園七不思議」も全編が終わるという、凄いラストでした!

一応それぞれの学園の特徴や土地柄による怪談も描いて進んだ本作、なかなかの傑作です。
ただし読者を怖がらせる事で与える娯楽性は薄く、心霊に対する正しい知識を教える伝道師としてのつのだじろう先生を感じるべき作品ですね。
霊感は優れていた方が良く、その能力を正しく伸ばす努力をして霊界とコンタクトが取れれば…きっとつのだ先生が仰るように、しっかりと守護霊に守ってもらえて幸福な人生を送れるはずなのです。
今作にはある続編も存在するので、そちらも次回紹介しましょう。


人間の『気』『念』というのは おそろしい力を持っているのです!
プラスに波動を出せば病気も直せる!幸せを呼ぶことも出来ます
しかし…
呪いや恨みの念がコリ固まると…他人を殺すことすら出来るのです!



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  1. 2014/08/25(月) 23:00:52|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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