大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(65) 荘司としお 3 「熱血モーレツ記者」

梶原一騎原作、荘司としお作の「熱血モーレツ記者」(サンケイ出版刊)です。
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この作品は初出が強烈!何と公明党機関紙局の公明新聞日曜版にて、1971年に「猪突猛進記者」のタイトルで連載され、上記の通りに改題された単行本はサンケイコミックスで全1巻。
公明新聞、創価学会の聖教新聞と兄妹新聞でしょうか…こういう媒体に作品を載せると、作者は創価学会員なのかと疑われる事もあろうと想像しますが、むろん違います。ただし「夕やけを見ていた男 評伝 梶原一騎」(新潮社刊)でも書かれていた通り、創価学会会長の池田大作が梶原作品を気に入っていたそうなので、そこから依頼された仕事でしょう。

そんなわけで梶原一騎原作異色の宗教漫画…とでもなれば、まだ突っ込み所くらいはあって面白かっただろうと想像出来るのですが、これはハッキリ言って過去の梶原作品の出来損ないみたいな中途半端な熱血作品になってしまいました。それでも、梶原モノは読まなくてはなりません。
先日まで紹介していた大好きな「夕やけ番長」のコンビが手がけた作品だし、入手するまでに時間がかかっているので期待しながら開いたんですけどね、これが何ともかんとも、今読み返してみてもやっぱり全然面白くない。

そうだ、ちょうど私が二十歳前の頃に「マンガ地獄変」(水声社刊)というディープな梶原一騎特集をした本が出て、素晴らしい内容で嬉しくてしょうがなかったものの、ついでに古本市場で梶原一騎再評価まで起こったので探していた梶原作品もことごとくプレミア度を増してしまったのを覚えています。
manga-jigokuhen1.jpg
まぁ梶原作品に限らず、あの頃はプチ・ヴィンテージ コミック・バブルみたいな状態でどれも相場が天井まで上がっていた感じでしたが。まだまだ過去作品の多くは絶版のままで復刻されておらず、だからこそ古本屋巡りも楽しい時代ではありましたけどね。
そんな時に多少値は張ったものの入手した今回紹介の「熱血モーレツ記者」は、その「マンガ地獄変」ですら一切触れられておらず、今に至るも復刻されていません。

ストーリーを見てみると、新聞連載だからか主人公も"東都日報"という新聞社の新米記者で、名は星伴太郎
…て、「巨人の星」の主要登場人物二人の名前をかけあわせた適当なネーミングですが!
その伴太郎が正直すぎる正義漢で、たとえ相手が東都日報最大の広告主の御曹子でも交番に引っ張っていくような事をしますが、新聞社に伴太郎が信じるような正義などなく、入社早々に目をつけられる存在になってしまいました。

加えて梶原作品の主人公らしく空手有段者なので、抗議に来た"血桜連盟"の暴力団員二人を倒してしまう。
この際に刃物を出して刺しにかかってきた相手に対して、
『それをやりかねんキチガイの目付きだが おそれん人間もある
 肉体の死よりも魂の死を さらにおそれるタイプの人間だ!!』

と、ビビらず言い放つのですが、これはあの傑作「おとこ道」における相馬銀次郎の言葉に似ている!
確かにほぼ同時期の作品だし、同じサンケイコミックスから単行本を出してもいますが、「熱血モーレツ記者」の方は内容がダメダメなので相馬銀次郎のセリフを使わないで欲しいですが。

自分の正義を信じて行った行動も局長に警告され、例の広告主の御曹子に謝罪する場へ連れて行かれても、信念ゆえに謝らず…こういうオトナの世界では絶対に出世出来ないタイプが、同席していた美人歌手の美園ルリコに惚れられますが、今度は彼女の口から
『"男"という字を分解すれば田の力 雨風に負けず田を耕やす力 せっせと人生の田んぼを耕やせる男がスキ!』
と、今度はあの「男の条件」における男谷草介のセリフみたいなのが出てきます。

伴太郎は新聞社で暴れた暴力団員二人の殺人容疑をかけられましたが、自らの手で真犯人で用心棒の空手の達人を追いつめる展開が待っています。
おっと、ここで暴力団員に追われる伴太郎の同期の桜・青柳俊介をルリコがシャワー室の中でかくまうシーンは、これも同時期連載の「ケンカの聖書(バイブル)」にて、吉良旭をダイアナ=ローザが助ける時と同じ。
あと伴太郎の空手の先生は『渡米した際 ニューヨークギャングの拳銃をさばいたほどの神技』との事ですが、当然その先生のモデルとして「空手バカ一代」のマス大山をイメージしていますよね。
しかしこのように、いくら過去や同時期の名作をリンクさせたりいい所を引っ張ってこようとしても、「熱血モーレツ記者」の方は一向に面白くならない!

伴太郎も記者らしい仕事をやらせてもらえるようになったある日、次の事件が起こります。
土地成金の家庭で起こった殺人事件の真相を暴くと共に、この家の中学生の息子には汚い大人達がむらがる金よりも人間愛が大事だと話して…まぁきれいにまとめて終わり。この学生服の少年が赤城忠治に似ていて、ラストシーンは夕やけなのは「夕やけ番長」へのオマージュでしょうか。


いじらしい いたましい ボクは思う………
ひとり静かに思索にふけるとか 自分の行動範囲を地味に充実させるとかが許されぬ
がさつで騒々しい世の中だもの



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  1. 2014/10/31(金) 23:59:31|
  2. 梶原一騎
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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