大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(81) 芝田英行 1 「闇の密霊師」

今夜は芝田英行先生の「闇の密霊師」(秋田書店刊)です。
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初出は1983年から1985年の週刊少年チャンピオンと、まだ同誌が怪奇モノに力を入れていた時期の作品であり、単行本は全4巻(闇の密霊師・全3巻+闇の密霊師外伝 光の霊記・全1巻)。

主人公は早稲田大学と思われる校舎内の"第三考古学資料室"で研究している考古学者の鷲羽涼。別の顔は霊能者。
作者の芝田英行先生は1958年生まれの東京都出身で、やはり早稲田大学大学院で考古学を学んだ方なんだそうですね。この「闇の密霊師」が処女作で、その後も10年ちょっと漫画家として活動した後に現在は『埋蔵文化財調査』を本職にしているようです。
本作を見たらオカルト系で主人公が異端の考古学者、しかも長髪ときたら確実に妖怪ハンターこと稗田礼次郎とかぶるじゃないですか。私は好きな作品なのですが、やはり芝田英行先生は諸星大二郎先生になれなかった漫画家、そして鷲羽涼は稗田礼次郎になれなかったキャラなんだと思います。だからこそ現在は創作活動なんかに追われず好きな調査に打ち込めて、結果的に作者は幸せなのかもしれませんね。絵があまり上手じゃないし…
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(単行本カバーに載ってた著者近影)

さてさて「闇の密霊師」…まず『みつりょう』を"密漁"にかけて"密霊"としたタイトルがいいですね。
前述の通り霊能者の鷲羽涼は長髪ですが、稗田礼次郎と違って常にサングラスをかけてポンチョ(貫頭衣)を羽織った姿。グラサンを外した素顔も出ますが、両目は盲目の人のように黒目が無い。また、時に法剣を手にしています。
稗田はただの学者であって霊能力は無くて基本的に超常現象に巻き込まれていくだけなのに対し、こちらの鷲羽は自身の強い霊能力で悪霊などを払って問題解決します。もっとも霊能者は天の光を伝える媒介にすぎないそうで、仮に自分自身を偉大だとか救世主(メシア)だとか思い込む者は悪霊につけ込まれるそうです。

第1話目で鷲羽に助けられた史学科三年の石川裕子。この少女が本作のヒロイン的な役割であり、頻繁に霊的な事件に巻き込まれては鷲羽に助けてもらい、様々な教えを受けていますね。
1話完結の連作形式で様々な悪霊や伝説の怪物などと戦うのですが、
『憑いてる霊を除くってことは また憑く可能性もある』
『除霊なんてのは じゃまなものは除けばいいという自分かってなエゴに通じる』

などと説く主人公は、考古学者でもあるだけに悪霊を倒すだけの単純なオカルトバトル漫画とは一線を画する人物です。霊の『人格』も尊重していますからね。
さらに
『この世は生きる者のみの世界じゃない あらゆるものとの調和がとれて はじめて息づくものだ
 人間であることをいばる前に 自分も自然の一員であることを思い出すんだな』

ときて現代人が忘れている事を考えさせてくれたり、その他の話でもメッセージ色が強い一面が目立ちます。

それに若き日の私が興奮したのは、マンドラゴラ、スプリガン、丑の刻参り、エリザベート・バートリー伯爵夫人、サタンや黒ミサ、ゴブリン、前世の業(カルマ)、落ち武者の亡霊、ミイラ…etc.
もう、オカルト系の定番ネタが次々と満載に出てきまくる所だった事でしょうか。
過去に迫害されてきた霊能者や超能力者としての説明シーンでは、日本人の三田光一、御船千鶴子、長南年恵、それにエドガー・ケーシーその他の有名所がちょっと挙げられています。

それから霊猿・ハヌマットによってタイのバンコクにまで呼ばれた時は、ビシュヌ神などヒンドゥー教の神々やユダヤ教の悪魔も登場して戦いましたが、キリスト教やイスラム教などで大天使の扱いを受けるミカエルの守護を受けて勝利する。この宗教ごちゃ混ぜ大戦争といった大ネタまでもが、普通に短編1話で完結するのが勿体無い!
この時に鷲羽涼の霊能力は一級で、神界でも知れ渡っているほどの強さなのだと分かりましたね。
我々日本人にもなじみ深い神仏関連、例えば僧の悪霊なんかが出た話でも、やはり大天使長ミカエルから頂いている『天の光』で解決するのですが、宗教が違っても常に霊力が通じるミカエル最強…いや、鷲羽が凄いのか!?
あれ、別の時は『ヘルメスの神 聖母マリアの名において』戦っています。

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3巻の最初から始まる「吸血鬼」は、本編では唯一2話を使った少しだけ長い話。
戦いは瀬戸内海のF島という吸血鬼に支配された孤島に始まり、鷲羽の研究室で決着するのですが、この時のボスであるクルト・ゾミエールという吸血鬼は完全に滅んでないし、最強の敵だったのかもしれません。
この巻最後の、つまり本編では最終話となった「霊能者」は悪魔の大物…ルシファー、アスタロト、ベルゼブブらと天使の力で戦うのですが、このスケールの大きな大戦ですら1話で普通に終わらせちゃってますからね。

で、続編の「闇の密霊師外伝 光の霊記」。これは実質単行本の4冊目で、特に区切りや設定変更もなくそのまま1話完結の連作で進みます。
特筆すべきは「罠」「慈母」「昇天」と続くシリーズラストのエピソード。堕天使にして地獄の王・ルシファーや、地獄の侯爵・アスタロスら、その他地獄の各将が出陣して地上の霊能者達と決戦するでかい話でした。
そうそう、主人公である鷲羽涼以外の霊能者ってのはサブキャラとして他の霊能者仲間も少しだけ登場する程度ですが…鷲羽が大天使ミカエルに守護されているように、大天使サリエルに守護されている5歳の霊能少女・白上亜々留(あある)とその母親、大天使ガブリエルに守護されている冴原三狼がいました。

最終巻の巻末には本編連載開始前に読切で週刊少年チャンピオンに掲載された「土偶」という短編が収録されており、これはそのまま『考古学者にして神秘学者 そして霊能者』の鷲羽涼が登場しているものの、髪の毛が赤毛(モノクロなので茶髪とかなのか分かりませんが)です。
また、鷲羽とヒロインの石川裕子。普通はこの二人が恋愛関係になったりするものですが、その様子は見えないまま終わってしまいました。鷲羽と同じ研究室にいる伊沢が裕子を好きみたいだし、大天使ミカエルの光をいただいている霊能者の鷲羽は神々しすぎて俗世間の恋愛とか似合わないですしね。

画力やコマ割りなどの技術的な事にしろストーリー展開にしろB級色が強く、あまり『傑作』と叫ぶと大げさと言われるでしょうが、せめてオカルト漫画の『佳作』だ、とだけは言っておきましょう。


人間 物質的世界のみ見てたんじゃ 世の中どうにもならんてことさ
特に霊ってのは精神世界に属するものだけに 心で対話せにゃならん……
物質的欲望にはしる者は とかくその対話を忘れがちだ……



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  1. 2014/11/24(月) 23:00:51|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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