大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(82) 芝田英行 2 「THEショック!怪奇幻想館」

芝田英行作品で続けて、「THEショック!怪奇幻想館」(秋田書店刊)。
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前回紹介したデビュー作の「闇の密霊師」と同じ少年チャンピオン誌上で、1987年に連載した作品。単行本は全2巻です。
おっと今回の著者近影では芝田先生、霊能者・鷲羽涼と同じポンチョ(貫頭衣)はやめて先進国の現代人風にスーツで決めていますね。
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1話完結の連作方式ながら合わせれば長編だった「闇の密霊師」から一変し、今回はわずか8ページの全て独立した怪奇系のショートショート集。
数ページながら文章のコーナーが有り、これは作者を知る上で重要。映画に関するエッセイなのですが、『怪奇映画私見』のタイトルで1巻2巻共に怪奇映画に対する愛を語っています。
こういう著者なら本作のこけおどし的なタイトルも、あえてB級ホラー映画っぽくするために付けたのでしょう。イタリアン・ホラーの巨匠、マリオ・バーヴァ監督の遺作「ザ・ショック」も意識したのかな。

読み進めていくと、やはりホラー映画へのオマージュを感じさせる内容も散見されます。
1話目の「白い未来」からいきなり強烈で、未来を予知できる少年の話です。彼が自分の未来を見ようとした時、それが真っ白である事を知る。つまり死んでいるのか!?
五年後は見えない、では四年後、三年後、一年後…最終的には明日、そして今……そこで自分の頭が大爆発する大コマ!
とにかく頭が吹っ飛ぶシーンだけが印象的だったデヴィッド・クローネンバーグ監督の「スキャナーズ」にモロ影響受けてますね。「闇の密霊師」でも『五郎坊の祠』という話で男の頭が爆発するシーンに1ページを丸々使い力を込めて描いていましたが、よほど好きなのでしょうね。

「徘徊」という話は『実は自分が幽霊だった』というオチで、これは「ゾンゲリア」あたりの影響ではないでしょうか。後に「シックス・センス」も大ヒットして同じネタが一世を風靡しましたね。
数多くの話が収録されているので手を変え品を変えて楽しませてくれますが、怪奇とか恐怖というよりもブラックジョークとかナンセンス物といった作品も目立ちます。

「キャンプ」は幽霊の話ですが、登場人物が芝田英行先生の他作品で動物の言葉がわかる少女を主人公にした、「チピ」のTシャツを着ている!これ欲しいな~。

印象深い作品を最後にあと1作だけ挙げるのならば、「体の奥」かな。
自分の体の中がどうなっているのか、心の奥には一体何があるのか…そんな事が気になってしょうがなく、不安でさいなまれて体もだるくなった男が病院(その名も"聖デモニア総合病院"!)へ行くと、ガリモナウス症だと診断されて開腹手術。自分の腹の中を見た男は、体の中がからっぽなのを知って驚きますが、医師は人体解剖図やテレビなどの映像で見るはらの中は皆ウソの作り物で、杉田玄白以来医者なら人間の体が本当はどうなっているか皆知っているけど真実を知ると嫌がられるから隠しているのだと言います。
そして本当の人間の内臓を引っ張り出すと、それは巨大な芋虫で、こいつが体の奥に住んで人間の体を動かしているのだ…というオチ。日野日出志作品のようなグロさとシュールさを持った短編でしたが、また人間が信じている多くの事は本当に本当なのかと問いかけてもいます。
例えば進化論だとか地球は丸くて自転している、宇宙についてのあれこれなんかも確実に自分の目で見た事ではないじゃないですか。真実なんて言ってもその時代によって違うし、世の中がウソであふれている事も分かっているし。
だから自分の体の中や頭の中がからっぽで何も無い『空』なんじゃないかとか、ここでは別の生物がいる設定ですが、そうした妄想はよく分かります。それから仏教だの般若心経だのでよく言う『色即是空、空即是色』の思想へ…

とにかく作品数が多いので傑作も駄作もあるし、基本は怪奇モノでも描き方はコメディタッチだったりで色々になっているのですが、スピード感を保つ事に成功して一気に読ませてくれる短編集でした。


げェ!死体だ 死体の山だ!
そ…そうか!! ここの栄養源は…人間だ!!



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  1. 2014/11/27(木) 23:00:46|
  2. ホラー漫画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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