大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(29) 魚喃キリコ 1 「blue」

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今回は若いお洒落女子から絶大な人気を持つ魚喃キリコ先生の漫画を紹介しましょう。

1972年生まれの新潟県出身である魚喃キリコ先生は、まずペンネームが読めない人が多くて困るでしょうから今回は読み方も教えますが、"魚喃=なななん"と読みます。

さて。
普段は"男気"だ"男魂"だと語っている私が、このような漫画家を好きだとカミングアウトしちゃうのはどうかと思いますが…
いや、ガロでデビューしてるのが私にとってはポイント高いものの、デビュー当初の作品は本当に苦手だったのです。
わざと分かりにくくして気取った感じのするお話も、いかにもデザイン学校で勉強しました的でお洒落系狙いのイラストみたいな絵柄も駄目でした。

なのでガロで載ってた短編は読んでいたし、初の単行本「Water.」(青林堂刊)を買って再読してみた上で、やっぱり駄目だと諦めていたのですが…
初の長編作品「blue」(マガジンハウス刊)を妹が持っていたために、発売から一年以上も経ってから読み、何とも悔しいけれど泣かされそうになった過去がありまして、はい。

それで結局その後の「痛々しいラヴ」「ハルチン」「南瓜とマヨネーズ」「短編集」といった作品も読み、今は魚喃キリコ先生は"せつない漫画"を描く名人だと認識してます。
もちろん今でも苦手な青臭すぎる描写や、私には全く分からないシーンもありますが、それは読者ターゲットが若い女性だからと思えば納得できます。

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それでは今回は、既に書いたような次第で魚喃キリコ評価のきっかけになった「blue」を紹介しましょう。
1996年に雑誌コミック アレ!で10回に渡って連載された作品です。

女子校を舞台に、主人公・桐島カヤ子と同級生・遠藤雅美の二人が紡ぐ友情と、レズ的な感情を描いた作品…というと、すぐに映画化もされて有名な吉田秋生「櫻の園」を思い出すでしょうか。
まぁあれの90年代版ですかね。
同じくこの「blue」も後に映画化されて、高い評価を得ました。

この時の魚喃キリコ先生の絵柄は、描き込みの無い白っぽい絵で、人の顔なんかはモロに紡木たくの影響っぽいです。

作品で描かれる時期は高校三年生の1年間。
普通の高校生なりに進路の事で悩んでいた桐島は、ダブリのため一つだけ年上の、だけどはるかに大人っぽい同級生の遠藤と仲良くなります。
音楽や本に詳しい彼女の影響で自分の世界を広げていくのですが、若い憧れなどの心情描写がまず上手い。

セリフ一つでも女子高生のリアリティが出ているように感じますし、それは成功してるでしょう。
ただ、考えてみたら私は現役の学生時代はもちろん、今も本物の女子高生と話した事などなく(あ、妹は別にしてね)、本物に読ませたら『ちょっと美化しすぎ』とか言われるような気はしますけどね、そこは私がDT精神溢れるガイなので、リアルなんだと思うわけです。

あと明らかに舞台が新潟なので、同じく新潟出身の私には見覚えのある街の風景がいくつか見られるのも、少し嬉しい所でした。

ちょっと考えたのですが、この作品は細かいストーリーは紹介しない事にして…

とにかく最後に桐島は卒業後上京して専門学校へ進学して自分は絵の道に進む事に決め、遠藤は地元に残る…
つまりお別れです。
新潟と東京なんて近いものですが(※)、お互いが別の新しい生活を始めたら、もう高校時代と同じように仲良くなんてできない。
別れ際『ずっと忘れない』と誓い合う二人ですが、彼女達自身がそれは無理な事を知っています。
(※いや、作中はっきりと地名は出てないから、もしかしたら新潟をモデルにしただけで遠い所かもしれませんけどね)

最後に二人が海岸で語り合うシーンの良さなんて、きっと同世代の学生じゃ分からないでしょう。
大人になってこれを読むから胸キュンの名作だと思うのです。

遠藤はこう言います。
『あたし思ったんだ
あたしがなんかしてあげるには 親になんかしてあげるには結婚がいちばんだって
ありがちな答えだけど
でもダキョウしたわけじゃないんだよ?
それが夢なの
普通に生活していくことが 夢って思うようになったの』

と。
いくら大人っぽいキャラとはいえ、普通高校生でこういう事は分かりませんよね。

もう一度言いますが、ともかく『ずっと忘れない』と言って分かれた二人が、恐らくはやはり忘れて、別々の生活を歩むようになる…それを知ってるから泣ける。
つまり実は読者ターゲットは高校生(ガキ)ではなく、社会に出て何年も経った大人なんですよね。
つまり私が大手を振って読んでも大丈夫な作品のはず…


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いかんいかん、真の漢(おとこ)を目指して修行している私が、また切なくなって乙女チックに涙なんか浮かんできました。
ここでパソコン閉じて、「北斗の拳」でも読むとします。


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  1. 2007/02/12(月) 23:54:36|
  2. 月刊漫画ガロ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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