大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(77) 石森章太郎 52 「仮面ライダー」

石森章太郎作品、「仮面ライダー」(朝日ソノラマ刊)。
ISHIMORI-kamen-rider1-2.jpg

石森章太郎(石ノ森章太郎)作品はここまで随分と紹介してきたものですが、この作品がまだでした…老若男女、日本中でその存在を知らないなんて人はどこを探してもまず居ない!仮面ライダーですよ!
もちろん1971年からテレビ放映された東映制作の特撮番組、藤岡弘が初代ライダーを演じて大ヒットし、その後もシリーズ化して放映が続いているあのテレビ番組の方が有名なんですけどね。
ISHIMORI-kamen-rider-keibunsha1.jpgISHIMORI-kamen-rider-keibunsha2.jpg
↑の本は懐かしい、ケイブンシャの大百科(勁文社刊)のシリーズ。

もちろん主題歌も、メチャクチャ良かったですね。
ISHIMORI-kamen-rider-music1.jpg

で、その特撮番組「仮面ライダー」の放映開始ちょっと前に石森章太郎先生が漫画版を描いているのです。ちなみにテレビ版はその漫画を原作にしたわけではなく、同じ企画からながら枝分かれして別個に作られた物です。その企画からして石森先生が関わっているし、キャラクターのデザインなんかそのままですよね。
漫画版の初出は1971年の週刊ぼくらマガジン(講談社刊)で、同誌はすぐに廃刊となったので週刊少年マガジンに移して続き、単行本はサンコミックスだと全4巻。

前に「ココ」で書いた通り超傑作「スカルマン」を原型として生まれた「仮面ライダー」
元々はもっとスカルマンに近い『仮面ライダースカルマン』というのを考案したそうですが、その骸骨顔のヒーローはグロテスクゆえテレビ局からダメ出しを受け、スカルマンの顔にも似ている昆虫のバッタから現在よく知られる仮面ライダーが誕生したのですね。

私が子供の頃は特撮番組の再放送を頻繁にやっていたので「仮面ライダー」も初代から観ているのですが、現在の若者はもしかしたら仮面ライダーの物語を知らない人もいますかね?
世界征服を目論むショッカーという秘密結社、極度な選民思想を持つ彼らは世界中のあらゆる所に組織を持っていて『その国の選ばれた者のみを組織に加える』のだそうですが、それがターゲットを拉致して勝手に改造手術を加えて改造人間(サイボーグ)にして仲間にする、というやり方なんですね。そんな栄光あるショッカーに選ばれた日本人・本郷猛が主人公。
城北大学生物学研究室一番の秀才学生であり、強靭な肉体を持っている上に本郷財団の御曹司というスペックが、ショッカーに目を付けられたのですね。バッタの能力を組み込んだ体の改造手術は済んで、あとは脳改造だけという所でショッカーに連れて来られていた恩師の緑川博士に救われ、オートバイ・サイクロン号で逃亡してからはショッカーの刺客と狙われながら戦いの日々を送る…というものです。

設定はまぁ、これよりずっと前に描いている「サイボーグ009」に酷似しているので当時としても目新しくはなかったのだと思います。
ショッカー=ブラックゴースト、島村ジョー=本郷猛、ギルモア博士=緑川博士でそのまま同じですが、緑川博士はギルモア博士と違って早々に殺されてしまいます。仲間のサイボーグ戦士などもほぼいないし、仮面ライダーはより孤独な戦いを続けていますね。
あと本郷猛(仮面ライダー)は怒りに燃えると全身に改造手術の傷跡が浮かび上がるので、特に顔のそれを隠すためにサイクロンのシートから取り出した仮面ライダーのマスクをかぶるのです。明らかにこのアイデアは、石森先生が大好きな海外SF小説、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」(Tiger! Tiger!)から影響を受けた設定。ちなみに同作では奥歯の加速装置、つまり「サイボーグ009」の元ネタも出てきます。

この漫画版は全6話からなり、それぞれの巻に
『怪奇くも男』『空とぶ吸血魔人』『よみがえるコブラ男』『13人の仮面ライダー』『海魔の里』『仮面の世界(マスカーワールド)』
と、サブタイトルが付いています。
仮面ライダーが敵対するショッカー怪人達も同類、つまり無理矢理改造人間にされた哀れな犠牲者達…悲しい事もありますが倒すしかない。
石森章太郎先生のダイナミックな絵が、見せ場では見開きページを多用してヒーロー物のカッコ良さを表現しています。

中盤では新聞記者を名乗って本郷猛に会いに来た…一文字隼人の登場。
本郷の命を狙って近づいてきたショッカーの戦闘員(コンバットマン)であり、本郷と違い既に頭脳改造手術を受けてしまっているので、ショッカーが醜い争いに明け暮れる世界中の人々に心の平和を与える新世界を建設しようとする組織だと信じきっています。
この一文字、そして同じ能力を持つライダー達にも同時に襲われて本郷はついに撃ち殺されてしまいました!あれ、主人公が死んだ…でも大丈夫。一文字が頭を撃たれた時に頭脳を支配する呪いから解けたようで、本郷猛の意思を継いで大自然の使者 仮面ライダーになる事を決意しました!

ISHIMORI-kamen-rider3-4.jpg

よってストーリーもテレビ版と離れていった後半部分は、仮面ライダー2号となった一文字隼人に主人公が交代されます。
また肉体は死んだ本郷猛も、本郷家が先祖代々蓄えてきた莫大な全財産を注ぎ込んで作った地下研究所に脳だけの姿となって生きており、一文字とテレパシーでつながっているのです。もう一人ぼっちじゃなくなった仮面ライダーは、二人でショッカーと戦う事になる。
いや、ライダーは二人でも協力者としては本郷家に仕える執事の立花藤兵衛とか緑川博士の娘・ルリ子、漫画では最終話になってようやく登場ですがFBI日本支部の滝二郎(テレビ版では滝和也)らがいますけどね。

そして子供向けのテレビ番組では描けなかったと思われる所が多いのは、漫画版の魅力でもあります。
石森先生は単純な勧善懲悪だけの話を描く人じゃないですからね…怪人にされた者の苦悩、公害問題や、広島の原爆で被爆した両親から生まれたため白血病の身となった少年等、重い内容もあります。しかも白血病の浩二くんを治すために乗り込んだショッカー基地の技術陣から医者を一人さらってこようとしていたのに、最後忘れてきて(!)浩二くんは死んでしまう仰天ラストが待っていますからね。

仰天ラストといえば、あなたの周りには『ショッカーの正体は日本政府だった』とか言ってたり書いてる人がいませんか?…それ、ウソですから。
確かにショッカーの10月計画(オクトーバープロジェクト)を阻止するため基地に乗り込んだ仮面ライダーに対して、ビッグマシンが恨むなら自分が選んだ日本政府を恨めとか言ってるシーンもありましたが、それは悪人が言う事。ちゃんと読解力があれば、それは違うと分かります!

物語の方は、ビッグマシン相手に仮面ライダー2号が絶対絶命のピンチに陥りますが、機械の身体になった仮面ライダー1号、つまり本郷猛も飛行能力を得た上でかけつけてきて救出。基地を破壊し、計画を潰した所で終了しました。
ショッカーとも決着をつけてないのですが…続きはまだ大人気放映中だったテレビ版に丸投げした、という事でよいのでしょうか。このまま漫画も続けていたら、石森作品の持つ暗さがどんどん出てきて子供がますます離れていったかもしれませんしね。
石森先生の手による本郷猛らの物語はこれで終わりましたが、その後も他のライダーを描いたり、また他の漫画家が引き継いで描いたりはしています。

このサンコミ版の最終巻である4巻の後ろ半分には、石森プロ製作によるテレビマガジン版が収録されています。こちらは児童向け雑誌で連載されていただけに、オリジナル版にあった風刺的な部分は排除したストレートなヒーロー物。ここでは『石森プロ』としかクレジットがありませんが、すがやみつる先生の手による作品、しかもデビュー作ですね。
『オーロラ怪人カメストーンの巻』は、東京湾の空の上に突然現れたオーロラを見た人々が『目をやられて つぎつぎとめくらになって』いくという、現在では絶対に描かれないヤバい話。実際にライダーもねっせんオーロラで『めくら』にされますが、敵の甲羅の回転音から位置をつかんで勝利しました。

「仮面ライダー」は石森章太郎先生のオリジナル版だけでもけっこうな回数の単行本化がされていますが、他に私が買ったのはサンワイドコミックスの全2巻、
ISHIMORI-kamen-sun-wide.jpg

それから2005年のコンビニ本、角川マンガ(角川書店版)でした。こちらも同じく全2巻ですが、上巻の巻末に石ノ森章太郎先生自身による文章(愛蔵版出版時に書かれた物の再録)や、次男で石森プロ社長の小野寺章氏と出渕裕氏のインタビューが収録されています。
ISHIMORI-kamen-rider-conveni.jpg
一応これも書いておくと1990年代以降に出た単行本は全てそうだと思いますが、
『さっさと精神病院へかえって・・・・クスリでものんでねな』→『さっさとうちへかえって・・・・クスリでものんで寝な』
『モトキチの若造めらが!!』→『モトぐるいの若造めらが!!』
等のセリフ改変がありました。


イエース!仮面ライダーだ!!
大自然の使者 正義の味方・・・・仮面ライダーだ!!
そして・・・・きさまたち ゆがんだ文明の悪魔「ショッカー」の・・・・
破壊者(デストロイヤー)だ!!



スポンサーサイト
  1. 2015/03/22(日) 23:02:20|
  2. トキワ荘
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<トキワ荘(78) 石森章太郎 53 石川森彦 1 「仮面ライダー」 | ホーム | 旅行・紀行・街(192) 沖縄県(本島) 2>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1389-48cba268
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する