大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(80) 石森章太郎 55 「八百八町表裏 化粧師」

石森章太郎作品、「八百八町表裏 化粧師」(小学館刊)。
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『化粧師』は、『けわいし』と読みます。
ビッグコミックで1983年から翌年まで連載された作品で、単行本はビッグコミックス版で全3巻なのですが、今回は1990年に正と続の全2巻で発行されたスーパービジュアルコミックス版を画像に使いました。正の方の帯は付けたままにしましたが、見ての通り『TVアニメ化!』の文字があります。そうですこの年にTBSの「ギミア・ぶれいく」内のコーナーでアニメ化されており、その時に再発されたのがこの本。
石森章太郎(石ノ森章太郎)先生は実は多くの『江戸モノ』も描いていた方ですが、代表作である「サイボーグ009」のようなアクション物に比べるとどうしても地味でアニメ向きでないと思えてしまいますが、そこにある面白さをちゃんと分かって評価した製作者がいたのですね。

後の2002年、つまり残念ながら石森先生が没してからですが、「化粧師 KEWAISHI」として実写映画化までされました。主人公の小三馬を演じたのは椎名桔平…舞台の時代設定が変えられている上に、小三馬に映画オリジナルの"秘密"が付け加えられていました。
ISHIMORI-kewaishi2.jpg

石森章太郎作品の「八百八町表裏 化粧師」は、江戸時代後期が舞台。丁寧に描写されている当時の光景・風俗に、江戸時代萌えの方々は喜ぶのではないでしょうか。
主人公が式亭小三馬で、実在した戯作家である式亭三馬の息子という設定。父であるその三馬は他に浮世絵師で薬屋という顔も持っていたので、その三馬が経営していた薬屋"式亭正舗"を継いで旦那をしている小三馬。流行を作る"弘め屋"としても発想力が凄くて、式亭正舗の新商品を出す度に江戸の話題になって儲けており、本作は『ビジネス漫画』としても読まれています。

そして小三馬のもう一つの顔…それがタイトルの通り化粧師。
父の後を追って戯文も書いてみたけれど、とても越えられないと分かって別の道である化粧師になったのですが、戯文で江戸を綺麗に華やかに描いた父に対抗して、化粧で江戸の女達を美しく飾ろうと決意したと。
困っている人の相談を聞いて様々な難題を化粧で解決するのが主な流れで、1話完結の連作形式で話は進みます。

式亭正舗で働く仲間は番頭の両助、女中のおトラ、宣伝絵の春永センセイ、仙台伊達藩から来た戯作家志望の小柳定九郎、母もいるし、そしてヒロインの花火。
江戸時代が舞台の作品というのに、総合的流行(トータル・ファッション)、髪形(ヘアースタイル)、着物(ウェアー)、宣伝文(キャッチフレーズ)、営業(セールス)、算盤(マネープランニング)…等々、現代風にカタカナ英語でルビを振ってあるのも特徴でしょうか。化粧師はメイクアップアーティストか。

時代的に吉原遊廓の話も何度か出てきて色っぽい所ですが、川岸のボロ小屋で売春して暮らしている貧相な母とその子供の話では、小三馬が力を貸して売れっ子娼婦に仕立て上げていました。これが時代背景とか考えずに売春=悪として、娼婦を辞めさせるようなヌルい話にしないのがさすがです。
現代なんてこの時代よりはるかに国民を縛る法律が多いし、風営法なんて近年でも目に見えてどんどん改悪されていますよね。ロリータ関連はあまりにもひどく、その手の写真集とかが麻薬ばりに厳しい取締りを受けるようになってきたし、実際の売春も18歳未満だと知らずにしちゃっても売った方ではなく買った方が厳しく罰せられるという、世界でも…いや歴史的に見ても珍しい法がまかり通っています。いずれにせよ変態さんはなりたくてなったんじゃないのだし、どこでもガス抜きさせずにきつく締める方だけ強化して大丈夫なんですかね、平成時代。

さて「八百八町表裏 化粧師」は、この手の江戸風俗を描いた作品としては珍しく敵役のラスボスといったキャラが存在していて、それが老中の水野忠成。よく江戸後期の悪徳政治家として描かれる、実在の人物です。
小三馬の才能を認めているからこそ、それでも無理な難題を押し付けて失敗させて自分の手駒にしようと目論むのですが、その度に小三馬が上をいくアイデアで回避して…しかし、最終話「末世化粧」に至ってついに忠成は小三馬を殺す事にする!
本気でお上に狙われた小三馬は生き死にの戦いを強いられますが、その結果はいかに!?

同じ『化粧マンガ』としては、タイトルがよく似た作品で三原ミツカズ先生の「死化粧師」が有名ですが、あれはエンバーミングの方。多少なりとも直接の影響を受けているのは、板垣恵介先生の「メイキャッパー」でしょうか。
やはりマニアックなジャンルなのか、近年は後追い作品が全然出てきていませんかね。今後に期待したいと思います。


"化粧"とは…
…外見を装うことによって
心をも美しくすることだと思っております…!
…美しいモノを見ることによって 自分の心も周囲の心も洗われます。
明るくなります。美しくなります…!
…人の心を そうすることで 江戸の町そのものを化粧したい
そう思っているんです!!



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  1. 2015/04/05(日) 23:00:28|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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