大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(85) 犬木加奈子 7 「プレゼント」

続いての犬木加奈子作品は、「プレゼント」(秋田書店刊)。
INUKI-present1-2.jpg

1990年代のサスペリアで掲載されていたのが初出で、単行本は全3巻。
1、2巻には巻末に『この本の印税は、著者の意向により、日本赤十字社を通じて世界の恵まれない子供達に寄付させて戴きます』の記載がありましたが、3巻末だけそれが無くなっているので印税を寄付したのは2巻までかな。

とある小学校で、その月の誕生日の子が前に出てプレゼントがある子は渡すという『お誕生日会』が行われていました。
しかし10歳を迎える年のそのクラスでは女子達で結託して、誰もクルミちゃんという色白でロングヘアーの可愛い子にだけプレゼントを渡さなかった…
まだ子供な女子にとってひどいイジメですが、この『お誕生日にプレゼントを貰えなかった』という理由からクルミちゃんは年を取らなくなりました!
しかも家に帰ったら両親はいつも通り仕事で帰ってないしクルミちゃんの誕生日も忘れていてプレゼントが用意されてなかった。そのまま失踪したクルミちゃんは、10歳のままで自分へのプレゼントを探して彷徨い続ける。

このクルミちゃんをストーリーテラーにして、 プレゼントにまつわる様々なドラマを見続けていく のが基本。初期はオムニバス形式でしたが、そのうち1話連載になりました。
お誕生日会でクルミちゃんにだけプレゼントをあげないイジワルを思いついた同月誕生日のまゆ子、その時のイジメに加わってしまった事を後悔し続けているマチ子(二人とも老婆になっています)が登場するようなクルミちゃんの人生に関わるエピソードもあれば、全く関係ない所に入っていく話、クルミちゃんが登場すらしない話などもあって、同シリーズですが短編集として楽しめると思います。

犬木加奈子節全開の作品なので、コワ可愛い絵でグロテスクな展開と後味の悪いオチが多めのホラー作品。しかし癒し系の良い話も適度に挿入。
別作品として単行本化もされている「サソリお姉さま」サソリ&サナギ姉妹が登場するエピソードもあるし、クルミちゃんが知り合った中には、プレゼントを渡す人として世界一有名なサンタクロースもいますが…このサンタさんは将来人類に害をなす人物も分かってしまうので、プレゼントするはずだったバットで少年を滅多打ちにして殺してしまったりもする怖いサンタ。
死ぬべき人に死をプレゼントする死神『死は悲しみや憎しみだけからできているものじゃないのよ』と、救いでもあり新しい生命となる事をクルミちゃんに教えてくれたり。

INUKI-present3.jpg

本作をクルミちゃんが自分の誕生日プレゼントを探し続ける物語と見れば、心のこもったプレゼントを本当に貰ってこそ完結となるのでしょう。
クルミちゃんちではママが、いなくなった娘がいつひょっこり帰ってきても今度こそプレゼントを忘れずにあげられるように毎年用意している…つまりクルミちゃんはプレゼント探しに彷徨い続ける事をせず、普通に家に帰れば良いのでは!?
実際ラスト近くでそれに気付いたクルミちゃん、
『帰らなくっちゃ 帰らなくっちゃ あの家に帰らなくっちゃ!!
 あたしが探し続けたプレゼントは…あたしの求めた愛は!
 やっぱりあの家にしかないって 気付いたから!!』

という事で家に戻ろうと走るのですが、あれ?途中で毛糸を編み続け…男を愛しすぎて食べちゃった女のエピソードなどに巻き込まれて帰り道は忘れたのか、最後まで家には帰れないままで完結してしまうのです。

巻末にシリーズとは別の短編「子育て岩石」が収録されていますが、これも犬木ファン必読の作品。女の母性、盲目的な愛情をグロ描写抜きのサイコホラー調で描いた傑作でした。


知ってる?
そのプレゼントの中に何が入ってるか?
ううん 開けなくても わかってるわ
その中にはね 年が入っているのよ



スポンサーサイト
  1. 2015/05/06(水) 23:00:43|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<ホラー漫画(86) 犬木加奈子 8 「スクールゾーン」 | ホーム | ホラー漫画(84) 犬木加奈子 6 「どこにでもあるちょっと怖い話」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1398-a6aef0a0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する