大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(86) 犬木加奈子 8 「スクールゾーン」

続いての犬木加奈子作品は、「スクールゾーン」(リイド社刊)。
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初出は1996年から翌年までの恐怖の館DXで連載された物で、単行本は全3巻。
犬木加奈子作品はこれまでも全3巻くらいの分量ならありましたが、いずれも短編の連作で続くシリーズ物ばかりだったので、この「スクールゾーン」は完全続き物なのが当時珍しかった。しかもこのスピード感…勢いのままに突っ走っていく連載でした。

やたらと怪談話が多くある小学校へ通う少年少女達を描いた作品で、主人公は小学6年生の南加陽介。通学班の班長として責任持って下級生達を学校に連れて行かなくてはなりませんが、同班にいる1学年下の双子の女子・美子と摩子にもバカにされてる気の弱いタイプ。というより学校に着いたらイジメられっ子。
それでも最大限の努力をして車が猛スピードで走りまくる道で小さな子を引率して歩く様を見ていると、通学ってかくも危険で命がけかと思いますが、大人たちが作った『スクールゾーン』。この通学路標識が出て来たら、そこは子供の安全を守るための道。ようやく安心…かと思いきやその通学路、そして目的地である小学校も犬木世界では禍々しい雰囲気のもっと怖い場所です。
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実世界では怪談より怖い人間のイジメが1話目から描かれますが、自殺を迫られた南加陽介は屋上から飛び降りると、学校の踊り場の大鏡に棲む妖怪が陽介を助けたようですが…代わりに表の世界で暴れ回るため陽介の体に憑依して時に操るのです。名前は南加陽介の『介』の字の上に『田』を付けて、妖怪だけに南加陽界(なんかようかい)を名乗ります。
例えば岩明均先生の「寄生獣」におけるミギーのように宿主とは共生関係であり、陽介にとっても特殊能力を得たおかげで下級生を他の幽霊や『闇の生徒』から守れたりもしました。

学校はますますおかしくなり、『13怪談』あると言われる恐怖現象が次々と現実の物となって子供達に襲い掛かる!これらの怪談は学校の怪談としてありがちな有名な物に、著者の独創も入れて作ったのだと思います。
"もうひとりのレイ子さん"が外部から来た婦警さんの体を奪う時は、自らの手でアラレちゃんのように首を『ズボッ』と外させてから乗っ取る…犬木加奈子先生の絵が映えるグロ描写でしたね。そしてこの学校の怪談は子供達どころか関係者以外でも、近付く者は誰でも被害に遭う事が分かったのです。

この怖すぎる学校で何十年も子供達の噂を聞き続けてきて、その真相をも知っている元教師の用務員さんが登場しますが、校長にしかられる事を恐れて肝心な所は何も教えてくれない。でも話の端からだけでも壮大な秘密の影が見えてきました。
何故人間の心はかくも醜いのか…負の心は増殖されて学校はシミついた妖怪だらけになり、封印の鏡も取り外されると闇の学校が現れ、さらなる悪夢が広がる!

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用務員さんが割れた封印の鏡でケガしてベッドの上で重要な事をわめいていますが、これは犬木加奈子先生というホラー漫画界の女王を産むきっかけとも言える大先輩・楳図かずお先生の「漂流教室」における馬内守也、奴のクライマックス近くの姿のパロディですね。ご丁寧に右顔面を大怪我までして大口開けているので、すぐに分かります。

ついに判明する南加陽界が人間だった時の過去。彼が生きた肉体を持ったために人間側に付き、他の13怪談の妖怪と対立する事になって裏切り者扱いされる図式は、さながら永井豪先生の「デビルマン」
小学校という閉鎖空間を舞台にしながらも長い歴史も絡めたなかなかスケールのでかい物語でしたが、ある方法で13怪談を崩してまた闇の学校を封じ込めたまでで終了。
いや『第一部完結』となっているので、まだまだ面白い要素を残したこの作品の続き、いつの日か第二部が描かれるといいな。


い……今まで感じなかったけど……
学校の門ってこんなに高くて大きかったっけ………
ドロボーとか 外からの侵入を防ぐっていうより
まるで何かを閉じこめる 牢屋みたいだ



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  1. 2015/05/10(日) 23:00:47|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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