大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(180) 小林たつよし 1 「秘拳伝説 獅子王伝」

小林たつよし先生の「秘拳伝説 獅子王伝」(小学館刊)。
KOBAYASHI-legend-of-the-lion1-2.jpg

月刊コロコロコミックで1986年から翌年まで連載された作品で、単行本はてんとう虫コミックスで全3巻。
小林たつよし先生は1955年生まれの静岡県出身で子供向け漫画にこだわって良質の作品を描いている方ですよね。まぁとにかく、きましたよ獅子王伝。私がリアルタイムにコロコロで読んでた作品であり、まだ幼い少年期に一番好きだった作品でもあるのです。(コロコロでは他にMoo.念平先生の「あまいぞ!男吾」が同等くらいに好きでしたが)
それだけに、連載があまり続かず終了した時は強いショックを受けたものです。最終回は話が途中すぎて驚いた覚えもありますが、するとやはり打ち切りだったのかな。正確には完結編も描かれたのですが、嫌な事に何故か別冊コロコロコミックに掲載誌を移されてしまって、別冊コロコロなんて田舎町の本屋では売ってなかったので読めず、後に単行本でようやく読めた思い出があります。

ローマ帝国の円形闘技場(コロセアム)で獅子と戦う男で始まるので、時代設定は帝政ローマ時代あたりであると推測されます。後に「ドラゴンへの道」の舞台としてブルース・リーVSチャック・ノリスが死闘を繰り広げる場所ですが、本作のコロコロ掲載時期はジャッキー・チェンの尽力により日本で凄いカンフーブームだった事を覚えています。
とにかく私も含め当時の子供達の間でジャッキーは大スターであり、同じコロコロコミックでぜんきよし先生の「あほ拳ジャッキー」もまだ載ってたかな。獅子王伝はその対極とも言えるシリアス路線ですが、背景に当時のカンフーブームがあった事は特筆しておきましょう。

さて、その闘技場で獅子と闘い一撃で殺した男こそが獅子拳を極めた獅子王
彼はローマ帝国の誘いを断って故郷である東方・中国へ帰るので、すぐに舞台はそちらに移ります。時の中国では、大陸の全土を支配しているのが若武者の神帝が率いる神王朝。彼にとって武力を付けてきている少林寺は邪魔な存在でしたが、そこを襲っては全土に広がる僧兵たちと戦争になるからと、見せしめに少林寺が聖寺としている"獅子寺"を焼き討ちするのでした。
この獅子寺こそが獅子王を継承者とする寺。獅子王がローマ帝国から帰ってきたその日に襲われて、家族や寺の人々が皆殺しにされるのです。いや、一人だけ助かったのが初めて会う愛息・烈男(れお)。復讐に燃えた獅子王は、まだ赤子の烈男を背負って逆に神王朝を襲う!500人からの兵を倒して進んだバケモノみたいに強い獅子王でしたが神帝を取り逃がし、以降物語は神帝を倒すため旅に出る獅子王と烈男を描く事となるのです。

子供向けの漫画雑誌であるコロコロにしてはかなり血なまぐさい内容で、1話目からいきなり人はゴロゴロと殺されまくるし、手も足も吹っ飛びますバイオレンスな展開です(だから打ち切られたのかな。そして、だから私は好きだったのかも)。
獅子王と烈男の親子は一方的に神王朝を狙っているわけではなく、神帝の親衛隊長・幻羅により常に刺客が差し向けられています。それでも烈男は子供ながらに修羅場を潜り抜けて成長する。

『坊や…、拳士が本当に闘うのは敵ではない。己と…、己より強い者。これが拳士の闘う相手だ!!』の名言を残した星燕、幻羅の息子で黒鷹拳の使い手・黒鷹、熊神拳の使い手というか不死身すぎるのが能力の熊王(人肉も喰うらしいけど、いいのか子供漫画で)、蛇拳を使う女性・般若蛇、等々と撃退していた所で、作品中盤から獅子王の先生であるイガナ和尚がいるカシュガルに烈男が預けられて、親子は別行動する事になります。
ここまでずっと、ただ敵を倒しているだけじゃなくて親子の絆とかを描いてきたこの作品なので大胆な方向転換です。別れた親子は既に最強の獅子王側ではなく、烈男が成長して行く様を描く事になります。タイトルは獅子王伝ですが、もう完全に烈男が主役。生まれて初めて父と別れた事でユーチョンやミャオといった友達も出来たし、父と違った獅子拳、己の個性を重視した獅子拳を得るために修行に入るのです。

KOBAYASHI-legend-of-the-lion3.jpg

孤児たちからなる馬賊の"赤い旋風"と闘った時は、強敵のボス・玄武を倒すための修行をしますが…ちょっとおふざけシーンがあって、当時コロコロコで一緒に連載していた小林よしのり先生の「おぼっちゃまくん」パロディでユーチョンに『ともだちんこ』されて烈男が『へけーっ』とか言ってるシーンがあるんですよね(笑)

修行も一段落つき、カシュガルを去ってまた死闘の生活に戻った烈男…次はほとんど「北斗の拳」お世界というか世紀末の荒野みたいな所で、作品のクライマックス近い『魔神拳王院編』。
その魔神拳王院という所では、村の子供が10歳になると強制的に連れてきて魔神拳を習得させるため過酷な修行をさせる虎の穴みたいな事をしています。
そこに連れていかれた烈男がサモハン(命名元はやはりサモ・ハン・キンポーでしょうが、デブゴン姿ではない)、羅漢らと闘って認められて、そして奴隷を解放して魔神を倒す…相当にエキサイティングな展開で、興奮必至です。

ここまでで月刊コロコロコミック連載分が終了し、前述の通り別冊コロコロコミックで掲載された完結編へ。
ここでようやく、獅子王と烈男の親子が再会…それも最高のタイミングで実現するのですが、龍拳の使い手で親衛隊副長の龍王を倒し、いよいよ幻羅やラスボスの神帝がいる城へ、たった二人の親子で乗り込む所で作品は完結。20万もの兵がいる城に武器も持たぬ彼らだけで乗り込むのだから、これは玉砕に行く事になるのか!?
いや、少なくとも少年読者だった当時は最強の獅子王らがやられる姿は絶対に想像できなかった。これがハッピーエンドなのだと思います。

獅子王伝が好きで好きでたまらなかった私は、当然ながらそれ以前の小林たつよし作品であり代表作の「ドラゴン拳」も読みましたが、こちらの方が現代が舞台だし多くの人にとっつきやすいですかね。
そして、どちらも同様に父と子の絆を描く事で単純なバトル漫画を超越した感動が生まれています。全人類…とは言いませんが男の子なら必読の傑作漫画です。


真の拳に生き
真の拳に死した者は、
黄金の夢を見る。
『獅子王の伝』より



スポンサーサイト
  1. 2015/05/31(日) 23:49:44|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<劇画(181) 石川球太 1 戸川幸夫 1 「牙王」 | ホーム | 旅行・紀行・街(195) 東京都新宿区 3>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1403-74eb8f1e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する