大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(182) 石川球太 2 「原人ビビ」

続いての石川球太作品は、「原人ビビ」(マンガショップ刊)です。
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初出は1966年から翌年までの週刊少年サンデー(小学館刊)で、単行本は朝日ソノラマの
サンコミックスで全3巻が古本好きの間で有名でしたが、私は高額だったそれを入手する前に…ヴィンテージ漫画好きの強い味方(であると同時に既にオリジナル版を持っているコレクター泣かせでもある)、あのマンガショップで2005年に復刻した版を買っちゃいました。
長年、どうしても読みたかったのでね…で、この分厚いマンガショップシリーズでは全2巻。

表紙やタイトルで分かる通り、これは太古の原始時代を舞台にした原人漫画。必然的に多くなる自然や生物の描写は、天才動物漫画家の石川球太先生が大の得意とする所ですね。
壮大な宇宙空間で銀河系大星雲から太陽、ついに地球という惑星が生まれてその上で古生代・中生代・新生代と続いて…ついに人類の祖先が誕生するまでというスケールの大きな描写が続いた後で、いよいよ始まるこの物語。

雷雨の夜に"白い牙"族の中から産まれた子供は、この一族では見た事のない白い肌を持っていました。誕生するなり、おばばに『みたこともない かたわの子じゃ!! この子はかたわもんじゃ!!』と言われて危険視される、この子供こそが主人公のビビ
原始時代が舞台で、しかも白い肌に生まれた主人公といえば石森章太郎先生の「原始少年リュウ」を思い出す方も多いと思いますが、「原人ビビ」の方が5年も先に描かれている作品ですからね!

で、読者はこのビビが原始時代を戦い生き抜く記録を迫力ある絵でハラハラしながら見守る事になるのですが、狩りの作法や儀式など、原始時代豆知識満載なのも良いですね。娯楽どころではなく厳しい自然と戦う毎日に終始していた時代なので、獲物を食べる食事だけが唯一最高の楽しみだというのは納得。
ちなみに白い牙一族は、かしらがその名も白い牙で、ビビの両親がバビヒナ、他にケダモノオオイビキカタブツその他…ちゃんと原人達にも個性を付けています。
まだ小さいビビですが、底なし沼を利用して狩りをする方法を見つけたため、褒美にかしらから斧を貰いました。そのため他のチビ連中に嫉妬からなる嫌がらせをされたり…って、原始時代からこのような醜い人間模様は付き物なのですね。しかし生きるため食べるために殺すのが当たり前の時代では、ガキのケンカでもかなり激しい。馬乗りになってボコボコに殴った上で、草を口の中にねじこんでさらにボコボコにする感じです。もちろんどちらが正しいかよりどちらの力が強いかの方が大事で、それに勝る方が生き残る非情な世界。

マンモスやクマなどの猛獣や、洪水など自然の脅威、それからまた怖いのが同じ人間…当然、他所の一族もいるわけです。
認められるためにでかい獲物を仕留めようと一人で遠出してしまったビビは、凶暴な"金毛族"と遭遇して捕獲されますが、後に金毛族とは白い牙族あげての生存をかけた決戦へと発展します。
しかし金毛族は人数で勝る上にビビ達がまだ見た事も無かった武器・弓矢を使う技術の持ち主。白い牙一族では圧倒的に一番強く頼れるかしらが、その武器に倒れて殺されるのですが…その首が胴体から切断されて頭だけ河原に突き立てられていました!このような首チョンパといえば漫画界では「デビルマン」の牧村美樹が有名ですが、あれより6年も前に描かれた「原人ビビ」でこの衝撃シーンが!

唯一火の付け方を知っているかしら(その地位を保つために他の者に教えてなかった)を失った白い牙一族は結局やられて、住み慣れた土地を捨てて敗走。
天然アスファルトの沼でビビを助けるためにその父親・バビは死に、ビビも一族を追い出されてたった一人で生きていく事になりました。いや、めくらになっている母親のヒナだけは奪還しましたが。
襲ってきたサーベルタイガーを返り討ちにし、その血をすすって踊り狂うビビ!しかしサーベルタイガーって凄い姿ですよね…現在のトラの犬歯とは比較にならないほどでかい牙を持ったカッコいいヤツ。その後まだチビなサーベルタイガーの子供が現れて、親が死んで悲しんでいたを自分と重ね合わせて同情したビビは育ててやるのですが、ブウと名付けられたこいつが成長して後に頼もしい味方になってくれるのですね。
現在のヒグマの3倍の大きさで凶暴な原始ホラアナグマ、恐ろしい数のカラスの群れ、人間の"シゴキ一族"…これらと対峙しながらも生き延びるビビでしたが、前からたまに出ていた本作のラスボスでもあるマンモスのオレキバの手により母親までが殺されてしまいました。死んだ母を二日間も抱き続けたビビは、ようやく埋葬するとオレキバへの復讐を決行する!

オレキバとの対決はすんなりいかず、一度はやられても命が助かったので勇気を振り絞って再挑戦。
もう一匹、名前が付いたマンモスが出ていたのですが…それがビビと同じく白い体をしているからか他のマンモスと群れずに孤独な行動をしている白キバ。ある事からビビはこいつと仲良くなり、またオレキバを倒さなくてはいけない事で利害が一致したために共闘するのですが、それにサーベルタイガーのブウも入れて荒野の三匹。彼らはオレキバらのマンモス軍団に、最後の決戦を挑む!

それからこの長編にふさわしく読者は興奮間違いなしの、凄いラストバトルが待っています。決着をつけて本編は終わるのですが、前回紹介した「牙王」と同様に伏線の回収も上手くて気持ちよく完結させています。
しかし白い肌を持つビビが特殊能力を持っているとか、他の人間と違う部分はついに出てこなかった。例えば似た設定の作品で前述の「原始少年リュウ」はアトランティスの一族でしたが…本作では肌の色が違って差別される事などがあっても、その能力は何も違わない、むしろそれをはねのけて強くなったり頑張れたりする事を裏テーマ的に描いたのでしょうか。


たのむ!!ほかのマンモスはねらっても あいつだけはねらわないで…
あいつも白い!!おいらも白い!!
あいつもおいらと同じに 白く生まれたために、苦労してるんだ!!



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  1. 2015/06/11(木) 23:59:05|
  2. 劇画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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