大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(91) 神田森莉 1 「怪奇カエル姫」

今夜は神田森莉先生の「怪奇カエル姫」(ぶんか社刊)です。
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ホラー漫画の常識を超えたスプラッター度合いと暴れっぷりでメチャクチャ好きな漫画家ですが、このブログではまだ紹介していなかった…
まずは簡単にプロフィールを追うと、1963年生まれの北海道出身。1989年にレディース・コミックでデビューしているし、この絵と名前だと性別も分からないと思いますが、正解は男性です。
音楽活動もしていて、2001年には何とテクノですがソロアルバムとしていぬん堂からCD「アントニオ青年のエイリアンSEX体験」を出していて、ラストにボーナストラックとして、他にやってるモグラ娘。というユニットの音源も入ってます。
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あとは多分もう10年くらい前かな、神田森莉先生のバンド・マンコスを観に行った事もあります。しかもその時は友達のバンドと共演だったのでライヴ後の打ち上げでも同席し、たまたま近くにいた人といった感じでお話もしたのですが、普通に音楽とかゲイの話とかして漫画のファンである事は打ち明けられずに終わった記憶があります。高円寺のよく行ってた、そして残念ながら今はなき居酒屋Gaburi!だったな…

本人の音楽活動もまだ続けていますが、2007年にはハードコア/パンク・バンド、地獄車のCD「地獄がえり」でジャケット画を担当した時は、我々古参のファンとしては喜ばせて頂いたものです。少女ホラー漫画誌が軒並み廃刊になってホラー漫画家は発表の場が無くなったかに見えた2000年代ですからね…
ちなみに沖縄出身の人々、地獄車はバンド名が「柔道一直線」の必殺技である事でもお分かりのように、もちろん梶原一騎リスペクトのカジワラー。
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で、神田森莉先生の初の単行本となったのが、1994年に上梓されたこの「怪奇カエル姫」。全6編を収録したホラー漫画の短編集で、初出は1993年から翌年までのホラーM誌上です。
作風は一言で言えばスプラッター+ギャグ。となると山咲トオル先生のズンドコホラーが浮かぶ方も多いと思いますが、神田森莉先生の方がホラー漫画家としても微妙にデビューが早い上に、トオルちゃんほど狙ってる感じがないのです。本当、もしかしたら本人はまるでギャグ要素を入れているつもりはなくて、読者を単純に怖がらせようとして描いてるのかもしれません。それが映画「死霊のはらわた」効果と言いましょうか、表現が過激すぎて狙わずともギャグに反転しちゃっているのでしょうか…その可能性もあります。
絵が稚拙なのもあって感情が純粋な恐怖の方には流れないのですが、これは近年大ヒットした諫山創先生の「進撃の巨人」でもよく知られたように、一見すると下手で妙なデッサンなのが逆に上手い効果を生んでいるというべきでしょう。

さて作品を順に見ていくと、まずはホラー漫画家としての再デビュー作となった「血まみれの夏休み」
主人公は高校2年生の浜本光恵…あだ名は『豚』。つまりイジメられっ子です。ぽっちゃり好きの私としてはちょうどいい体型の巨乳ちゃんなんですけどね、その光恵(豚)がある日イジメっ子達に誘われて、夏休みに男子を含めたメンバーで海へキャンプに行く事になりました。
明らかにきな臭い誘いですが、光恵はメンバーに大好きなイケメンの生田君がいるという事で参加してしまい、もちろんさらなるイジメの的にされるのでした。要は生田君が光恵に告白させられるかどうかの賭けだったのですが、まんまと引っかかり乙女の純情を踏みにじられた光恵。
イジメグループはさらに、養豚場を襲って殺した豚を使う…お、これは同様にイジメられっ子が策略で天国から地獄へ突き落とされて豚の血をぶっかけられる映画「キャリー」のオマージュだと思いますが、本作では血だけでなく内臓も、さらに皮をはがした豚の頭もかぶせられるのです。その後で光恵がグループに復讐するのは「キャリー」と同じですが、その方法は大きく違っていて、つまりあんなにあっさりと殺してあげないのですね。最初の女を殺る時の描写は!自分の生まれる以前のホラー漫画も遡って長らく読んできた私にも、当時かなり衝撃的でしたよ、ホント。
後頭部を殴打して動けなくした女を、背中から岩(フジツボの付き)でズルズルとこすり、皮と筋肉を削ぎ落として背骨と肺が露出させ…というやつです。次の二人も殺ると最後はメインの生田君を拉致して二人で無人島へ行くと、最後の波乱があって物語りは幕を閉じます。傑作。

「死鬼子」はカルト教団を題材に使ったスプラッターで、これも強烈でした…
クラスメイトの少女が入信してヤバくなった新興宗教団体は『神秘卍教会』という名で、オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こし、庶民が教団内部の異常性や邪教の恐ろしさに震えてる事になる2年くらい時に描かれた作品。
友人を救うため教団に潜入したクラスの仲間がバレて殺されたり、手足を切られて目を潰され舌を抜かれて発狂した状態で飼われてしまったり!
教祖も17歳のまだ少女で鏡死鬼子様というのですが、彼女の秘密、そして大団円のオチは最高。

表題作の「怪奇カエル姫」は、絶望的すぎる酷いイジメられっ子の少女・オチコが、ある最後の希望の糸まで切れて発狂して『カエル姫』となり、一度だけ助けたのでオチコに王子様と慕われていた池野君がイジメグループ、いや無能教師や笑って見ていたクラスの奴らも皆殺しすべく復讐劇を開始する!
ラスボスの小雪は人間のプライドを失くさせた上で腹を真横に裂き、ここでついにカエル姫となったオチコも参戦。口で腸をひっぱると内臓がズボッと全部抜けるのだから人体の不思議。
自分で強くなるなり武器を持つなりして対抗出来る者とそうでない者、イジメの対応についても考えさせられるのでした。

「胎児少女エリコ」は、パパに近親相姦を迫られて妊娠させられた上に授業中に流産してしまった少女・恵理、悲しい彼女のために胎児少女のエリコが助けにくる…
手足切断やらの血みどろな展開はいつも通りですが、これはサイコホラーとしても上手い描かれ方をしています。

「飢える骨」は、怖い『人間』を描いてきた神田森莉作品としてはちょっと珍しい亡霊モノで、家出した少女・夕祈が空き家で出会う白骨死体が題材となります。
こいつが生肉を食いたいと願う餓えた白骨で、食物を与えられると徐々に肉がついてきました。そんな折に夕祈をイジメてた女生徒が空き家を調べると、ほぼ復元してくる白骨くんに生きたまま喰われるのですが、腹から胸の肉が喰われて内臓露出しているのはまぁいいとして、股の下に漫画みたいな女性器が外れて転がってるよ!
白骨くんの正体を巡ってミステリー的な展開にもなり、そしてまたヤバいラストへ。

最後の「首の軽い少女」
これは楳図かずお先生のある作品からヒントを得ていると思われる短い作品ですが、ラストのオチは奇想モノ。
主人公の少女の名前が何とタマミですよ!別に元ネタとなったのは「のろいの館」(「赤んぼう少女」)じゃないですけどね。

主人公がどれも女学生である事と血まみれの生々しい残酷描写がある事は全作品に共通していますが、話は毎度工夫して飽きさせないよう手を変えてしっかりと作っていて、全部傑作。
とにかくこの独特の絵とリズムは読んでもらわなくては分からないかもしれませんが、こんな時代だからこそ読んでもらいたい大のお薦め作品です。


サタン?今の私はそんな生やさしいものじゃないわぁ
サタンなんてえ たかが悪魔じゃなーい!! 悪魔とか幽霊とか そんな実体のないものなんて 怖くないわよう
この世で一番恐ろしいのは人の心よう!!
愛する人を失いっ!!憎しみのあまり狂った女のっ!!心よおぉぉぉぉっ!!



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  1. 2015/07/08(水) 23:59:18|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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