大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(186) H・P・ラブクラフト 1 松本千秋 1 岡本蘭子 1 「ラヴクラフトの幻想怪奇館」

今夜は松本千秋岡本蘭子画による「ラヴクラフトの幻想怪奇館」(大陸書房刊)。
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ホラー漫画雑誌のホラーハウスにて、H・P・ラブクラフト(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト、Howard Phillips Lovecraft)の短編小説を原作としたコミカライズ漫画が1989年から翌年まで掲載されたのですが、それらを集めてホラーハウスコミックスより全1巻で出たものです。
当時はラヴクラフト作品がコミカライズされる事は珍しかったのではないでしょうか。二人の漫画家が順に描いているのですが、収録作品は…
「レッドフックの恐怖」(松本千秋)
「魔犬」(岡本蘭子)
「エーリッヒ・ツァンの音楽」(松本千秋)
「死体安置所にて」(岡本蘭子)
「アウトサイダー」(松本千秋)
「宇宙からの色」(岡本蘭子)
と、なっています。

この時に原作として使われた本は、創元推理文庫の「ラヴクラフト全集」(東京創元社刊)。
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日本でラブクラフトの本といえばまず一番目に入るのが、全7巻で出たこの全集文庫版ですね。よって大西尹明、宇野利泰、大瀧啓裕、各氏の訳を基にしています。

1巻の初版は1974年ですが、それからゆっくりゆっくり刊行していき…6巻が出版されたのは1989年。よって私が集め始めた時は6巻まで出ていたものの続巻が1990年代には出ず、もう出ないのかと諦めていました。というかもう待つのも止めて諦めていた2005年に、突如全集を締めくくる7巻が発売!そのニュースは逃さず情報を得た私は当然飛びついた!
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そんなに動きが無かったシリーズでしたが、やはり7巻が出たのは待ち望んでいた読者達を喜ばせてよく売れたのでしょうか。
今度は大して時をかけず2007年には同じ創元推理文庫より、「ラヴクラフト全集 別巻」が上・下巻の全2巻で上梓されました。
何でこれが通常の全集に入らなかったかとい言えば、補作して手を加えたヴァージョンなのですね。
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イチ古本コレクターの立場としては、本当は矢野浩三郎監訳で函絵にH・R・ギーガーが使われた豪華な「定本ラヴクラフト全集」(国書刊行会刊)がお薦めなのですが、やはり文庫の方が圧倒的に手頃で普及しやすいですね。
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で、ギーガーといえばラブクラフトから強い影響を受けた画家でもありますが、PCエンジン初のRPGとしてハドソンから発売された「邪聖剣ネクロマンサー」のジャケ画に使用されていました。
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このゲームが1988年のリリースで、1977年生れの私としてはまさにドンピシャないい時期にリアルタイムで遊べたゲーム。いや、本当はもう少しお兄さん向けだったかな…当時としてはかなりグロかったし、ガキにとっては難し過ぎて皆が途中で諦めてましたからね。本当、諦めずに続けてクリアしたって人は私以外で知りませんよ。
しかもキャラクター名がクトゥルフ神話のから取られているし、作品のダークな世界観も同様にクトゥルフ神話を題材に使っていたんじゃないかな。もちろん当時はそんな事は知らず、ずっと後の10代後半時に海外怪奇小説にハマって必然的にラブクラフト作品に出会い、すぐにあの思い出のネクロマンサーはこれが元ネタだったのかと気付いた次第です。

本当にこれ以上無いくらい大好きだったゲーム「邪聖剣ネクロマンサー」、1990年代以降のようにそれまでのデータがゲームソフトにセーブ出来るなんて事は定着しておらず、毎回パスワードをメモする必要がありました。しかも敵キャラは動くし倒すと血しぶきあげるからか凄いデータ量のゲームで…長い長いパスワードでした。たまに「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」の『ふっかつのじゅもん』が長かったと懐かしむ人がいますが、あんなもんじゃないです。ひらがなカタカナだけでなく、英字も混じってましたからね!
それがいい所もあって、実は自分ではPCエンジンを持っていなかったのにパスワードを書いたメモ片手にPCエンジンを持っている家や、安くやらせてくれるおもちゃ屋を訪ねてプレイし、長い長い時間をかけて進めていった記憶があります。

前田俊夫先生によるコミカライズ版「邪聖剣ネクロマンサー」(JICC出版局刊)だとか、
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ゲームブック版「邪聖剣ネクロマンサー イシュメリアの悪夢」(勁文社刊)も買ったし、
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…って、うわ!当時遊んでた『チェックシート』が本にはさまってた。この用紙に直接鉛筆で書き込み、消しゴム使って遊んでいたわけですね。
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当時読んでいた(遊んでいた)ゲームブックなんて全部処分してしまったけど、このネクロマンサーだけはギーガーのジャケ画が好きだったのでまだ手元に取ってあります。もちろんずっと後でギーガーの画集なども買い集めるようになったし。

おっと話をH・P・ラブクラフトに戻します。
まずラブクラフトをまだ知らない人もいるかもしれませんね。アメリカ合衆国のロードアイランド州、プロヴィデンスという街で1890年に生まれ住んだ宇宙的恐怖小説家で、時期によって色々ありますが何と言っても、オリジナルの神々や地名に魔道書などを創作してつくり上げた架空の神話体系…いわゆる『クトゥルフ神話』があまりにも有名。
現在では怪奇・幻想文学のジャンルであのエドガー・アラン・ポーと並ぶ評価を受けていると言えますが、生前は作品がパルプ・マガジンで掲載されていたのもあり、彼の真価は死後20年以上経つまで認められなかったそうです。友人で作家のオーガスト・ダーレスが体系化して展開しなければ、クトゥルフ神話も我が国で簡単に読める状況になっていなかったのでしょう。
私が怪奇小説を読み漁っていた若き日々には当然ながら避けて通れない作家であり、すぐに熱中する事が出来たのは幸運でした。もちろん友人や後年の作家達が設定を引き継いで書き続けているクトゥルフ神話も出来る限り読んできました。クトゥルフ神話の映画化作品はもちろん、自然とクトゥルフ神話に影響を受けた作品なんかにも親しんできたと思います。

そのクトゥルフ神話は複雑だし、これについて書いていくと長くなりすぎるので説明を省きますが、今回紹介の漫画版「ラヴクラフトの幻想怪奇館」
まずラヴクラフト小説を漫画化という試みをしてくれた事に感謝しておきますが、原作ファンとしては説明不足な部分が多い事に悔しさを覚えます。もちろん少ないページ数で描いているので無理もないし、絵もあまり特徴が無い少女漫画のそれで描かれていますが、でも意外と悪くない…かな。
世の中には活字が苦手で漫画好きな人が数多くいますので、それらの方々にもこうして読みやすく提供し、ラヴクラフトやクトゥルフ神話を広めていければ良いですね。

オリジナル作品は活字なのであって読んで読者が想像する事を狙って創造されているわけですが、神話の神々だの宇宙生物だのは絵にするとガッカリする可能性も高い。可視化して子供向けの怪獣みたいになったら、あの震えるような雰囲気が損なわれてしまいますからね。よってそれら異形の生物がはっきりと出る作品を避けたラインナップなのも良かったのでしょう。少女漫画絵といっても人体破壊やその他、それなりにホラーシーンはあるし。
巻末にはラヴクラフト作品の翻訳者である大瀧啓裕氏による活字ページで『ラヴクラフトの世界 異次元の恐怖にとらわれて』が収録されています。


夜に
じっとしているものは
なんにもない…

何かが
吸いとられている
何か…



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  1. 2015/12/16(水) 23:59:32|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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