大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(67) 久米みのる 2 「きえる快速車」

藤子不二雄先生には珍しい原作者付き作品で、藤子不二雄ランド(FFランド)から「きえる快速車」(中央公論社刊)です。
FUZIKO-KUME-disappearing-swift-speed-car.jpg

原作者は久米みのる先生。本作は藤子不二雄Ⓐ作品ですが、これ以前には藤子・F・不二雄先生の方と組んで「名犬タップタップ」のシリーズや「ロケット五郎」等々の作品で組んだ実績がある方で、このブログでは前に貝塚ひろし先生と組んだ迷作「ロボット長島」を紹介済みですね。

「きえる快速車」は1963年に週刊少年マガジン(講談社刊)で連載していた作品で、単行本は全2巻。藤子先生がマガジンで描いた記念すべき初作品でもあります。
主人公は北海道釧路市の阿寒湖近くに住む坂口零太郎という少年。父は戦時中に名機として名を馳せた日本海軍戦闘機・ゼロ戦を設計した堀越技師の第一助手だった人で、そのゼロ戦の長所を活かして10年かけて完成させたスーパーカー、超高速車のエンゼル号のドライバーになってカーレースに挑むのが主な話。

連載開始したのがF1グランプリに日本の本田技研が出場する事を宣言した翌年だったようですが、本作でも本田モーターの社長で馬力王と呼ばれた本田宗一郎、名前もホンダの創業者で偉大な実業家でもあったあの方と全く同じ人物が登場します。
彼が零太郎のレーサーとしての才能を見抜いて上京させ…といっても秩父だから埼玉県か、ここにある"ホンダ・レーサー学校"へ入れて成長させるし、またエンゼル号をタイトル通りの『きえる快速車』に改造するのです。消える仕組みがちゃんと図解で出てたりするのは、夢のスーパーマシン好きにはたまらないのではないでしょうか。

ホンダ・レーサー学校でスピードの死刑台などの試練に耐え抜いて成長した零太郎は、ジェット・モンスターというマシンを操る外国人のビルと鈴鹿サーキットを利用したヤミ勝負で対決!このビルが宿命のライバルといった感じで、後にまた登場します。
あと超音波メスを搭載した『スピードの悪魔』というマシンが出てきた話では、本作のヒロインで本田宗一郎の令嬢・富士子がさらわれて、エンゼル号に乗った零太郎らが伊豆の大島にある悪魔の隠れ家まで助けに行くという少年漫画の王道な展開になりました。

ラストを飾るのは、アメリカのインディアナポリスで行なわれる世界最大のレースに日本を代表して出場する話。
世界最強を目指すマシンが続々と登場しますが、これがどれもモンスターみたいなやつで、空飛ぶのこぎりざめ号とか…ヤバいデザインや技術を持つ車も出てきて、スーパーカー好きにはたまらないのではないでしょうか。ついでにカルト映画好きなら、すぐにあのロジャー・コーマン製作による「デス・レース2000年」を思い出す感じか。もちろん本作は、あの10年以上前に描かれた作品である事が誇らしい。
ある妨害にあってエンゼル号はインディアナポリスの地で破壊されてしまうのですが、遠い外国に住みながら日本を愛する老人が博物館から引き取って持ってたゼロ戦。何とこれを部品に使わせてもらって当地で組み立て、無事にレースへ出場できた零太郎。快速車30台で800キロメートルを走るこのレースで優勝して世界最速の男になる事が出来るのか!?


そしてこれはFFランド版。という事は『巻末新作まんが』があり、本作では「ウルトラB」の連載がされています。
そして「きえる快速車」では全2巻にはちょっとページ数が少なかったのでしょう。貴重な読み切り短編作品で1957年の「第十番惑星」「火星ダイヤ」、1966年の「トランク・キッド」が収録されています。 内容はさすがに古さが目立ちますが、マニアックに藤子不二雄Ⓐ作品を語る上では抑えておきたい作品の数々。

「第十番惑星」は表紙をめくると、いきなり太平洋上のある島が爆発します。これが某国の新型爆弾実験の結果なのですが、この島のネーミングが"クルシミマス島"というので爆笑モノ。内容はいたって真面目なSFで、宇宙まで飛び出すスケールの大きさと、反核や平和を訴えるメッセージ色も強い作品ですが。

「火星ダイヤ」は地球の火星探索隊がこの地で危機に遭う冒険譚ですが、ここで出てくる火星人が…まさかのタコ型!物語上は一応恐ろしい怪物として出ているのですが、可笑しくて可愛くてとしか見れませんし、それってウェルズの「宇宙戦争」の時代から定着した古臭い火星人のイメージですからね。ブラッドベリの超傑作「火星年代記」が邦訳されたのは1956年だったみたいなので、本作発表の前年ではあるけどまだ藤子先生は読んでなかった可能性もあるし、大真面目に描いているのかな。主人公の星夫くんは、そのタコ型火星人に追っかけられて柔道の投げ技を駆使し、『講道館はしご段のぼくを知らないか』とか言ってるのですが、そりゃ火星人が知ってるわけないだろー!しかも受け身を取られて『やっ柔道を知っているな』とか言ってます。

「トランク・キッド」は謎のトランクを持つ少年探偵、トランク・キッドが暗黒街の悪者と戦う活躍を描いた作品ですが、そのトランクの中身を一切明かさない所が渋い。高度な知能を持った生命体なのか、超ハイテク機器の類だったのか…
この本の中では描かれた時代が一番新しく、オバQやハットリくんの連載とかぶる時期の作品なので、皆がよく知るおなじみの絵柄で読めるのも嬉しい作品でした。


なにをいってるんだ
きみもぼくも 同じレーサーじゃないか



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  1. 2016/01/20(水) 23:59:00|
  2. 藤子不二雄
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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