大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

週刊少年ジャンプ(60) 望月三起也 3 「突撃ラーメン」

先日、4月3日に望月三起也先生が逝去されました。偉大な漫画家がどんどん亡くなっていくのが寂しくてなりません。でも77歳没でしたか…最後までワイルド7な望月先生でした。

漫画史上に残る数々の名作をモノにしてきた方ですが、自分にとって思い出の作品は、「突撃ラーメン」(若木書房刊)。
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初出は1970年の週刊少年ジャンプ(集英社刊)で、単行本はコミックメイトで全2巻。
望月三起也先生はまだ月2回刊誌だった1968年の『少年ジャンプ』創刊号から参加している漫画家であり、週刊になってからもまだまだ黎明期といえるこの時代のジャンプで掲載されていた作品を、私は幼い頃から何度も読んでいました。
実家にあったからというだけの理由ですが、これは料理本を買うのが好きだった父親(漫画好きではない)がタイトルから料理漫画だと思って間違えて買ったのだと思われます。いや、間違えてと言ってはいけないか。確かに同じジャンプで描かれた牛次郎原作・ビッグ錠漫画の名作「包丁人味平」よりも3年も前に描かれた作品であり、これこそが今では巷にあふれかえっている料理漫画の原点と見る事も出来るのかもしれません。
熱血漢、しかし望月作品なのでセンスの良さが光るカッコいい主人公が暴れ、泣き、最後に勝利を収める…スカッとする少年漫画でした。

そんな主人公は活劇俳優、鮎沢錦
主演している連続テレビドラマ『突撃刑事』が大ヒット中のスターである彼ですが、父親は汚い屋台を引くラーメン屋でした。カッコいい活劇スターである錦は、その事を内心うしろめたく思いながらも父親の事を『男』だと思って尊敬しています。
ちなみにそのさらに父親、つまり祖父が『一代めの鮎沢』だったのですが、父が子に彼の日露戦争でのエピソードを聞かせる回想シーン…これが長々とページを取り、緻密でリキの入った絵で戦線を描いているのですが、ここで出る軍装や武器は恐らくかなり正確なのだろうし、望月三起也先生はこういうの描くのが大好きなのは存じております。
戦時下においても異常といえるほど味を追求していた祖父は、そのおかげである攻防を日本軍の勝利に導く手柄を立てているのですが、その際にあの乃木閣下が直々に勲章を渡そうとした時も鍋に夢中で大将など眼中に無し。

で、その祖父はともかく現在も生きていてラーメン屋台を引いている父の方。
彼のラーメンは多くのファンもいて、自他共に日本一と認める味を出している事が錦にも分かってくるのですが…
黄金の舌を持つ世界一の料理人・竜玉師が審査員になっているという理由で、横浜港にて行なわれた『ラーメン極東コンクール』に参加します。各国5人ずつの代表が参加したこの大会で父は優勝するのですが、その後に竜玉師によってある辱めを受け、自殺に近い形で死んでしまいました。

そこから鮎沢錦は竜玉師への復讐を誓い、スターの立場も捨てて俳優からラーメン職人へと転身するのです。
主人公がラーメン作りに入る時点で既に2巻、作品の半分まで行ってますが…

竜玉師を殺しに行った錦でしたが、前からの知り合いだった中国人の張さんに味で仇を取るようにたしなめられ、張さんの店で修行を開始します。でもすぐに暴れて飛び出し、色々と中華料理屋を渡り歩いた末に神戸市へ流れると、ある縁から神戸一の"九龍城飯店"で茶ぼうずから修行し直します。
従業員の数も多いここでの上下関係描写が本作でも衝撃的なのですが、何しろ魔女鍋みたいなので食材を混ぜている先輩達の料理研究会を目撃するシーン。鍋の中に人間の手が入っているのを見てしまうのですね。ええ、
『先輩にたてつくと あのナベにほうりこまれ……
 料理の材料にされるんだぜっ!!』

という事でした。

竜玉師に復讐したい一心で耐えてこんな所で修行している錦でしたが、ここで唯一親身になってくれた先輩の川本さんも、どうやら喰われてしまったらしい…ついに爆発して大暴れ。子供の時に出て行った実の母親にも会えるのですが、激情は止まらない。そして時は流れ。錦の復讐は成るのか!?
使わなかった伏線、唐突な感じのラスト、短命に終わった作品なので色々と惜しい要素もありながらも、絵や持ち前のセンスで惹きつけられるこの魅力!読まなきゃ損でしょう。

単行本では1巻の巻末に「ザ・サムライ」「続・ザ・サムライ」という2編で西部開拓時代のアメリカ、そして帰国して江戸時代終結辺りの日本を舞台に滝鉄馬の活躍を描く短篇、2巻の巻末には「大追跡」というブラジルを舞台にした浪花節有りの追跡劇が収録されています。
後者の主人公も姓は滝、しかし名は三郎だし顔は違うので関連はないと思いますが…この追跡に関わってきて一緒に手伝ってくれた男がデビュー作「ムサシ」の主人公だった事が、ラストページで明かされますね。これまた、いずれも傑作。

…最後に望月三起也先生の、ご冥福をお祈りいたします。


やってみるかい
たぶん かたくて歯ごたえがありすぎるんじゃないかね
だれからくってみる?



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  1. 2016/04/08(金) 23:59:49|
  2. 週刊少年ジャンプ
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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