大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(51) 「ザ・クレーター」

手塚治虫作品より、「ザ・クレーター」(秋田書店刊)。
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初出はまだ週刊誌化される前の少年チャンピオン、1969年の創刊号から翌年まで連載されたもので、単行本は少年チャンピオンコミックスで全2巻。
これもいわば連作短編シリーズですが、前回の「ブラック・ジャック」のように登場人物や舞台など共通するわけではなく、それぞれが完全に独立した短編で17作品が描かれ、この単行本にはそのうち14作品が収録されています。となると当然未収録の3作品が気になりますが、手塚治虫漫画全集(講談社刊)等で簡単に読む事が出来て特にレア作品というわけではありません。

一応は怪奇系の作品で揃えている感じで、あと奥野隆一(オクチン)少年が多くの作品で出てきますが、これは普通にスターシステムのやつであって、別作品のオクチンは全く別設定の人。
実は短編漫画の名手でもある手塚治虫先生がこうして手がけた本作ですが、同時期に同じ秋田書店の青年誌の方・プレイコミックで描いていた短編連作の「空気の底」と比べてもキレがない感じは否めません。
悪くはないのですが、少年誌で全く売れなくなった不遇の時期に描かれた作品だからか…内容も暗くて悲惨な結末の話が多い。でも手塚治虫先生自身が本人役で何度も出てくるのは嬉しいポイントですね。

サスペンス作品でけっこうな傑作もありますが、私はこの中では『オクチンの奇怪な体験』が好きですね。
学校で何でも引受け屋をして金稼ぎに精を出しているオクチンが、急死(死因は原爆症!)した女の子の魂を何日か預かる事になる話で、少年漫画らしい設定でユーモラスに進みながらほんわかした感動を味わえる作品でした。

死んだと思われた臆病者が英雄に祀り上げられてしまう話は『墜落機』。
生きて基地に帰ったのに(発見者に『こじきみたいな男で自分はオクノだオクノだといっています キチガイのようですが どうしましょうか』とか言われててウケます)、もう一度死にに行かせて…という反戦漫画。

短編集のタイトル「ザ・クレーター」は手塚先生いわく『別に意味は無いのです』との事でしたが、最後の話は『クレーターの男』という題でした。
月面調査に行った男が月で動けなくなったまま身体がミイラ化しても生き続けて地球の最後を見守る悲しい話ですが、ブラッドベリ的な余韻の残るSFで、これも傑作。


しあわせ
それは時間とは関係ないもんだ
たった一しゅんの しあわせをつかむために
何十年も苦しむ人間もいる
しあわせって いったいなんだろう?



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  1. 2016/04/29(金) 23:00:53|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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