大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(75) 「ブラック商会変奇郎」

藤子不二雄作品から、今夜は「ブラック商会変奇郎」(秋田書店刊)です。
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二人の藤子不二雄のうち、今でいうでいう藤子不二雄Ⓐ先生側の作品。
初出は1976年から翌年までの週刊少年チャンピオンで、記念すべき連載開始号は↑の物で私も入手しています。単行本には入らなかった巻頭の2ページを含む5ページがカラーページだし、他のページも昔の漫画雑誌でよく見られた赤黒の2色カラーページ。また単行本で23ページ目に当たる、サクラテレビの所が1コマ描き直されていますね。こんな所を比べて発見するのも、初出誌を見る楽しみであります。

エピソードの数えは『商の○○』という形で進んで全23話が存在し、単行本は少年チャンピオンコミックスで全5巻。
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いやー、これも大好きな作品です。何しろ私のバイブルでもある「魔太郎がくる!!」に続いて同じチャンピオンで連載開始しており、また同様にホラー、怪奇路線の作品ですから!
内容はといえば、東京都の新宿副都心で高層ビルの間にポツリとある古びた骨董店"変奇堂"の主人であるじいさんの変奇左エ門...ではなく、その孫の変奇郎です。"明友中学校"に通う中学生で、普段は魔太郎ほどじゃないにしてもおとなしくて弱いのですが、彼には裏の顔があった...仮面とマントを身にまとい、「笑ゥせぇるすまん」(「黒ィせぇるすまん」)の喪黒福造と同じく相手に人差し指を突きつけて『ドーン!』と叫ぶと魔力を発揮する。仮面とマントより、首にかけているペンダントが魔力の基みたいですね。
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主人公は骨董品店の子であり、祖父が珍奇な骨董品を買う癖がある事を活かして毎回変な骨董・道具などが登場するのですが、これで今度はどんなのが出てくるか楽しみもあって飽きさせません。プライベートで変コレクターである藤子不二雄Ⓐ先生が満を持して描いた作品ともいえるでしょう。
変奇郎も正義の味方というわけではなく、たまたま目撃したり自分や知り合い等に害を成す悪人に対し、証拠物品の買取りだとか口止め料とか言って高額な経費の請求書を出し、支払わせる黒い部分も持っています。その支払いを無視したり踏み倒したりすると、変奇郎の魔力が使われる事になる、というのがお決まり。

実は本作は1996年に実写でテレビドラマ化もされている作品なのですが、その時のタイトルはブラックをシャドウに変えて「シャドウ商会変奇郎」。これはドラマ版が勝手に変えたというより、その2年前に秋田文庫した時に何故かそのタイトルになっちゃったので、そこを基にしたのでしょうね。その頃はちょっとでも黒人が出ようものなら差別だとか言われたり、言葉狩りも酷くなった時代だったので『ブラック』が黒人を想起させると判断したのでしょうか!?
ちなみにテレビにうとい私はこのドラマ化に気付かず見逃しているのですが、あとでデータを見たら変奇郎役が森田剛なんですよね。でもって、エンディングテーマはその森田がメンバーでV6の年少3人組によるカミセンだったそうなので、出来栄えもどう考えても期待出来ないし、見なくて良かったのでしょう。
あと気になったのは、単発ドラマだったという事でどのエピソードが実写化したのか。答えは原作の第2話に当たる『万引き』だったそうです。変奇郎のパパ・一郎の上司である伊達専務が変奇堂を三億円で地上げしようとして嫌がらせをしてきたりするものの、窃盗病だったために本屋での万引きシーンを変奇郎が目撃して逆に脅す請求書を出す話か。それなら、変奇郎が目撃する時の万引き本は『Stupid '01 Snoopy』でしたが、あとで窃盗病の説明をする時の本は「魔太郎がくる!!」のチャンピオンコミックス第3巻でした。そこら辺も再現してたら嬉しいのですが、さてどうだったのか。

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話の展開パターンは基本的に魔太郎から踏襲していて、同じようなネタもあるし登場する人気者やスターや社会的地位のある人々が裏ではだいたい卑怯者、そのクズっぷりが凄くて良いですね。これが藤子不二雄Ⓐ先生の人間観でもあるのかもしれません。
それと変奇郎の方には親友の同級生が存在するのですが、それが漫画家志望の子で...その名も...満賀道夫!そうです、藤子A先生の代表作にして自身がモデルである「まんが道」の主人公と同名の同キャラなのです。しかも発表年は、「ブラック商会変奇郎」の方が先ですよ。つまり「まんが道」の方がスピンオフ作なんだとか、変奇郎で登場させたキャラに愛着があって再登場させたのだとか、考えられます。ああ、細かい方は「まんが道」のは満賀道『夫』じゃなくて『雄』だろ、と言うかもしれませんが、それは本作でも実は両方の表記が出てくるのです。藤子A先生も漢字を間違えただけなのかな…まぁあまり気にせず、名前と風貌が同じ漫画家志望の同一キャラとして良いでしょう。
でも、本作には魔太郎の南由紀子に当たるヒロインが居ないのがネックか。

満賀道夫の登場以降は、道夫が被害に遭って変奇郎が加害者に請求・復讐する話が増えてきました。その満賀の部屋には何と、藤子・F・不二雄側の作品である「ドラえもん」の絵だとか、共著の「オバケのQ太郎」からP子のぬいぐるみ、さらに藤子不二雄のサインまで飾ってあったりするのですが、特に手塚治虫先生の激レア初期作品なども所持する漫画コレクター。
そういえば変奇郎の部屋の描写は多くありませんが、本棚には呪術の本が並んでいたりして、ルネ・マグリット画集はページをくり貫いて恐喝で稼いだ大金を隠していました。
あと変奇郎や満賀の担任教師が綾野先生というのですが、『花の係長』とあだ名が付いているのは園山俊二先生の作品ネタですね。うーん、古い!と思いますが本作と同時期の作品。きっと当時大流行していたのでしょう。

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やはりパターン化してしまうので変えていったのもあるのでしょう、後半は変奇郎があまり請求書を出さなくなって、普通に復讐だけしたりとか、ファンタジー色の強いエピソードなんか、もう魔太郎と同じですね。変奇郎は中学生にしてそんな大金を貯めてどうするつもりなのかとか、いくら貯まったとかも曖昧なままになって…
そして迎えた最終話が『商の23 水晶球の中の運命』で、とある魔力合戦をして物語の幕を閉じるのでした。

そして最初に出た少年チャンピオンコミックスだけの特典!
最終巻である5巻の巻末に『変奇郎スペシャルフロク』のページがあって、藤子不二雄Ⓐ先生の変コレクションは作中に登場した実在の骨董品なのだと写真で証拠を見せてくれて、あと藤子スタジオの皆さんも一人一人『我が愛蔵品』を自慢しているのです。そして最後のコマで、藤子・F・不二雄先生が鏡の通信機を紹介していますね。地味ながらこういったネタも、コンビ解消以降の本には入らなくなったわけです。

そして次に出た変奇郎がこちら、おなじみ私の大好きな藤子不二雄ランド(FFランド)版の「ブラック商会変奇郎」(中央公論社刊)。本編以外のページも多いFFランドなので、こちらは全6巻と1冊増やして商の23まで全話を収録しています。
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この作品で有難かったのは、FFランドだとお決まりの巻頭付録にカラーセル画に続いて、『週刊F.F.ランド』として要は作品の解説記事があるじゃないですか。連載当時の西新宿を知らない私がそこで分かったのが、作品舞台、つまり超高層ビルの谷間にあいた変奇堂がある所の特定ですね。何のことはない、今の東京都庁がある位置だったみたいです。FFランド刊行時にはまだ都庁が今の場所になく、まだ昭和が続くと思われていたので完成は昭和66年度と書かれていますけどね。
あと最終6巻では、本編で触れられなかったブラック商会の決算報告が金額でちゃんと出ていました!まぁ、1話目からちゃんと計算していけばよかったのでしょうが、そんな暇な事やる読者は少ないでしょうから有難いですね。収入の部、支出の部とちゃんと明細付きで載せていて、結果五百五十六万六千円のプラスで作品は終了したみたいです。
それから読者コーナーである『読者のひろば』はまぁいいとして、巻末の新作連載漫画。これは犬好きの読者(はーい!私です!)にはたまらない「タカモリが走る」が、1巻で連載スタートしています。この良質な藤子不二雄作品の連鎖、精力的に作品が描かれていて人気も絶頂だった頃が懐かしいですね...


商売にはなりそうもないわい
だがわしは こういう変奇な骨董品を見ると
矢もたてもたまらず ほしくなるんでな



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  1. 2017/06/06(火) 23:59:06|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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