大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(23) 水島新司 1 「ゴキブリ旋風」

MIZUSHIMA-SHINJI.jpg

今夜紹介する水島新司先生といえば、それはそれはとても有名なわけですが、しかし、ほぼ全員が野球漫画の第一人者としての認識をしているでしょう。
もちろんそれで正しいのですが、ただ野球漫画以外にも名作があるのは事実。
野球大嫌いな私が書くこの"名作漫画ブルース"では、当然野球漫画ではない作品を紹介しましょう。

本当はこのように野球嫌いを公言する私が、あそこまで本気で野球を愛する水島先生の作品について語るのは気が引けるのですが…
まぁ"野球"は嫌いだけど"野球漫画"ならいっぱい持ってますしね、許してもらいましょう。

水島新司先生は、1939年生まれで新潟県出身。
えっ、1939年生まれって…そう。
もう凄いお歳で、今年(2007年)は漫画家生活50周年記念の年でもあります。
この歳で現在も週刊誌に連載しているのだから、まさに驚愕の事実でしょう。

1958年に「深夜の客」でデビューするのですが、これはサスペンス漫画だったそうです。
最初の大ヒットは、「男どアホウ甲子園」。タイトルからして最高ですよね。
「野球狂の詩」「ドカベン」「あぶさん」「一球さん」(これは「男どアホウ甲子園」の続編)あたりは誰でも知ってる作品ではないでしょうか。
やはり有名なのは野球漫画ばかりですが…

あれだけ人情味溢れるいい話が得意で、絵も上手いのだから野球漫画だけでは勿体無い。
野球漫画以外で一番ヒットしたのは原作に花登筐先生を迎えた「銭っ子」でしょうか。私も大好きな作品です。
スリ連合の戦いを描いた「いただきヤスベエ」も名作ですし、近年の将棋漫画「父ちゃんの王将」等、いくつかの候補から迷った末…
今回紹介する作品は「ゴキブリ旋風」に決めました。

-------------
この「ゴキブリ旋風」
1970年に冒険王で描かれた作品なのですが、単行本が何とホラー漫画の量産で知られるひばり書房から出版されてるだけで異色!な全二巻です。
ひばり書房といえば、日野日出志先生、森由岐子先生、古賀新一先生、好美のぼる先生、白川まり奈先生、さがみゆき先生、杉戸光史先生…
他にもいっぱい思いつきますが、とにかく普通はあの黒い背表紙のホラー漫画しか思いつきませんよね。
さらに実は水島先生、他にもひばり書房から、これは野球漫画で「青春の牙」「エースの条件」が上梓されてますが、あまり知られてませんね。

今回紹介する「ゴキブリ旋風」は三話構成になっていて、最初の話は
★ゴキブリ・バナナの巻★
です。バナナの巻ったって意味が分からないでしょうが、主人公のゴキブリこと中西寅は、長屋でバナナの叩き売りをしている父親と暮らしている学生なのです。

ゴキブリというあだ名の原因は、汚いから…ではなく(それもあるかもしれませんが)、生命力が異常に強いから。
その氷河時代からいたとも言われる強い生物から名前をもらったゴキブリは、夜市で父親がやるバナナの叩き売りでサクラをやったり、暴れん坊だったりするので、風紀委員のカマキリこと座間俊二に狙われ、学園追放を画策されます。

ゴキブリと、下町の長屋で見世物小屋などをやったりしてる他の住人達との関係は素晴らしいのですが、とにかく正義面で敵対してくるカマキリの執拗で悪質な脅しと戦います。
見世物小屋に嫌がらせをするチンピラ達(カマキリの建築会社で雇われていた)と戦って父親が刺され、見世物小屋も崩壊して、ついに堪忍袋の緒が切れてゴキブリVSカマキリの一騎打ち。
これにゴキブリが勝利して、カマキリの顔に傷をつけてやりました!

『その顔の傷はワルをしようとする おまえをとどめさす らく印だ
そしてその傷の何十倍も大きい傷をつけられた人のいることを忘れるな』

そう言い残して去ったゴキブリは、またバナナの叩き売りをする日常に戻りました。

次は
★ゴキブリ・パンチの巻★
として、ボクシング編です。
ゴキブリの父親が事故にあい、昔ゴキブリの命を助けてくれた医院に担ぎ込むのですが、そこには看護婦の娘しかいない…
名医だった元ボクサーの医者は、かつて自分のチャンピオンへの夢を息子に託したのですが、その息子までチ○バの、どめ○ら(自主規制しましたが、意味わかりますよね?)にさせてしまい、今は酒に浸りながらあちこちのジムで嫌われながら、また夢を託せる若者を捜していたのです。

泥酔してる医者をゴキブリは何とか連れ帰り、酔いを醒ませて手術させると…メスを握ると震えは止まり成功しました!
その恩を返すために、ゴキブリが医者の夢をかなえる決意をするのです。
つまり、その異常に丈夫な体を使ってボクシングを始める。

チ○バでめ○らになったという医者の息子と盲導犬のジェットをコーチに特訓したゴキブリは、大恩のできた医者を馬鹿にしたボクシングジムが抱えるチャンピオンへ、決闘を受けさせる事に成功します。
自らの身体に鉄骨をぶち当てる特訓までしたゴキブリにとっては、いかにチャンピオンとはいえグローブのパンチなんて綿です。
いくら喰らっても倒れず、また常識外れの攻撃も相手に決まり、素人なのにチャンピオンと相打ち!
しかし…右指をそっくりやってしまい、プロ入りもしないまま"幻のチャンピオン"で終わってしまいました。

最後は
★ゴキブリ シュートの巻★
で、何とバレーボール編。
それも女子バレーのコーチをする話なのです。
絶対に諦めない持ち前の根性を伝え、見事女子バレー部は大会に優勝して終わり。

ここまで読むと皆、ゴキブリを大好きになるのです。

この三話で「ゴキブリ旋風」も終わりですが、単行本にはボクシング漫画「闘魂」も収録されています。
こちらは構成の面では「ゴキブリ旋風」よりも良く出来ていて、水島新司先生得意の浪花節が良く出た短編でした。
-------------

ところで水島新司先生の出身地である新潟市、その古町通には、"水島新司漫画ストリート"というのがありまして、これは地元の誇りである水島先生功績を顕彰し、漫画の登場人物7人の銅像を並べた物です。
これは同じ新潟県出身である私も、完成後すぐに観に行ったのを思い出しました。

それでは今夜は「ゴキブリ旋風」より、ゴキブリの同級生・コガネ虫が、ゴキブリの生命力を見て驚いた時の言葉で締めくくりましょう。


ぼ……ぼくがみた ゴキブリといっしょだ
ふ ふみつぶして死んだとおもって近づくと
いきなりうごきだす あ…あれといっしょだ
あのくそ根性くそ生命力 まさしくゴキブリだ



スポンサーサイト
  1. 2007/03/29(木) 00:42:54|
  2. 劇画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<劇画(24) 江原伸 1 「ブラックナイン」 | ホーム | SF漫画 (7) 吾妻ひでお 1 「海から来た機械」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/155-41557658
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する