
さあさあ予告通り今回は、地獄の似合う漫画家No.1の
日野日出志先生で逝きますよ!
まずは単行本のカバーで公表されている、プロフィールを見てみましょう。
1946年、満州チチハル生まれ。
満州の荒野で九死に一生を得て、内地に引き返した後も各地を転々とし、小学一年で三回も学校を変わり、この頃から
異常な孤独癖と空想癖に取り付かれるようになる。
とありますが、いかにもですね。
もしも子供達の輪の中で、明るくワイワイ騒いでるような少年時代だったなら、後年あの傑作の数々は生まれなかったはずです。
映画好きで、自身も映画監督か撮影カメラマンになりたかったという少年時代を経て、1967年に雑誌
COMの第5回月例新人入選作
「つめたい汗」でデビュー。
以後、
ガロや
少年画報等を活躍の場として、数々の傑作を発表し続けました。
後から見たら順調のようなこの漫画家生活ですが、実は怪奇漫画以前にはギャグ漫画を描いていた
日野先生ですので、試行錯誤し、無理に絵柄を崩したそうです。
ギリギリの生活の中で精神的に追いつめられ、
『最後に自分の納得いく作品をひとつ描いて漫画家をやめよう』と決意までしたのだとか。
そこである一つの作品を、何度も何度も何度も描き直して、ついに完成させた…
それがあの
「蔵六の奇病」なんですね。
作品をいくつも読んでると
日野作品には、どこか懐かしく、そして不安を呼ぶ原風景がある事に気付くでしょう。
本人が、どこかで自作には
怪奇と
叙情というのを大きなテーマにしていると、そう語っておられましたが、そう、
叙情を感じさせる所に、単なるスプラッターではない凄さを秘めています。
登場人物には、異形の物(フリークス)、精神異常者(パラノイア)、ヤクザに怪物、社会から虐げられし者達が多くいるものの、あきらかにそちらの方が健常者以上に優しいまなざしを向けて描かれている事も、読み返してるとよく分かってきます。
もちろん単なる、ショックやグロを求めて、
日野作品の世界に入るのもいいでしょう。
それだけでもホラー界トップの気持ち悪さを持ってるので、内臓好き、腐乱死体好きの貴方(笑)にもオススメですよ!!
なにしろ化物ではない、むしろ被害者側の登場人物の顔まで怖いです。
目がギョロッとして血走り、普通の人には見えないのです。
さらに、家屋から畳の目の描写にいたるまで怖いのです。
あと映像部門。
日野先生はホラービデオの制作もしてるのはご存知ですか?
1985年に作った監督作の
「ギニーピッグ2 血肉の華」は、幼女連続殺害事件の容疑者・
宮崎勤の部屋にあったとされて、即絶版!
以降未だにソフト化されていないので、有名レア作品になってしまいました。
(しかも、実際に
宮崎のヲタク部屋にあったのは、別監督で、しかもコメディ調の
「ギニーピッグ4 悪魔の女医さん」だったそうですよ。)
それにいい大人が、『あいつは残酷な物を観てるから残酷な事をしたのだ』とか、本気で信じてしまうのはいかがなものでしょうか。
武道(居合い)をたしなむようになったからか、心身が健康的になるとおそらく同時に、作品も随分前から毒が薄れている
日野先生の近年の作ですが、これはこれで悪くないです。
"暗黒童話"といった作風が多くなっていて、それは
日野先生に憧れて漫画を描き出した
犬木加奈子先生の作品世界に影響を受けているようにも思え、傑作の影響力はループするのかと考えてみたり…
今回の画像は、ここにもいました
日野リスペクト!って事で、
犬神サーカス団が'99に発表したアルバム
「地獄の子守唄」です。
最後に一つ。
何度も出版社やサイズを変えて復刻されている
日野作品ですが、これから購入するという方には、やはりオリジナルである事とジャケのカッコよさを考えても、
ひばり書房から出ている黒背表紙の版をオススメします。
では次回から作品そのものの紹介にいきますね。
- 2006/04/30(日) 12:52:48|
- ホラー漫画
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| コメント:9
待ってましたよ、日野日出志。素晴らしい解説を期待してます!
どんどろ、どんどろ・・・
- 2006/05/01(月) 11:06:52 |
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- ホラー好き #79D/WHSg
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>ホラー好き様
コメントありがとうございます!
ホラー好き様は、どのようなホラー作品がお好きなのでしょうか?
私はホラー漫画だとかなり思い入れ深い作品も多いので、徐々にアップしていきますね。
これからもよろしくお願いします!
- 2006/05/02(火) 22:33:12 |
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- BRUCE #79D/WHSg
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頭に鉄の塊を乗せて寝るぐらいずーんとくるよね彼の作品て・・・
小さい頃、無知ながら作品の凄みに惹き込まれたものです
「怖い」というより「気持ち悪い」「不思議」って感覚のほうが
強かった気がするけどね
いつか伊藤潤ニについて書いてください☆(大好きなの)
- 2006/05/03(水) 01:02:37 |
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- NONG #79D/WHSg
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>NONGさま
返信遅れ、そしてこれからブログの更新もしてなくて、ごめんなさい。
落ち着いてネットを出来ない環境にありまして。言い訳してもしょうがないですが。
コメントありがとうございました。
なるほど、NONGさまの日野作品に関する感覚も参考にさせてもらいますね。
伊藤潤ニについては、もちろん書かせて頂きます。
ちょうと実家に置いてあった全作品を送ってもらった所ですし!
では、また今夜あたりから更新を再開するので、これからもよろしくお願いします。
- 2006/05/07(日) 15:49:30 |
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- BRUCE #79D/WHSg
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小学生のころ、「地獄の子守唄」読んで、1週間生きた心地がしなかった。なのに何度も読んでいた。暗鬱な気持ちになるくせに「毒虫小僧」も「地獄変」も「蔵六の奇病」も読んだ記憶が……。工場から7色の煙が出ていて近くの子供たちがその煙の公害(?)でおかしくなる、っていう話、ありませんでしたっけ?
最近、絵がかわいくなっているとかで、びっくりです。
- 2006/05/08(月) 22:44:19 |
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- #79D/WHSg
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↑
Previewを押してそのままPost押したら、名無しになってしまいました。すみません。
- 2006/05/09(火) 09:05:10 |
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- keico #79D/WHSg
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>keicoさま
ご丁寧に書き直しもくださって、ありがとうございます。
おおっ。
「地獄の子守唄」ですか。あれを読んで三日間(読んでない人はこの期間の意味は分かりませんね)、泣き続けた子は多いのでしょうね。
>工場から7色の煙が出ていて近くの子供たちがその煙の公害(?)でおかしくなる、っていう話、ありませんでしたっけ?
同じく「地獄の子守唄」に収録されてる"どろ人形"ですね。
あれは『ガロ』収録時は内容もけっこう違うのですよ。機会があったらそちらも読んでみてください。
>最近、絵がかわいくなっているとかで、びっくりです。
童話調なので、あえてそうしてるのでしょうが、昔ながらのおどろおどろしさを求めるファンには物足りないですよね。
ところで今月に入ってブログの更新をサボってて、申し訳ありません。
七色の煙を吸ってしまったために目が潰れて…
ってのは嘘ですが、GWとかでパソコンにじっくり向かう時間が無かったのです。
多分明日から更新を再開できますので、よろしくお願いします!!
- 2006/05/10(水) 00:56:56 |
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- BRUCE #79D/WHSg
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「どろ人形」! そう、それです。子供たちがどろを投げていた。なんかせつない話だったなあ……。あと、ネズミが赤ん坊を食っちゃう話も怖かったです。
『ガロ』系では大越孝太郎が好きですね。
ひばり書房では、小学生時代に黒田みのるや、さがみゆきを読んでいた記憶があります。
これからどんな作家を取り上げていただけるのか、楽しみにしています!!
- 2006/05/10(水) 22:36:05 |
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- keico #79D/WHSg
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>keicoさま
「どろ人形」は公害問題に対する、日野先生流の警笛だったのですかね。
本当に切ないです…でも、向こうから駆けて来る少女が目玉飛び出したガイコツにしか見えない顔だったりしてて(笑)
「はつかねずみ」は後味悪いのが怖さも増しますよね。
大越孝太郎を読まれてるという事は、わりと近年の「ガロ」も読んでらっしゃるのですね。
当然小説では乱歩や久作好きなのでしょうね。
黒田みのる、さがみゆきをそんな頃に読んでましたか!
私は二人とも数作読んだくらいで詳しくはないのですが、お勧めはありますか?
知られざる名作があるのなら探して読んでみたいですが…小学生の時ではタイトルまで覚えてませんかね?
とりあえず、十数日ぶりにブログを更新しましたよ!
またよろしくです!
- 2006/05/11(木) 01:51:50 |
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- BRUCE #79D/WHSg
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