大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(8) 根本敬 1 「亀ノ頭のスープ」

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今や特殊漫画大統領として孤高の地位にいる根本敬先生は、1958年東京都目黒区生まれ。

1981年に月刊漫画ガロでデビューした、特殊漫画家です。この肩書きだけで普通の漫画家でないのは分かりますね。
その絵は他の誰も真似できない(しない)ので、絵を見たら一発で分かりますし、見た事ある人も多いでしょう。下品、汚い、それは美徳です。死体、汚物、性器も真正面から描かれます。

それに漫画以外の活動も活発です。
活字、イラスト単体としての素晴らしい仕事も多いし、映像作品、廃盤音楽紹介、韓国やイイ顔オヤジや人々が目をそむける物のルポ…他にも説明が面倒な活動が多岐に渡ってますよ。

勝新太郎奥崎謙三赤尾敏内田裕也・・・それに街で見かけた頭がイっちゃった人々まで、有名無名のアウトサイダー達を愛し、ルポしたり、作品の題材にしたりもしてます。
頭にいろんな声が流れ込んでくるキチ○イの、電波系を追った後は一般にまでその存在と言葉を広めましたね。ゴミ屋敷とその住人も昔から取り上げてましたが、後にTVで何度も放映されるようになりました。
その他、湯浅学船橋英雄の両名と共に繰り広げる、"幻の名盤解放同盟"での活動も要注目です。

彼のセンスや活動について知るには、むしろ情報量も多い活字本であるかもしれませんが、特に半生については、名著「因果鉄道の旅」に詳しいですね。もう一冊、活字本で名作なのは「人生解毒波止場」
本当にいい本なので、せめてこの二冊は読んで根本先生の哲学に触れてみましょう!!

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それでは、そろそろ漫画作品も紹介します。

「生きる」「天然」は有名な方でしょうか。
両方とも全2冊もあるのが、根本敬作品としては珍しいですね。これまた両方とも、のちに合体されてますけどね。

私が初めて買った単行本は初期作品集の「豚小屋発犬小屋行き」なのですが、まだ十代の時にこれを読んだのは、やはり自分の人生でプラスになったと思います。いや、社会一般の目から見たらマイナスの影響を受けたのでしょうが。
だって若い、多感な時にこんな作品を読んだら、親の金で大学にでも入って一応学生らしい生活を送りながら遊んで、そのままサラリーマンらしい生活をキッチリと送る…
そんな一般的な意味合いできちんとした人物の生き方に疑問を持ってしまうでしょう。それほどの力がありますよ。

「怪人無礼講ララバイ」には、巨大化して意思を持った精子(!!)が主人公である傑作「タケオの世界」が収録されてます。
そんなとんでもない設定のこの作品が、何でこんなに泣けてくるのだろう…それはご自身で確かめてみてくださいね。

他にも「キャバレー妄想スター」「黒寿司」「心機一転 土工!」est…
いい作品が次々出てきます。
読者を遥か後ろに置いて行く、アヴァンギャルドすぎる作品も多いので、トリップして楽しむも、怒りが沸いて破り捨てるも貴方次第です。

そんな感じの根本敬作品群ですが、今回一つ少しだけピックアップして説明するのは、「亀ノ頭のスープ」(マガジンハウス刊)。これに決めました。

内容は凄くポップだし(あくまで根本先生にしてはですよ)、先生の特徴が凝縮されて詰まっているので、初心者の方にもオススメなのです。
何とSF作品!である、「ミクロの精子圏」という長編は重要でして、大河精子ロマン第2弾です。

チビ、ハゲ、近眼、どもり、愚鈍、真性包茎…そして異常なほどの不運にとりつかれた男・村田藤吉が、妄想科学者で演歌歌手の吉田佐吉によって鍛えられ(その訓練の様は、とてもここでは書けませんよ)、ミクロのレベルにまで小さくなって息子のホルモン(精子)へと旅立ちます。
目的はDNAを操作して、この不運に改善処置を施す事です。
・・・・で、この先どうなるかは、面倒なので省略します。

ただ実は、この村田と吉田というのは根本漫画の定番キャラでして、必ずいつも"虐められー虐め"の関係を持って頻繁に登場するのですが…
この漫画のラストには、珍しく救いがあるんですね~。
ついに村田が勝っちゃう(?)なんて、他の根本作品も読んでる方からしたら驚きですよ!
だって他では、弱者としての業を生まれ持った人間はやはり弱者であり、努力しても無駄!
と言う、この世の真理・不条理な現実を描いてたのですから。

他に数編の短編が収録されてますが、名作なのはカラーで12ページの「21世紀の精子ん異常者」
イイ顔の親父連続殺人事件ってのがあるのですが、ここで言う"イイ顔"とは、根本敬作品を読む上では絶対に欠かせないキーワードです。
もちろん"カッコイイ顔"なんかじゃ無いですよ!むしろ、ジャニーズよりは蛭子能収。宮崎アニメより水木しげる漫画。サラリーマンより土方のオヤジ。そんな顔を想像してくださいね。
ちなみに幼少時から水木しげるファンであった事を公言していますが、水木先生からも根本作品を指して『あれは凄いっ!!凄いと同時にグロテスクだね。ああいうもんがよく描けるもんだと感心してるんですよ。』(ガロ1991年9月号-水木しげる特集号より)との言葉が出てました。

時間も無くなったので、「21世紀の精子ん異常者」のラスト。
電気椅子の上でイイ顔の親父が言うセリフを引用して、今夜はお別れです。


地球以外どこの星 どこの宇宙にも生物なんかいない。だから円盤もない。
超能力なんて人間にはない。霊魂もないから霊界もない。
ネッシーもいない。雪男もツチノコもいない。
キリストも仏陀も架空の人間で初めからいない。どんな神様もいない。



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  1. 2006/08/02(水) 23:04:03|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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