大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(10) 古屋兎丸 1 「Palepoli」

Palepoli.jpg

今回紹介したいのは古屋兎丸先生です。
1968年生まれと、今までこのブログで紹介してきた漫画家の中ではダントツで若い世代ですが、しかし既に漫画史に残る名作をモノにしてますよ。

その名作一つ目が、「Palepoli」
画像の左が青林堂刊行で最初に出たハードカバー版で、再発されたソフトカバー版が画像右の本です。さらに後で、太田出版から短編がもう一作追加収録されて復刻もしてますね。

Palepoliは"パレポリ"と読みまして、4コマ漫画です。でも普通の4コマ漫画じゃない!
ガロで毎回楽しみに読んでいたのですが、この古屋先生が出てきた時は本当に嬉しかったのを覚えてます。
その連載、といっても原稿料無しの持ち込み扱いだったそうですが、その時に掲載されていたのが「Palepoli」なのです。

単行本は発売日前に予約して当日本屋に走ったものでしたが、その初版発行が1996年ですので、もう十年が経っていますね。
しかし誰もこの時の古屋先生がやったテクニックは真似していないのではないでしょうか。というより手間がかかりすぎて、原稿枚数を上げなくてはならないプロの漫画家には無理なのですね。
それだけこの時は凄い事をしていて、古屋先生も実際にプロとして活動し始めてからは、簡略化した絵柄になりました。

漫画の面白さというのが、単純に絵の上手さや変わったテクニックなんかではない事は誰でも分かるでしょうが、この「Palepoli」まで行くと脱帽するしかないですよ。
一人の無名アーティストが、膨大な手間と時間をかけて面白いアイデアを紙に表していった記録として観賞し、楽しむのもいいでしょう。
もっと"美術作品"として本を楽しみたい方には、「プラスチックガール」(河出書房新社刊)もオススメです。

「Palepoli」に見られる、ペンによる繊細な描き込みや、ビックリするスクリーントーンの使い方。
それで表現されるのは、連作では…
・タカシくん物
・ドアの魚眼から見える物
・没のおばけ
他にいくつかの面白いシリーズあります。

あと特にいいのが"騙し絵"シリーズなのですが、例えば男女の絡みと「ドラえもん」キャラが組み合わさってますよ!
くだらないギャグ漫画を物凄く手の込んだ絵でやるのも好きでした。

他漫画のパロディも絶品です。
その凄さは、「Palepoli」完結後に漫画誌COMIC CUEで掲載された、有名漫画のカバーバージョンも単行本に収録されているので、一目瞭然ですね。
これは「Palepoli」でやったテクニックの集大成と言える上に、ギャグも最高でしょう!

---------そして---------

この実力ですので、古屋先生はこの後すぐにメジャー誌にも進出しました。
今現在でも精力的に作品を発表しています。

ただ、描き続けているのは嬉しいもののハッキリ言って作品の質は低迷してます。
そりゃ連載では絵に以前のような手間をかけられなくなったのでしょう、レベルダウンは顕著になってましたが、最新短編集「ハピネス」(小学館刊)など、子供向けなのかと思ってしまう浅い内容も目立ちます。これは一般受け、つまりは売り上げを意識しての狙いなのかもしれませんが…。

それでもまだ買い続けてるのは、やはり今回紹介した「Palepoli」や、これまた大名作の「Garden」イーストプレス刊。これも早く紹介しましょう)なんかの作者であるからで、いつかまたやってくれるという期待があるからです。
東京都出身だし、作風を見てもハングリー精神の無さそうな古屋先生ですが、まさかこれでいいのだとは思ってないでしょう。
私は次回作、また次回作と、期待して買い続けるのです。


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  1. 2006/08/10(木) 22:14:24|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

僕も古谷兎丸さんスキです!

特にwsamarus2001は衝撃を受けました!

プラスティックガール、パレポリ、ガーデンも!

最近はエログロぽいのも書いてますよね。

買うか昨日迷いました。
  1. 2007/06/28(木) 01:06:32 |
  2. URL |
  3. エツシ #-
  4. [ 編集]

>エツシ氏

お久しぶりです。
そうですか、貴方は古屋先生の作品を読み続けているのですね。
やはりレベルの落ち方は気になりますが、腐っても鯛…というか、やはりあの古屋先生ですので、買うか迷った時は買いましょう。

もちろん『金返せっ』て言われても、私は弁償はしませんがね(笑)

あの先生には、ちゃんと生活の心配とかいらずに仕事に集中できる環境を与えなくてはならないのかもしれません。
  1. 2007/06/28(木) 01:06:58 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

その環境を得る為に、πとか大衆受けしそうな漫画をかいてるのかもしれませんね。そのためにコアなファンを失うのは悲しいことですが、同時に自分のやりたい(とおもわれる)こともやってるので、ぼくはよいと思います。

πは買う気すら起きませんが・・・。

迷ってなぜかヴィレッジヴァンガードの社長の本を買いました。
  1. 2007/06/28(木) 01:07:29 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

>匿名さま


そうなんですよ、だからまず古屋先生は大衆受けする漫画をいっぱい描いてもらって金儲けすればいいと思います。
もう、週刊少年ジャンプに載ってても驚きませんよ、私は。

「π(パイ)」にしたって、多分古屋先生じゃなければ普通にセンスのいい作品くらいに思ってたかもしれませんよ(笑)
とにかく最初からレベルが高すぎましたから、『えっ!?』と言う人が多いのも仕方ないのでしょう。

いつか、今度はじっくり腰を落ち着けた作品で傑作を発表すれば、すぐにファンなんて帰ってくるのですからね。
  1. 2007/06/28(木) 01:07:48 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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