大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(2) 「ウルトラマン」

ultra-man.jpg

こんばんは、BRUCEです。
先月に私が偶然会ったと、この時に報告した、楳図かずお先生。
お薦め作品を順番に紹介していかなくてはなりませんね。

今回は「ウルトラマン」
そう、あの円谷プロ製作の特撮TV番組で知られる巨大変身ヒーローのあれです。
まだ少女漫画家だった楳図先生が、1966年より週刊少年マガジン別冊少年マガジン(共に講談社刊)で連載を始めて、これにより少年誌進出のきっかけにもなった重要作品です。
単行本はサンコミックス(朝日ソノラマ刊)で全3巻。

ウメカニストの私としては、もう楳図先生ならその絵だけでどんな内容でも名作指定してしまうのですが、この「ウルトラマン」も素晴らしいです。
円谷プロの原作付きとはいえ、そのに描かれているのは完全なる楳図ワールド。
なので、これは異色ながら怪奇漫画ですね。

楳図先生は他にも怪獣漫画だと「ガモラ」「原子怪獣ドラゴン」「怪獣ギョー」があるのですが、どれも面白いですよ。
ただ正義の味方が怪獣を倒すのではなく、もっと人間の悲しさだとか悪さだとか、テーマ性を盛り込んで、なおかつ特撮モノの痛快さを損なっていないのですから。

楳図「ウルトラマン」の科学特捜隊は、ハヤタ(もちろん正体はウルトラ星人)、イデアキコらで、出てくる怪獣もバルタン星人に始まり、レッドキングメフィラス星人等、一応キャラは本家「ウルトラマン」に忠実です。

当然、フラッシュビーム(TV版ではあの装置自体の名称はベーターカプセル)が無ければウルトラマンになれない所とか、胸のカラータイマーで時間に縛られてる所も同じです。
こんな条件が無ければ楽なのにって、昔TVを見てる時にも不思議に思ってたものですけど、男はあえて困難な条件を自分に課して戦わねばならないのですよね…
な~んて、ただヒーローが強すぎては盛り上がらないからでしょう。
あと、いつまでもウルトラマンの正体に気付かない周りの人間は、どれだけ間抜けなのでしょうか。

このように大まかな設定だけTV版に忠実なのに、実は全くの別物となった楳図「ウルトラマン」は、連載も急に決まるし、資料なんかほとんどもらえなかったから怪獣の姿も楳図先生の想像で補って描いたのだとか。
だからこそ出来上がった、楳図先生の想像入り怪獣の方がいいのはファンなら当然ですけどね。
TV版には無いウルトラマンの技もありますし。

あとこの漫画で特筆すべきは、物語の初めと最後の方では絵柄が違う事です!
いや、もちろんいかにも楳図先生と分かる絵ではあるのですが、最初の方はまだ少女漫画時代の絵そのままな所が多く見受けられてたのに、最後の方は劇画タッチになるのです。
これは、編集者には当時主流だった丸っぽい絵を要求されたものの、ちょうど劇画ブームが来たために、描き込みの多い楳図先生の持ち味を発揮できるようになったからです。

--------
それぞれの話を紹介すると、まず一話目の「バルタン星人」は、赤いバクテリアから人間が次々とバルタン星人化してしまうのですが、心身が徐々に変化していくのが怖いです!不気味です!
あの超有名星人が、何と羽を自在に生やして飛んでしまうシーンにはビックリですよ。

交通事故で死んだ少年が最後にお絵かきで書いた怪獣が銅像になり、交通事故を起こすドライバーに怒って動き出す「怪獣ヒドラ」は、ちょっと感動狙いで、しかも『交通事故には気を付けて』というメッセージ入り。

次の「怪獣ガヴァドン」も子供の絵から怪獣が抜け出すという話なので、類似話ですね。

「怪獣ドドンゴ」は、ホラー漫画家としての楳図かずお先生が本領を発揮してますよ。
まず現代に蘇った太古のミイラ人間が登場しますが、そいつの造形が怖い。
そしてその家畜・怪獣ドドンゴが主人の死によって嘆き、怒り狂っているのを涙をのんで倒すウルトラマンの、可哀想な話でした。

「怪すい星ツイフォン」は、地球に近づく大彗星から飛び出した怪獣・ギガス、ヒマラヤの雪男・ドラコ、そしてレッドキングまで現れてウルトラマンと四つ巴になる豪華な話。
水爆を六個も飲み込んだレッドキングをウルトラマンが宇宙空間まで運ぶのですが、その時新攻撃法リング作戦とやらで、ビームで輪投げのようにしてレッドキングの動きを封じたのはビックリしました。

「怪獣ジラース」の回など、一度引いたウルトラマンが敵を倒すシーンを…何とカット!最後に
『ぼくらのためにきたぞ 我らのウルトラマン
ウルトラマンがそのあと ジラースをやっつけたことは ここに書くまでもありません』

と説明書きが出て終わりですよ!
ミステリーの要素もあり、お話はけっこう面白いのですけど。

最終話である「メフィラス星人」は、地球を奪いに来た…何というか、超能力星人ですね。
『暴力でぬすむ という下品な行動をとらず 知恵で手にいれる・・・・これがメフィラスの主義なのだ』
という紳士的な(?)メフィラス星人には愛着が湧いてしまいました。
ハヤタにフラッシュビームを渡そうとするサトル少年が、メフィラス星人に心を読まれないために、
『えんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつえんぴつ』
と、他の事を考える所など笑ってしまいますね。
これで最後なだけに、メフィラス星人の他にもバルタン星人・ダダ・ザラブ星人・ケムール人と、強敵が現れます。

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しかし主人公のハヤタ隊員の足を引っ張るドジなキャラ・イデ隊員の扱いは酷いな~。彼の顔だけギャグ漫画ですよ。
TV版と違い、漫画にするにあたって表現を大げさにする必要があったのでしょう。
顔に冷汗をかく貴重なウルトラマンの姿を見れるのも、この楳図かずお版だけ!
是非読んでみてください。


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  1. 2006/10/21(土) 22:02:27|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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