
こんばんは。
名作漫画ブルースへようこそ。
いきなりですが今日(
9月13日)は何の日でしたっけ?
そう、このブログを書いてる私・BRUCEの誕生日。
(『そう、』とか言われても困るって!?)
まぁ今更めでたいのかめでたくないのか良く分からない日ですが、掲載回数も既に100回を超えた事ですし、過去に自分が書いた文を読み直したわけです。
そしたら誤字脱字は見つかるし、そもそも書いてる事が恥ずかしいし…
嫌ですねぇ、恥さらし人生。
でもやるんだよ!
って事で、今回は
諸星大二郎先生を紹介しましょう。
やっとこの時が来ました。
この先生も私が必死になって全著作を集めていた(すみません。近年のは買ってないので過去形です)、大事な漫画家です。
諸星先生は、1949年の長野県で生まれ東京育ちです。
東京都庁に勤めながら描いた火曜サスペンス劇場みたいな漫画
「ジュンコ・恐喝」がCOMに載り、その後1974年には傑作短編
「生物都市」で
第7回手塚賞入選して、華々しくデビューしました。
それから
週刊少年ジャンプでの連載開始と、人気漫画家の王道を歩んで来たとも言えるでしょう。
しかし、このジャンプでの連載が少々まずかった。
まずは
「妖怪ハンター」を連載するのですが、内容は素晴らしくとも、そのあまりにも個性的な絵柄と暗い世界はジャンプ向けではなかったのでしょう、打ち切られました。
かろうじて
JC(ジャンプコミックス)一冊分にはなりましたが。
その次に描いたのは、日本神話の世界を基にした
「暗黒神話」。
壮大な構想を練って始めたこの作品は更にマニアックさを増していて、当然すぐに打ち切り。これもJC一冊分です。
それではと次は何を連載するのかと思えば、中国神話の世界を基にした
「孔子暗黒伝」…(笑)
どれも一様に暗い世界ですし、ジャンプ読者のガキンチョが神話や他国の伝記になんて興味があるわけがない!
考古学や歴史学等の膨大な資料を使って綿密な考察をし、小難しい事を描いてるので必然的に字が多くなるし、この絵柄もジャンプでは異色すぎましたよね。
それでも
「孔子暗黒伝」は頑張ってJC二冊分を描き上げているってのは、凄い功績と言えるでしょうか。
この後も異色マンガ家としてジャンプやヤングジャンプで頑張るのですが、そのうち他社の青年誌にと活動の幅を広げて、ジャンルも現代物、SF、伝説、幻想、怪奇、ホラー、古代史、辺境の国…そして近年にはユーモア少女漫画まで、描きたい事をマニアックにやり続け、今や大御所の
諸星先生ですね。
その独創的で歪んだ絵柄は、あの
手塚治虫先生をして
『僕は描こうと思えば誰の絵でも描けるが、諸星大二郎だけは描けない』と言わしめた話が有名ですね。
未だにフォロワーすら生まれ得ないほどの独自の世界を構成し続けてますが、その後の傑作についてはまた今度にして…
今回は初期作品
「妖怪ハンター」の紹介でいきましょう。
既に打ち切りになった事は書きましたが、これは未だに私を始め多くのファンから根強い支持を受けています。
古史の伝奇資料をふんだんに使って、創作したSF話と混ぜ合わせたようなこの作品は、子供向けでは無いけどエンターテイメント作品としても優れていますし、衝撃的な作品と言えるでしょう。
こんな初期作品から、
諸星ワールドで定評のある"日常の不安を形にする事"を既に完成しています。
この名作
「妖怪ハンター」シリーズは、10年以上経って
「稗田礼次郎のフィールドノート」のタイトルで再び現在でも描かれているのが嬉しいのですが、今回は一番最初のJCを紹介しましょう。1978年初版発行です。
おっと、便宜上
JC(ジャンプコミックス)と言ってますが、本当は当時まだあった
JSC(ジャンプスーパーコミックス)で、サイズは同じものです。
出版社も
集英社でなく
創美社の時なのですが、そこらへんの話は詳しくしなくていいでしょう。
質の高いこの単行本の収録作品は、まず
「黒い探究者」。
九州はF県(つまり福岡県)の
ヒルコ伝説を基にした気味の悪い話で、この妖怪ハンター・
稗田礼二郎の登場する記念すべき第一作目です。
稗田礼二郎とは、古事記の
稗田阿礼から名前を取っているのですが、長身長髪に黒スーツの老古学教授で、日本老古学会からは追放されて自ら異端の道を歩み続けている男なのです。
そんな彼を上手く紹介しながら、黄泉の国の化け物であるヒルコの事件を解決しました。
このシリーズが日本各地の遺跡等で起きる怪事件を解決する物なのだと、読者に分からせる導入話としても優れてますね。
世界の
塚本晋也監督が過去に
「妖怪ハンター」を映画化してるのですが、それは同シリーズの他の話も混ぜ合わせた上に、原作ぶち壊しのとんでもない稗田礼二郎象、そしてこの
「黒い探究者」を一番大事にしていて、その時のタイトルは
「妖怪ハンター ヒルコ」でしたね。
原作とは別物と考えれば、私の波長にピッタリのとてもいい映画でした。
次の
「赤いくちびる」は、普通の中学校を舞台にしているのが今思えば新鮮な、朱唇観音という魔物に心を支配されて変身する少女の話。
学校が舞台だけに、日常にも存在する"神話"の存在を浮き立たせる事に成功しています。
続いて有名な
「生命の木」となるわけですが、これがもう
「妖怪ハンター」シリーズ中というより、
諸星大二郎先生の全作品で、いや日本漫画史上でもなかなか類を見ない名作です。
かつて隠れキリシタン達が多く処刑された東北のとある寒村の、さらに"はなれ"に住む人達がいるのですが、彼らは近親婚を繰り返しているからか、全員が知恵おくれという酷い環境。
その人達は実は事故や病気以外では誰一人死なず(この理由は聖書の伝説に絡めてるのですが、面倒なので説明は省きます)、地獄(いんへるの)という名の穴倉で死ぬ事もできずに蠢いていて…
そこへ
善次という、三日前に殺されて十字架にかけられた男が復活して登場。
そして救世主として村びと全員を地獄から救いだし、天国に導く話なのです。
もちろん絵も凄い。
『みんな ぱらいそさ いくだ!
おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!!』と東北弁で叫び、ぱらいそ(天国)に導く善次をまだ見てない方、そして見たい方は、すぐに古本屋に走りましょう。
いや、セリフは変えられながらも何度も再発を繰り返してるので、普通の本屋で今でも現行されてる本で読むこともできますから!
この次は短い話ですが、
トコイ…トコイ…の呪詛が印象深い
「闇の中の仮面の顔」。
そして私なんかはいい作品jだと思うのに
諸星先生自身が気に入らなくて再発時には外された話ですが、近畿地方のW県(つまり和歌山県)に伝わる"反魂の術"というので死者を蘇らせる
「死人帰り」。
さらに単行本の最後には
「妖怪ハンター」シリーズではありませんが、第7回手塚賞に入選した
「生物都市」も収録されてますよ。
これもまた傑作でして、人間や他の生物が金属と溶け合う不思議な話です。
手塚治虫先生や他の審査員達も大絶賛で受賞したこの作品は、発想があまりに奇抜で強烈だったために、これは何か(例えばまだ翻訳されてない海外のSF小説等)のパクリだったりしないか討議されたと聞いた事があります。
「生物都市」……近未来の日本で有機物と無機物の融合現象が起こる話で、体の一部が機械と
くっついた人間の、不自然な姿は不気味です。
結局、生き延びるために機械と融合して不死となる事を選ぶ人類。
対称的に自然の姿で生きたい人達は、機械や金属を捨てて原始生活を選ぶという結末も印象深かった。
『この新しい世界で 科学文明は人類と完全に合体する
人類にはじめて 争いも支配も労働もない世界がおとずれるのだ』『夢のようだ…新しい世界がくる…理想世界(ユートピア)が……』----------
諸星先生の作品は、名作が多いけどそのキャリアに比べて作品数が少ないからでしょうか、
つげ義春先生並に、装丁を変えて何度も何度も同内容の漫画が出版され続けていていますね。
新刊出たと思って買ってから、『読んだ事ある』『またこれが収録されてる』と気付いた事がある方も多いのではないでしょうか。
しかも再発本にも未収録の作品が入っていたりするから、マニアはまたそれも買わねばならず…大変です。
それでは、またそのうち
諸星大二郎先生の作品を紹介したいと思います。
そしてBRUCE、誕生日おめでとう!
おめでとう、自分!
- 2006/09/13(水) 23:49:36|
- 週刊少年ジャンプ
-
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-
| コメント:5
うほーっ、諸星先生。
うちの周りでも大人気で、よくパロディネタやってます。
そしてBRUCEさん、一日遅れましたが誕生日おめでとうございます!
一ファンとして、これからもブログを読み続けますので、頑張ってくださいね。
- 2007/06/29(金) 01:38:20 |
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- ジャッキー #-
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>uppy-nzさん
そうですねぇ、他にも古本屋で掘り出し物は出るし、記念すべき事が多くなってきてます。
でも…昨夜は平日なのに高円寺で誕生祝いをしてもらって、朝近くまでの深酒をしていしまい、仕事は遅刻&二日酔いで苦しかったです(泣)
そんな、29歳になっても相変わらずの私です。
>ジャッキーさん
お祝いメッセージありがとうございます。
ところで諸星先生のパロディネタとは、どんなのですか?
やっぱりあのセリフの"ぱらいそ"だけ変えて、例えば居酒屋に行くなら
『みんな 居酒屋さ いくだ!
おらといっしょに 居酒屋さ いくだ!!』
とかでしょうかね?
- 2007/06/29(金) 01:38:41 |
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- BRUCE #-
- [ 編集]
はじめまして。別作品の設定のルーツはこれかな?と考えて諸星先生の作品をチェックしていたら、ここのサイトにあたりました。知りたかったのは「生物都市」でしたが、小学生の頃に読んだので、すっかりタイトルを忘れてしまったのです。
ところで、「暗黒神話」これは最後に馬頭星雲が出てくる話ですよね。この作品も好きでしたよ。単行本でこれも小さい頃読んだのですが、打ち切りの憂き目にあった割にはお話がちゃんとまとまっている様に思いますが、あとで加筆されていたのかなあ?
現代はともかく発表された70年代はオカルトブームで、その手のまんがも各誌1、2作出ていた記憶がありますね。ジャンプ読者層もいまほど年少でなく、もう少し年上も狙っていた様におもいます。(まだヤンジャンは無かったし)
- 2007/06/29(金) 01:39:00 |
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- パーマン #-
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>パーマンさま
どうも、はじめまして。
リアルタイムで「生物都市」やらを読まれてるなんて、羨ましいかぎりですよ。
ここでは作者と「妖怪ハンター」の紹介だったために、「暗黒神話」にはほとんど触れてませんが…確かにそう、最後に馬頭星雲が出てきますね。
『武は 五十六億七千年後の未来で弥勒になったのかもしれない……』
っていうあのラストで無理な打ち切り感は少ないですが、加筆したという話は聞いた事がありません。
たとえしたにしても、一話丸々とかは無いと思いますけどね。
70年代オカルトブームの漫画は私も大好きで、これからこのブログでも次々紹介していく予定です。
大御所の傑作はもちろん大事ですが、漫画史的に忘れられてる作品も重点的に紹介したいのです。
例えば…
連載はジャンプではなくてチャンピオンですが、芝田秀行の「闇の密霊師」などは、稗田礼二郎に近い感じの主人公が出る作品で名作だったと思います。
すぐに単行本が見つかったら近いうちに紹介したいなー。
あ、ジャンプ読者層がもっと年上狙いだったのは、仰るとおりで間違いないですね。
これからもよろしくお願い致します。
- 2007/06/29(金) 01:39:22 |
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- BRUCE #-
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