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大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

日野日出志(8) 「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」

今回は日野日出志先生の映像作品の話をしましょう。
地獄漫画家・日野日出志先生は実写映画の監督もしていて、それは幻の作品となっている…この事実はもっと広める必要があるでしょう。

このブログで初めて日野先生をちゃんと紹介した時にもちょっと触れているので、まずはそれをコピーしますよ。

『日野先生はホラービデオの制作もしてるのはご存知ですか?
1985年に作った監督作の「ギニーピッグ2 血肉の華」は、幼女連続殺害事件の容疑者・宮勤の部屋にあったとされて、即絶版!
以降未だにソフト化されていないので、有名レア作品になってしまいました。
(しかも、実際に宮のヲタク部屋にあったのは、別監督で、しかもコメディ調の「ギニーピッグ4 悪魔の女医さん」だったそうですよ。)
それにいい大人が、『あいつは残酷な物を観てるから残酷な事をしたのだ』とか、本気で信じてしまうのはいかがなものでしょうか。』


こんな事を書いてまして、それを読んだ方から日野日出志監督の映像作品って出来はどうなのか、とか聞かれたのが今日の紹介のきっかけです。
ま、描いてた作品があれだから偏見持たれてもしょうがないかもしれませんが…
でも私はちゃんと調べもせずに、ニュースとして流してしまうマスコミの姿勢に対する批判精神は今に至るも持ち続けています。
あれはもう、根っこから腐ってるからしょうがないんですけどね。

さて上記の「ギニーピッグ2 血肉の華」というのは、2が付いているのでお分かりの通り、もちろん1作目もあるビデオシリーズ物です。
1980年代のスプラッター映画ブームの中、ついに登場した国産のスプラッター映画だったためにマニア受けしたようですね。
ちなみにギニーピッグ(Guinieapig)とは、モルモット…実験材料という意味。

それぞれ監督は違いますが全7作、さらに総集編としても3作品が製作されているのですよ。
そのうち日野監督作なのは「ギニーピッグ2 血肉の華」の次に、「ギニーピッグ 惨殺スペシャル」(これはギニーピッグシリーズの当時出ていた1~3作目から名場面を集めた番外編でした)。
続いて「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」
この「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」に関しては、後でもう少し詳しく紹介します。

ちなみにこのシリーズに関わるさらに少し前、1984年に「アギ 鬼神の怒り」というSFホラー映画でデザインを担当したのが日野先生が映像に関わった最初です。
ついでに触れると、つい近年にも「日野日出志のザ・ホラー 怪奇劇場」として日野漫画が映画化されましたが、まぁこれは映像作りの方には関わっていなくて、純粋に原作者だけですね。

この「ギニーピッグ」シリーズの特徴は、腐る死体、人体切断などの残酷描写をメインにしている事でしょうか。以下それぞれを軽く紹介しましょうか。

第1作目の「ギニーピッグ 悪魔の実験」は、本物のスナッフ映画かと思わせる効果も狙ってでしょうが、ストーリー性無し、しかも監督・出演者ともに不明な擬似ドキュメンタリー作品でした。
この時期は海外でもスナッフ映画が流行ってたんですよね。

続く「ギニーピッグ2 血肉の華」もほぼストーリー無しの残酷描写だけの擬似スナッフ作品で、せっかく"物語"を作るプロでもある漫画家の日野日出志先生の力量がも一つ生かせてなかったかもしれません(日野先生自らが漫画の方の傑作「赤い花」を元にしたと語っているのですが)。
しかし発表されたタイミングや特撮の精巧さもあって、これがシリーズ中一番の人気作。
ビデオが手に入らない場合でも「畸書 全身に鱗が生えてくる本」(KKロングセラーズ刊)という本においてかなりの場面写真を観る事ができるのですが…いや、その本自体もかなりのレア本ですけどね。

「ギニーピッグ3 戦慄! 死なない男」は、何とガロ系漫画家(原作者)の久住昌之監督です!!
あの泉昌之の原作者の方ですよ。私は以前から、彼の文筆者としての才能にも恐れ入ってたものです。

「ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん」喰始監督で、問題の宮勤の部屋にあったソフト。もはやギャグ満載のコメディ作品になってしまいました。
キャストはシリーズ中一番豪華で、ピーター、吹越満竹中直人景山民夫小川菜摘林家こぶ平久本雅美柴田理恵…ざっと眺めても凄いですよね。

次は配給会社が変わってニューシリーズへと生まれ変わり、また日野日出志監督作品の「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」が誕生するのです。

以降は…
「ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド」は、ギニーピッグシリーズに"ザ"が付いてからの二作目という事での"2"が付いてます。これもキャストは豪華で日野利彦高樹澪田口トモロヲ等。

「LSD -ラッキースカイダイアモンド」橋本以蔵監督で、キャストは網浜直子佐野史郎等。
ギニーピッグシリーズの7作目作品として制作されたのに、発売前に宮事件が起こってお蔵入りになり、しかし後に「ギニーピッグ」の冠を外して発売された作品です。

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シリーズはこんな感じですが、話を日野日出志監督中心に戻しましょう。
しばらく間を空けてから久々にギニーピッグシリーズの監督として作った「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」です。
HINO-Guinieapig.jpg

こちらは日野漫画通りの展開ながら、「ギニーピッグ2 血肉の華」と違ってストーリー性も取り入れた傑作になりました。
1988年にビデオ発売されていて、主な出演者は斉木しげる染井真理久本雅美

主人公は画家で、奥さんに逃げられてからというもの、マンホールに潜って下水道を散策する趣味を得た人です。
どこかおかしい…いや、完全にキチ○ガイですね。

下水道で飼っていたペットのチビの死骸を、画家であるため絵に残したりしてるのですが、この下水道で人魚と遭遇しました!!
しかもこの人魚には、下水道がまだ川だった頃の昔に会った事があるというのです。

人魚の絵を描く画家。
しかし人魚は謎の奇病で身体中に醜いデキモノがでてきます。
それは日に日に悪化していくので、今までは下水道でスケッチしていましたが自宅に人魚を運び、奇病に冒されていく様を含めて一心不乱に人魚を描き続けて…

しかもですよ、人魚のデキモノから出てくる七色の膿で絵を描くんです!!
おおっ、これは「蔵六の奇病」ネタと同じではないですか。

絵が描き上がったのですが人魚は死んでしまい、画家は人魚の死体をバラバラに解体しました。
このバラバラ解体シーンがあったからこそ、宮事件で勘違いされて問題になったのでしょうね。
嗚呼蠢く虫達の描写も気持ち悪い…

同じアパートの隣人である主婦の久本雅美が不振に思い、異臭等で部屋に駆け込んで事件が発覚しました。
(ちなみに久本雅美は、水野晴郎閣下ばりに演技が下手くそです)

まぁ観てる途中でオチは丸バレなんですが、実は画家が描いていた人魚のは逃げたと思われていた奥さんで、あの醜く広がっていったデキモノもガンが転移したか死体が腐っていったかで出来たものだったのですね。

画家は精神病院に入院させられますが、しかし部屋で発見された一枚の鱗は日本魚類研究会にすらも何の鱗か断定できず、人魚自体が画家の妄想だったのか実在したのかという謎を残して…終わり。
---------------

ひゃー、単純な物語だけど傑作だ。
こういうのは映像観て貰わなきゃ分からないのは承知してますが、凄いですよ。

スプラッター描写のレベルの高さもさる事ながら、我々日野日出志先生ファンが思うのはあの映像化不可能な登場人物達をどうするか。
それをですね、ほぼ特撮少なめの演技だけでけっこう再現してるんですよ。
漫画の作者自身が監督した強みというかこだわりというか、あの独特のギョロ目を映像で観れるとは思わなかったですもん。

日野日出志先生の大ファンであるという偏見抜きで映画としての出来自体を考えても、ギニーピッグシリーズ中でこれが一番だと、私は思います。

日野先生の作品はいずれもホラーではありながらも、怪奇・恐怖モノと叙情モノを描き分けてる感がありますよね。
この映像作品「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」はもちろん後者であって、悲しい悲しい嘆きの物語なんですよ。

あとはですね、画家の家がやたらと退廃的でカッコいいんですよ。
ほー、良く作ってるな~なんて思ったのでエンドクレジットで背景美術を担当した人の名前を見ると…

って、それ!!
友川かずき氏なんですよ!!

私が歌手としては日本中でも三指に入る尊敬の念を表明し、影響受けたり偉大すぎて自分の無能さに気付いたりさせてもらった、あの孤高の歌手じゃないですか。

ビデオのパケージを見てもどこにも名前のクレジットが無いという、恐ろしく無礼な扱いを受けてますが…
友川かずき氏がどれだけ偉大かを語るのは、日野日出志先生に対するそれと同じくらい時間がかかると思うので今回は止めておきますが、この意外すぎるコラボレート!
いや実は私は別ジャンルで活躍するこの二人が大親友である事を知っていますし、友川氏は画家でもある事を考えれば美術担当もありえる線ですね。
とにかく嬉しいカップリングが実現した事実に微笑んで、今夜は終わろうと思います。

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  1. 2008/02/09(土) 03:38:56|
  2. 日野日出志
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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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